魚が見ている世界はこんなに違う!釣りにも役立つ魚の視覚の秘密

水の中を優雅に泳ぐ魚たち。彼らが私たちと同じように周りの景色を見ているかというと、実はそうでもないようです。人間とはちょっと違う、魚たちのユニークな「視覚」の世界をのぞいてみませんか? 釣りのヒントにもなるかもしれませんよ。

広い視野と水中仕様のレンズ

まず、多くの魚の目は顔の左右についていますよね。これは、敵やエサをいち早く見つけるため。片方の目で真横や少し後ろまで見えるので、両目で見渡せる範囲(視野)は非常に広く、種類によってはほぼ360度を見渡せるとも言われています。前方は両目で見て、距離感を掴んでいるようです。

また、水の中でピントを合わせるために、人間の眼にある「水晶体(レンズ)」が、魚の場合はもっとまん丸に近い形をしています。空気中とは違う水の屈折率の中でも、くっきり物を見るための特別な工夫なんです。

カラフル?それともシンプル?魚の色覚

「魚は色を識別できるの?」これは多くの釣り人が気になるところですよね。答えは「魚の種類による」です。

カラフル派: 金魚や鯉、そしてトラウト(マス類)などは、人間と同じか、それ以上に豊かな色彩を見分けている可能性があるとのことです。特にトラウトのいち部は、私たち人間には見えない「紫外線(UV)」まで認識できると考えられています。驚きですよね!

シンプル派: 一方で、マグロやカジキ、チヌ(クロダイ)、グレ(メジナ)といった魚たちは、もしかすると色をほとんど識別できない「色盲」、あるいはそれに近い状態かもしれないと言われています。彼らにとっては、色の違いよりそのほかの情報が重要なのかもしれませんね。

イカはどうなの?

人気のターゲット、アオリイカも色覚はない可能性が高いそうですが、その代わり明暗の差(コントラスト)には非常に敏感だそうです。

水中では「赤」が消えるマジック

水は光を通しにくい性質があり、特に波長の長い「赤い光」は水深が深くなるにつれて急速に吸収されてしまいます。水深5mもあればかなり色は薄れ、もっと深いところではほとんど灰色や黒っぽい色に見えてしまうのです。

つまり、水面近くでは鮮やかな赤いルアーも、深いタナ(魚がいる層)に届けば、魚にはまったく違う地味な色に見えている可能性がある、ということです。

色より大事?「動き」と「コントラスト」への反応

魚の視力(細かいものを見分ける力)は、一般的に人間ほどよくないと言われています。少し離れたものは、ぼんやりとしか見えていないかもしれません。

しかし、その代わりに「動くもの」に対する反応は抜群です! 小さなエサの動きや、敵が近づく気配を敏感に察知します。ルアーの不自然な動きや、水中で不自然に揺れる釣り糸は、彼らにとっては「怪しい!」と感じる大きな要因になります。

また、「明るさの違い(コントラスト)」にも非常に敏感です。明るい水面を背景にしたとき、そこに黒い影(シルエット)があれば、たとえ色が分からなくても「何かいる!」とすぐに気づきます。透明な釣り糸でも、光の当たり具合によってはキラッと光ったり、影になったりして、その存在を魚に知らせてしまうことがあるのです。

「魚目線」を想像してみよう

魚が見ている世界は、私たちが思っている以上に多様で、面白い特徴に満ちています。色覚も、視力も、得意なことも、魚の種類や生息環境によってさまざまです。

次に釣りに行くときは、「今、魚の目にはこのルアーはどう見えているんだろう?」「このラインの動きは怪しくないかな?」と、ちょっとだけ「魚目線」で想像を膨らませてみるのはいかがでしょうか。きっと、新しい発見や釣りのヒントが見つかるはずですよ。

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