秋から冬の味覚、カワハギ。「海のフォアグラ」と称される濃厚な肝は絶品で、釣り人からは「エサ取り名人」として知られる賢い魚です。
そんなカワハギですが、その体の「模様」をじっくり観察したことはありますか? あのまだら模様には、カワハギの生態に繋がる面白いヒミツが隠されていると言われています。今回はその不思議な模様について調べてみました。
カワハギの美味しさと強さのヒミツ
まず、カワハギの魅力はその生態にあります。
名前の由来にもなった硬い皮は、岩場で暮らすための「鎧」。絶品の肝は、アサリやウニといった栄養豊富な好物を食べる美食家だからこそ。そして、水中で静止する「ホバリング」能力を使い、エサの先だけを器用にかじるテクニックが「エサ取り名人」の所以です。
このように、カワハギは自然界を賢く生き抜いています。その生存戦略は、体の「模様」にも表れているのかもしれません。
カワハギの模様に隠された?3つの説
ここからは、本題である模様の不思議な世界にご案内。
カワハギは、周囲の環境に合わせて体の色や模様を変化させる能力を持っているとのこと。これは「保護色」と呼ばれ、天敵から身を隠すためのスキル。
岩場では背景に溶け込むように濃く複雑な模様に、明るい砂地では白っぽく淡い色合いに変化するんだそう。
さらに面白いことに、カワハギの模様は、1尾1尾すべて違うのではないかという話。
人間の指紋のように、生まれつきの個性的なパターンがあるという話があります。もし水族館や鮮魚店で複数尾見る機会があれば、ぜひ見比べてみてください。「あ、この子とあの子、確かに模様が違う!」という発見があるかもしれません。
そして最も興味深いのが、カワハギは「気分」によっても模様を変化させる、という説です。
釣り人の間ではよく知られていますが、釣り上げられたカワハギは、興奮して模様が急に濃くなることがあります。これはストレスや警戒心の表れだと考えられています。
さらに、仲間同士のコミュニケーションに模様を使っているのではないか、という見方もあるようです。群れで行動する魚なので、模様の濃さで社会的力関係を示している…なんて、想像が膨らみますね。
カワハギの美味しさや釣りの面白さは、その知恵に富んだ生態に裏打ちされています。次にあなたがカワハギに出合うとき、その絶品の味を楽しむ前に、少しだけ立ち止まって1尾1尾の個性的なデザインを眺めてみてください。
魚の生態って、面白いですよね。さらに釣りが好きになってしまうかも。