海の中は弱肉強食の世界。日夜、弱者が強者の犠牲になる食物連鎖が繰り返されている。
そんな魚たちの食性を巧みに利用したのが、「落とし込み」と呼ばれる釣法だ。
落とし込みは、エサになるイワシや小アジなどが沖の魚礁にいる限り楽しめる釣りで、秋のシーズンは特に魚種が多彩で食べて美味しい魚が多いのも魅力のひとつ。
和歌山県御坊市の関電沖にいくつもある「魚礁周りでカンパチが釣れ始めた」と聞いて、シマノのタチウオ三銃士の1人である辻康雄氏と一緒に浜ノ瀬の山見丸へ出掛けてみた。
当初は、ライトタックルで落とし込みを楽しんでみようと、シマノのミッドゲームCI4とビーストマスター2000の組み合わせを考えていた。
だが、釣行の直前になって「カンパチのロクマル級が釣れ出した」と聞いたので、タックルもそれに合わせて変更した。
僕はアルシエラ落し込みライト225とビーストマスター3000の組み合わせで、辻氏は竿がバンディット落し込みM225とビーストマスター3000のタックルで挑むことにした。
これならナナマルが掛かってても大丈夫と、意気揚々と出船したのだった。
朝はガスが掛かったような薄曇り。風はなく、海は正に油凪で柔らかなウエーブを描きながら船端をなぶる。
朝焼けの空を後方に見ながら、20分余りで最初のポイントに到着した。
船長から手渡された仕かけは、ロクマル仕様か? 幹糸、エダとも10号の4本針だ。
仕かけの最下端に50号のオモリを付け「やってよ~」の合図とともに仕かけを落とす。
この空針仕かけに、カンパチやメジロ、マダイなどが大好きな小魚が食ってくれないことには成立しない釣りなので、まず、ベイトを食わせることに集中した。
朝は1投目からベイトが付いた。これでひと安心なのだが、ベイトが大き過ぎるのか、暴れ方が派手でちょっと心配。
辻氏は頃合の大きさのベイトを食わせたのか、開始早々にヒットさせて、気色満面でやり取りを楽しんでいる。
相変わらずベイトが暴れているので、付けかえてみようと仕かけを上げたら、25cm近くあるアジが2尾と大型のウルメイワシまで食っていた。
この大きさではカンパチも敬遠するかもと、アジは僕の晩酌のアテに確保して、急ぎ仕かけを下ろし直した。
ミヨシの潮先に座った辻氏は、1尾目からロクマルカンパチ、2尾目がメジロ、そして3尾目は再びロクマルと、落とし込み初挑戦で釣るわ、釣るわ。
一芸に秀でた人は、何をやらしても巧いということを証明しているようなものだ。
その間に僕は、ハマチかメジロか迷うようなサイズを1尾とハリス切れでバラシが1回。最後の最後にロクマルカンパチをゲットして、10時過ぎにエサが全く食わなくなったので早上がりした。
2人の釣果はカンパチが4尾、ハマチからメジロが3尾だった。