「サワラを寄せる力が欲しかった」無数のサンプルを経て、ついに形となったジャークベイト【ラウドジャーク 120S】

シマノから2025年1月に発売が開始されるSWジャークベイト「ラウドジャーク 120S」。

近年、各地で人気を博しているサワラキャスティング。状況に応じてブレードジグ、ジャークベイトを使い分けることで、近海のサワラを狙うゲームだ。そのサワラキャスティングゲームに向けて開発されたのが、このルアー。

しかし、シマノのSWジャークベイトと言えば、記憶に新しいのが2024年7月に登場した「MD ザンバーノ SW 115S/115S フラッシュブースト」だ。すでに地域によっては定番化しているほどサワラに高実績のルアーとなっているにも関わらず、登場して1年も経たずに新たなルアーを発売するに至った経緯とは何なのか?

そんな疑問を、開発に携わったシマノモニター角井良隆氏にインタビューをさせていただいた。

角井 良隆(Yoshitaka Kadoi) プロフィール

シマノモニター。大阪湾のインショアボート「シーマジカル」所属のキャプテンアングラー。特にサワラキャスティングゲームにおいては黎明期から研究を進め、「釣らせる船長」としてお客様からの評価も高い。その他、メタルスッテやテンヤタチウオ等様々な釣りに精通しているマルチアングラーだ。

サワラを寄せるジャークベイトが欲しかった

角井氏「実は『ラウドジャーク 120S』の開発は、約3年前くらいから始まっていたんです。ザンバーノももちろん釣れるルアーなのですが、ザンバーノの動きとは別に求めているアクションがあったんです。僕が欲しかったのは、“サワラを寄せて食わせることができる”理想のジャークベイト。でも、僕の理想があまりにも高くって(笑)。ワガママや無理難題をシマノさんに聞いてもらいながら、無数のサンプルを作ってはテスト、を繰り返して、“釣れるルアー”として自信を持ってリリースすることができました。」

水面下で開発が進められていた「ラウドジャーク 120S」。数多のサワラを釣ってきた角井氏が目指した“理想のジャークベイト”とは、どのような要素を含んでいるのだろうか。

サワラが好むアクション

角井氏「まず『サワラが好む動き』とは? というところから研究をスタートしたんです。開発し始めたときは、エギのように左右に飛ぶ動きがあれば釣れると思っていました。で、サンプルが出来上がってきたので、お客さんがジャークベイトで釣れている時にテストしてみると、コレがビックリするくらい釣れないんです(笑)。ここで気づいたのが、ダートアクションだけではサワラが寄せられる訳ではないこと。そこから何度もテストを重ねて、サワラ寄せるためには“水押しの強いウォブリングアクション”が必要だと感じたんです。」

とっておきの重心移動システム

ラウドジャークには、従来のシマノプラグにはない11個のボールウェイト搭載の分散式球重心移動システムが採用されている。一見ただの重心移動システムにみえるこの機構。開発・搭載されるまでには、苦労のストーリーがあったそう。

角井氏「先ほどお話ししたように、サワラが好むアクションは絞り込むことができました。しかし、それだけでは完成とは言えません。サワラ狙いのキャスティングゲームでは、5kgを超える大型、10kgを超える青物も不意に食うことがあるんです。だから、僕は“強度”も絶対に欲しかった。なので、圧倒的に強度のある貫通ワイヤーと、4番の針を乗せられる強さも求めたんです。ですが、それらの要素を足してしまうと、ルアーのレスポンスがめちゃくちゃ悪くなってしまった。どうしたものかと開発担当と紆余曲折をした結果、『11個のボールウェイト搭載の分散式球重心移動システム』という、強度とレスポンスという矛盾を打ち破る機構に辿り着くことができたんです。パチンコ玉くらいの大きさの玉を2つで動かすよりも、同じウエイトを11個に分散した方が、飛距離も、レスポンスもよくなることに気付いたのはびっくりしましたね。」

レスポンスを向上させるために生まれた“分散式球重心移動システム”は、飛距離の向上、派手なラトル音によるアピールなどの釣れる要素を孕んだシステムとなった。角井氏によると、このラトルも大きさ、数、素材など数多くのテストを重ねて完成した苦労の賜物と言う。

アクションの方法

角井氏「サワラキャスティングでの基本的な使い方としては、まず着水後、ハンドルを2~3回転させてウェイトボールを馴染ませます。それから、あまり力まずにワンピッチワンジャークで動かしていきます。ジャーク後に一瞬だけラインを緩めるのがコツです。そうすることでルアーの軌道が変わります。しっかり見せて食わせる間を作る、というイメージです。ただ、あまり弛ませるとラインブレイクされやすいので注意してください。ワンピッチワンジャークで魚を寄せてから急に高速巻きをしたり、ピタッと止めてあげるとドーンッとヒットしたりすることが多いので試してもらいたいですね。11個のウェイトボールのレスポンスがとてもいいので、アングラー側の動かしたいタイミングにタイムラグなく反応してくれますよ。

ジャーキングはサワラを誘い出す釣り方です。ジャークしたときにブリッと動き、ビリビリとした波動で魚を寄せる動きが重要です。どんなルアーでも釣れるときはありますが、動きのいいルアーでしか釣れないときもあります。そんな厳しいときにこそ威力を発揮してくれるのがラウドジャーク120Sだと思います。

角井氏にとってラウドジャークは、信頼して投げ続けられる相棒のようなジャークベイトと言う。登場が楽しみな大注目ルアーだ。

シマノ公式「ラウドジャーク 120S」詳細ページはこちら

角井氏のタックルチョイス

ロッド:インステージ S732M+ or ディアルーナBS S73M+
リール:ツインパワー 4000XG
ライン:ピットブル8+ 1.2号
リーダー:30ポンド+スナップ

シマノ(Shimano)

1921年創業。1970年に「レジャーを通して人々の健康に寄与する 」という企業哲学のもと、釣具事業部が発足。リール、ロッド、ルアー、用品などクオリティの高いアイテムの開発、製造、販売までを行い、釣具の総合ブランドとして、国内外問わず多くのファンを抱えている。独自の技術も数多く、世界に誇るジャパンクオリティを提供し続けている。

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