夜釣り用のヘッドライトに必ず付いている「赤色LED」。

▲とあるイベントで冨士灯器が実施していた体験コーナー
なぜ白色光だけでなく、わざわざ赤色が用意されているのでしょうか?
実はこの赤色光、夜釣りの効率と快適性を上げるための、ちゃんとした理由に基づいた機能なのです。 その3つの理由を知って、ナイトゲームを有利に進めましょう。
暗い場所にいると、人の目は少しずつ慣れて周りが見えるようになりますよね。 これを暗順応(あんじゅんのう)と言います。
しかし、ここで強い白色ライトを点けると、目は眩んで「昼モード」にリセットされてしまい、再び暗闇に慣れるまで時間がかかります。
赤色光は、この暗順応をほとんど妨げません。 そのため、「周りの海の様子を把握したまま、手元の仕掛けを交換する」といった理想的な状況をキープできるのです。
多くの魚にとって、赤色の光(長波長の光)は非常に見えにくい、あるいは感知しにくいことが分かっています。
白色ライトを水面に照らすと、その強い光は魚を驚かせ、警戒させてしまいます。 特に、警戒心の強い大物ほど光には敏感です。
その点、魚が見えにくい赤色光を使えば、自分の存在を悟らせずに足元を照らせます。 これにより、堤防の際やテトラの陰に潜むターゲットに、余計なプレッシャーをかけずにアプローチできます。
夏の夜釣りを悩ませるのが、光に集まる無数の虫。 虫は、紫外線や青色系の光に強く引き寄せられる習性(走光性)を持っています。 そのため、白色LEDは虫たちにとって格好の的。
一方、虫は赤色の光にはほとんど反応しません。 ライトを赤色に切り替えるだけで、顔周りに虫がまとわりつく不快感を劇的に減らし、釣りに集中できる快適な環境を作れます。
【賢い使い分け】で夜釣りの達人に
もちろん、ルアーのカラーを確認したり、釣った魚を締めたりする時には、正確な色が見える白色光が便利です。
基本は「赤色」:移動、仕掛けの準備、待機中 必要な時だけ。「白色」:色の確認、安全確認、ランディング時に。
このように戦略的に使い分けることで、赤色ライトのメリットを最大限に活かせます。
夜釣りの「赤色ライト」。 それは、アングラーの視界、魚の警戒心、そして自身の快適性という三方に配慮した、まさに夜釣りのための光なのです。 次の釣行から、ぜひ賢く活用してみてください。