関西屈指の好漁場として名高い、和歌山・友ケ島周辺。数多くの一級ポイントが点在する中でも、釣り人たちが憧れる特別な場所がある、それが「ナカト」だ。
地ノ島と沖ノ島の間に位置し、数十メートルもの急激なかけ上がりが潮を走らせ、豊富なエサに惹かれた魚たちがひしめく。
条件が合えば、まさに入れアタリの夢舞台。しかし、そこに入れる日は多くない。だからこそ、ナカトに立てる瞬間は特別だ。

▲美味しそうなグッドサイズのイサギが登場

▲40cmオーバーのイサギが釣れました!

▲大型アジ2尾に良型イサギのトリプルヒット!
そんな憧れのポイントへ、確かな経験と判断力で導いてくれるのが加太港「藤原丸」。

▲加太の藤原丸
今回も絶好の潮回りを見極め、見事にナカトで40cm超のアジや良型イサギがを釣り上げることができた。
そこで当日の状況を基にタックルや仕かけ、基本的な釣り方をお届けしたい。
ギジエのタックル&仕かけ
今回は、加太の伝統釣法である「ギジエ」でアジやイサギ、マダイなどを狙った。仕かけは「高仕かけ」と言う、全長が15mもある長い仕かけで、幅広くタナを探ることができる。
タックルは、竿がオモリ負荷30号程度の船竿で、リールはベイトリール。藤原丸では、船で仕かけを用意してくれているため、タックルだけ用意しておけばよいのが釣り人にとっては有難い。
仕かけは、今までの経験を基にして、船長が自ら作っているオリジナルの仕かけだ。今回狙ったアジやイサギ、マダイなどを釣るのに実績も抜群。

▲藤原丸のオリジナル仕かけ

▲ギジエの釣りでは、ベイトリールが必須。カウンターはなくてもよいが、ビギナーはあった方が便利。写真はシマノの「オシアコンクエストCT」

▲ナカトでの釣りにオススメ。ダイワの「リーディングLG」73 MH-185MT
多彩なギジエ、エサを使う
加太のギジエ釣りでは、その名の通り、エサのかわりにポリエチレン素材などで作ったギジエを使うが、藤原丸では、それに合わせてワームやエサの青イソメを用意している。当日はポイントによって、使用した物が違った。
■ナカト
針の全てにギジエ、ワーム
■コマサキ
下から4番目の針までは青イソメ、上2つはギジエ
使っていたギジエやワームは、1.5㌅程度の長さで、小さなシラスやアミエビなどをイミテートしているようだ。また、ギジエは白色で、ワームはグロー、オレンジがよかった。常連の中には、さまざまなワームを持ってきており、その日の潮の色によって使う色が違うようだ。
青イソメは、基本的には魚の食いが渋い時。また潮が緩く食いが落ちてきた時に使うことが多いそうだ。

▲仕かけは6本針

▲ギジエのほかにも、ワームを使うのもよいらしい

▲ダイワのアジング用のワームもよかった

▲当日はグローやオレンジのワームがよかった
基本的なギジエの釣り方
①サミングしながら仕かけを底まで落とす
②仕かけが底に着けば、すぐに底を切る
③船長が指示ダナを言ってくれるので、その指示ダナまでゆっくりとリーリングする(船長の指示ダナは〇mではなく、底から〇回リールを巻いてという指示だ)。
④アタリがあれば、リールを巻くのを止めずにゆっくりと巻いていく。この時、合わせたりするのは禁物だ。
アタリがなければ、仕かけを再度底に落として、これを繰り返す。リールの巻き速度だが、基本的にはスロー巻きでよいが、魚が浮いている場合は、中速巻きがよいこともある。潮がとても速い時や食いが渋い時は、デッドスローがよいこともあるため、船長が都度、的確にアドバイスしてくれるが、船長のアナウンスをしっかり聞いて釣りをしよう!

▲基本的には着底したら、指示ダナまで一定速度でリールを巻く
「ナカト」など、根が荒いポイントの釣り方
ナカトなどの根が荒いポイントでは、基本的なギジエの釣り方と大きく異なる。そこで、ここでは根が荒いポイントの釣り方を紹介したい。
■ナカトの釣り方
①仕かけをサミングしながら下ろす
②仕かけが着底したら、すぐに糸フケを取る
③竿先を大きくゆっくりと上げ下げする
④底にコツンとオモリが当たれば、すぐにリールを巻いて2mほど仕かけを上げて根掛かりを回避する
⑤魚が掛かれば、すぐにリールを巻いて魚を根から離す。
根掛かりしないように強気に、やり取りしよう!
ギジエは仕かけが長いので、仕かけ捌きで釣果に差が付く。特にナカトは潮がとても速く、投入のタイミングに遅れたら、周りともオマツリするばかりか、釣りにならなくなってしまう。
そのため、仕かけを上げたら、次の流しの投入合図で仕かけをすぐに入れられるように、整えておきたい。特に根掛かりしないように釣りをすることは、とても大切だ。

▲根が荒い場所は、仕かけが着底したら、すぐに糸フケを取って竿を大きく上下させる

▲竿を上下させた時に、コツンとオモリが底に当たれば、すぐに2m巻いて根掛かりを回避する

▲仕かけを回収する時は、船ベリのマグネットシートに針を置く
1年を通して楽しめる、加太のギジエ釣り。今回は「ナカト」中心のポイントだったが、潮や天候によって変わり、多彩なポイントが楽しめる。
美味しい魚が釣れる加太に、ぜひ行ってみてほしい。
出船場所:和歌山県和歌山市加太町
アクセス:大阪市内から車で約1時間30分程度
ターゲット:アジ、イサギ、マダイ
釣行スタイル:早朝(出船時間は季節によって変わります)