釣りで必ずと言っていいほど使うオモリ。その役割は仕掛けを沈めることですが、実はオモリの形ひとつひとつに、釣り場や魚種に合わせた深い意味と工夫が詰まっています。
今回は、そんなオモリのネーミングや形状のちょっとした知識を紹介。
まさか魚の名前だったとは!「ホゴオモリ」の秘密
オモリといえば、六角やタル型、ナス型など、見た目から連想されるネーミングが定番かと思いきや、このオモリの名前には、ある魚の名前が使われています。
この細長いオモリ、ご存知「ホゴオモリ」と言います。
ホゴとは、カサゴ(ガシラ)のこと。
愛媛や広島など西日本の一部地域で、カサゴ(ガシラ)のことを「ホゴ」と呼んでおり、ホゴオモリの「ホゴ」は魚の名前を指しているんです。
ホゴオモリの共通点は、細長く棒状であること。これが最大の特徴であり、カサゴ(ガシラ)釣りと密接に関わっています。
カサゴやメバルなどの根魚は、岩礁帯の岩の影に潜んでいます。そんなポイントを狙う時、1番怖いのが根掛かり。オモリが岩の隙間に入り込んでしまうと、仕掛けのロストに繋がります。
この棒状の形状は、岩の隙間にオモリが挟まりにくいように設計されており、根掛かりを回避するための工夫なんです。
現在では、根魚狙いだけでなく、フォールスピードの速さからバチコンアジングやオモリグなど、ほかの釣りでも活躍の場を広げています。
見た目から名付けられた定番オモリ
ホゴオモリのように魚名に由来するユニークなものがある一方で、多くは形状をそのまま名前にしたオモリです。最もポピュラーで汎用性の高い2種類のオモリを見てみましょう。
釣り具店で最も目にする機会が多く、多くの釣りに使われるのが「ナス型オモリ」。
これは、見ての通り、野菜のナスに形が似ていることから名付けられました。シンプルなネーミングですが、その形状には使い勝手のよさが詰まっています。
もうひとつ、汎用性の高いオモリとして「六角オモリ」があります。
これも文字通り、六角形(ヘキサゴン)の断面を持つオモリです。この多角形の形状が、釣りにおいて非常に重要な役割を果たしています。
潮や水流への抵抗力を高める
六角オモリは、潮の流れや水流が速い場所で特にその真価を発揮。円柱形ではなく、角がある六角形であることで、底に着いた時に点で接触し、水底で安定しやすいとのこと。
この六角形の面と角が、水中での抵抗となり、必要以上にオモリが流されるのを防ぎ、仕掛けを狙った場所に留めておく効果を高めているのです。
たかがオモリ、されどオモリ
ずっと気になっていた「ホゴオモリ」の「ホゴ」。まさか魚の名前だったとは、私も驚きでした。
今回ご紹介したオモリ以外にも、タル型など、まだまだ多くの種類があります。オモリの形状ひとつで、根掛かりの回避や仕掛けの安定、アタリの取りやすさなど、釣りのしやすさや釣果に繋がってきます。
たかがオモリ、されどオモリ。次に釣り具店に行った際は、ぜひオモリの形状に込められた開発者の知恵と工夫を想像してみてください。