堤防や磯、船釣りでも人気のターゲット「カサゴ」や「オコゼ」。どちらも高級魚として知られ、煮付けや唐揚げにすると絶品の魚だ。だが、この“美味しい魚”、実は毒を持つ危険生物であることをご存じだろうか?
見た目は地味でも、油断すると大ケガにつながる。この記事では、カサゴ・オコゼの持つ毒の正体と、刺されたときの対処法をわかりやすく紹介します。
背ビレに要注意!毒のあるトゲを持つ魚たち

△堤防釣りでよく釣れる「ハオコゼ」
カサゴやオコゼには、背ビレや腹ビレに鋭くて硬いトゲがある。このトゲには毒腺が通っており、刺さると体内に毒が注入される仕組みだ。
この毒はタンパク質系の神経毒で、刺された部位に強烈な痛みと腫れを引き起こす。特にオコゼは毒性が強く、「毒魚界のキング」と言われるほど。刺された人の中には「骨まで焼けるような痛み」と形容する人もいるほどだ。
一方でカサゴの毒性は微弱。それでも刺されればチクリチクリと鈍い痛みが少し続く。
刺された直後から激しい痛みと腫れが起こるのが特徴。特に手指など血流の多い部位では、数時間にわたって痛みが続くケースもある。ひどい場合は、頭痛や吐き気、発熱、関節痛、めまいなど全身症状に発展することも。
場合によっては刺し傷が化膿し、治癒に数週間かかることもある。また、高齢者やアレルギー体質の人ではショック症状に至る例もあり、軽視は禁物だ。
①まず傷口を洗浄
海水で汚れた傷口を、真水や消毒液でよく洗う。
②トゲが残っていれば除去
ピンセットなどでそっと抜き取る(無理にいじらない)。
③お湯で温める
毒は熱に弱いため、40~45度程度のぬるま湯で30分ほど患部を温めるのが有効とされている。
痛みがひどい・腫れが引かない場合は病院へ
市販の痛み止めだけで済ませず、医療機関での処置を受けるのが安心。
調理時も油断禁物!
釣ったあとクーラーの中でも、死後も毒が残っているため、調理時にも十分注意が必要。うっかり背ビレに触れて刺されるケースも多いため、下処理の際は厚手の手袋をするのが望ましい。
オコゼは見た目のインパクトから敬遠されがちだが、身はふわふわでクセがなく、天ぷらや刺し身で食べれば絶品。そのギャップも魅力のひとつだが、「美味い魚ほどトゲがある」という言葉通り、うまさと危険が紙一重の魚でもあるのだ。
釣って楽しい、食べてうまい、だけど触ると痛い!
そんな“毒持ち高級魚”たちの裏の顔、ぜひ覚えておいて損はない。