【船名に「〇〇丸」が多いのはナゼ?】ベテラン船長に聞いた兵庫県家島説の語源「実は…幼児が使うアレが由来」

釣り船、漁船を含めて、皆さんがよく目にする日本の船。何気なく、それが普通だと思っていたことですが、船名に「丸」が付く船が多いと思いませんか?

先日、兵庫県姫路港の知々丸での取材の合い間に船長から、ふとこんな質問が投げ掛けられました、「船の名前に付いている“丸”って、何のことか知ってますか?」。

今まで取材やプライベートの釣行を含めて、数多くの船に乗ってきましたが、船名の「丸」の由来に関することは調べたことはありませんでした。

なので、「分かりません」と素直に答えると、知々丸の上谷船長は笑いながら教えてくれました。

▲知々丸の上谷船長

「小さい子供が用を足す“オマル”の丸です」と。

後で調べてみると、これには諸説があるようですが、今回は兵庫県家島の漁師たちに昔から伝わっている家島説を紹介します。

船名の由来、家島説はオマル!!

最近では、丸が付かない船名の船も増えてきていますが、まだまだ「~丸」という船は多いのが実情です。

では、家島の漁師たちの間ではナゼ、オマルを意味する丸を付けているのでしょうか?

「何でオマルなんですか?」と聞き返すと、上谷船長は話してくれました。

「昔の武将とかの幼名に使われているのと、同じ意味から来ていると思います。牛若丸(源義経)や日吉丸(豊臣秀吉)、梵天丸(伊達政宗)など、昔の武将には幼名に丸が付く人も多い。これは魔除けの意味があると言われています。オマルって、用を足すので“汚いモノ”というイメージがあると思います。汚いモノだから、悪霊や病気などが寄ってくるな、という先人の思いが込められているんです」。

「船も一緒。“丸(オマル)”は汚いものだから、海難事故などの災いが寄ってくるな!! という願いが込められています。この辺の漁師の間では、海に流れているモノには霊とかが付いていると、言われてきました。だから、漁師たちは海に流れているモノを拾いません(救助は別)。船はそんな海を航行するので、災いを避けるように汚いモノ“丸”を名乗っているんです」。

日本の船の名前の後ろに付くことが多い“丸”。この語源は、まだ確定されてないようですが、実際に“丸”を付けたベテラン船長に聞くと「なるほど!!」と思うような説得力がありました。

自然の中で働く船乗りさんにとっては、命に関わる危険も多々あります。不浄なモノを名乗って、厄災から逃れることを願う先人の考えが、現代にもつながっているんですね。

船名の丸の語源、どの説が定かなのかは分かりませんが、「漁師はゲンを担ぐんです」と声に力を込めて言った知々丸の上谷船長。

これからも家島周辺では、よき伝統として、船名の“丸”は引き継がれていきそうです。

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