過去には60cmオーバーの大型チヌが釣れた実績もある、串本のカセ。
ここ最近も大型チヌが好調で、串本大島の大裕丸では、58.5cm、57.5cm、そして記者が取材時に同船させていただいた、ベテランの子林氏も取材翌日に55.5cmの大型を釣り上げている。

▲串本大島の大裕丸
今回は、串本のチヌ釣りのベテランである子林氏に同船した釣行をもとに、串本のカカリ釣りのチヌ狙いを紹介したい。

▲大裕丸の常連の子林氏。2020年の取材では、60cm超の特大級を釣り上げた実績がある、凄腕のチヌ釣り師だ。今回の2日間の釣行では、チヌ45~55.5cm3尾を釣り上げた
大型チヌが狙える串本
大型チヌが狙える、串本のカセだが、ポイントはいくつかあり、主に浅海、灯台前、権現東などが期待できる。
子林氏は1日目は浅海の35mポイント、2日目は灯台前と呼ばれる、串本大島港を出てすぐ左の養殖筏に着けているカセに上がった。
大裕丸は自社養殖を行っており、カセの保有数は串本トップクラス。さまざまなポイントで釣りを楽しむことができる。2020年には、権現東で子林氏が60cm超を釣り上げた実績がある。

▲写真は浅海35mのカセ。1日目は浅海、2日目は灯台前のカセに乗船した

▲灯台前のカセ
タックル&仕かけ
カカリのチヌ釣りの仕かけはとてもシンプル。タックルは片軸リールにカカリチヌ専用竿。子林氏は、串本は大型が期待できるため、道糸は3号を使っているそうだ。

▲竿:エバン160西海(ツカサチヌハウス)

▲子林氏が使用している道糸と針
エサのダンゴ、サシエ
チヌ狙いのカカリ釣りでとても重要なのが、ダンゴの配合だ。子林氏のダンゴは比較的、比重が高く、より早く沈むようなセッティングでダンゴの材料を入れているようだ。
ポイント、エサ取り、潮の状況などを考慮して、どのようにダンゴが割れてサシエが出て、チヌが食うかをイメージしながら作ることで、釣果は大きくかわる。
子林氏は基本的には、右の材料を使っているが、その日の状況に合わせて、材料をかえたり、配分をかえたりしている。

▲ダンゴに使用したマキエ。本筏チヌ、大チヌスペシャルハイパー、紀州マッハ攻め深場を半分ずつ、ニュー赤ダンゴチヌを6kgが基本のダンゴの素材だ。これで、丸1日十分持つ。基本的には半分ずつだが、その日の状況によって多少配合をかえる

▲基本的に用意しておきたいエサが、エビ系、コーン、サナギ、練りエサだ。当日、子林氏は6種類のエサを持ってきていた。オキアミ、エビ系から順番に使っていき、何がアタるかを試していくことが肝心。コーンとオキアミの合わせエサは、効果があることも多いそうだ

▲オキアミ、エビ

▲オキアミ、コーン付け

▲ここ最近よくアタッているコーン

▲食いが渋い時に効果的なボケ
ダンゴの作り方
ダンゴ作りは、この釣りのキモとなる。作り方だが、まず、ダンゴのベースを1セット分配合したら、適量の海水(ダンゴ1セット14kgに対して約3l)を加えながらまぜる(ベトベトにならないように水を入れる。ギュッと握れば締まる固さ)。
その後は、ダンゴを一握り掴みサシエ、アンコ(コーン、サナギ、オキアミなど)を入れて、さらにダンゴを足してから、状況に合わせた固さに握る。

▲一握り掴み、アンコ、サシエを入れる

▲握りの回数でダンゴが割れる固さを調整する

▲握って形を整える
基本の釣り方
①釣りをする前にダンゴを10~20個作り、ポイント作りをするためにマキエを入れる
②ダンゴを作れば、仕かけを投入する(この釣りのタナは基本的には、ベタ底や底から1~3m上ぐらいまで)
③ダンゴが割れたら、潮の状況を見ながら、道糸を出したり、張ってやったりする
④穂先を押さえ込むアタリがあれば合わせる
⑤魚が掛かれば、ポンピングで上げる

▲竿先がブレないように持ちながら、アタリを待ち、穂先を押さえ込むアタリがあれば合わせを入れる
チヌは警戒心が強いため、居食いすることも多いそう。
アタリがあっても、居食いしてそうな時は、ラインを出して、底を這わせる釣り方をするのもよいそうだ。
道糸が張っていれば、エサを吐き出したりすることも多いので、そんな時はラインが真っすぐにならないように、潮に合わせて少しずつラインを出してやるとよい。
カカリのチヌ釣りのタナは基本的には底だが、状況によっては浮いていたり、潮の流れ次第で道糸を出した時、どれぐらい出しているかの把握をすることが、とても大切だそうだ。
子林氏は、油性ペンで底と底から3mごとにマーキングをしていた。これによって、タナの把握ができ、より丁寧にピンポイントでチヌを狙うことができるそうだ。
ハイシーズンを迎えている、串本のカセチヌ。
自己記録更新も期待できる魅惑のエリアに、夢の60(ロクマル)を狙いにぜひ釣りに行ってみてほしい。