
冬の海は荒れることも多いですよね。そうなると、本当に寒い…
冬の船釣り。デッキの上は、陸上とは比べ物にならない冷たい風が吹き付け、時にはしぶきを浴び続ける…まさに修行のような環境ですよね。
こんにちは、「つりそく」編集部です。 我々も取材やプライベートで、毎年この過酷な状況に立ち向かっているわけですが、長年アングラーを悩ませるのが「防寒着、何が正解?」問題。
最近は、ゴアテックスに代表される「透湿防水素材」の高機能ウエアが主流です。確かに、軽くて暖かく、汗をかいても蒸れにくい。快適さで言えば、間違いなく最高レベルでしょう。
でも、船釣りに限って言えば、こんな「あるある」ありませんか?
「エサがベッタリ…洗うの大変そう…」 「魚の血やヌメリが…シミになったらどうしよう…」 「高かったから、汚さないように気を使う…」
そうなんです。高機能ウエアはデリケートな一面もあり、汚れを気にせず水でジャブジャブ洗う、というわけにはいきにくい。 釣りに集中したいのに、どこかでウエアのことを気にしてしまう。本末転倒ですよね。
そこで今回は、記者が散々悩み、色々なウエアを試した結果、冬の船釣りの「最適解」として愛用している、とある“最強アウター”をご紹介したいと思います。
■ 結論:行き着いたのは「PVCマリンサロペット」でした

記者が愛用しているPVCサロペットは、このシマノさんの「マリンスーツ」のおそらくずっと前のモデルだと思われます
私が最終的に選んだもの。それは、漁師さんや水産関係者も愛用する、昔ながらの「PVC(ポリ塩化ビニール)素材のマリンサロペット」です。
「え、今さらPVC?」 「ゴアテックスの方が快適じゃない?」
そう思う方も多いでしょう。 しかし、こと「船釣り」というジャンルにおいては、PVC素材には高機能ウエアを凌駕するほどの圧倒的なメリットがあるんです。
■ メリット:圧倒的な「防水・防汚性」と「精神的なラクさ」
PVC素材の最大の強み。それは、生地表面に水が染み込むスペースが一切ないこと。 つまり、「完全防水」であり「汚れが圧倒的に落ちやすい」んです。
船の移動中に浴びる猛烈なしぶきも、エサなどがベッタリ付着しても、全く問題なし。 濡れたデッキやイケスのフタに腰掛けようが、水が染みてくる心配は皆無です。

どこにでも座れる強さが魅力
そして何より最高なのが、釣行後のメンテナンス。 そのままホースの水をぶっかけてゴシゴシ! はい、おしまい!
この「汚れを気にしなくていい」「メンテナンスが超ラク」という精神的な余裕が、釣りの集中力をどれだけ高めてくれることか。

パンツの裾口はサイズ調整できるのも嬉しい
■ デメリットを「工夫」で最強の武器に変える
もちろん、いいこと尽くめではありません。 PVC素材の最大の弱点。それは「透湿性(蒸れにくさ)がゼロ」であること。
通気性がまったくないので、汗をかけば当然、内側は蒸れます。 もしこれを夏場に着て釣りをしたら…想像するだけで恐ろしいですね。まさにサウナスーツ状態です(笑)。
「じゃあ、冬も蒸れて寒くなるんじゃない?」
そう、そこがポイントです。 このサロペット単体では、防寒着とは言えません。私はこれを「防寒着」としてではなく、「最強の防水・防風アウターシェル(一番外側に着る殻)」として使っているんです。

一番左が記者。これは4月初めなので、ミドルレイヤーは薄め
活用法は「レイヤリング(重ね着)」。 このサロペットは、あえて少しゆったりめのサイズを選びます。
その下に、
ベースレイヤー(高性能な速乾性アンダーウェア)
ミドルレイヤー(フリースや薄手のダウンパンツ)
これらをしっかり着込む。 こうすることで、ベースレイヤーが汗を吸って素早く乾かし、ミドルレイヤーが暖かい空気の層をガッチリとキープ。そして一番外側のPVCサロペットが、冷たい風としぶきを完全にシャットアウトしてくれる。
この「着込み前提」のスタイルこそが、PVCサロペットの真価を発揮させるキモなんです。

こちらは6月。もう防寒は必要のない時期ですが、夏以外は着れます
じつは私、このサロペットを上下セット(スーツ)で購入したんです。 でも、買った当初にジャケットも着てみたんですが…どうにもサイズ感がゆったりめ過ぎて、釣りの動作がしっくりこない。動き辛さを感じてしまい、結局ジャケットは使わなくなってしまいました。

サロペットは見えませんが、履いています。こちらは12月で完全防寒。ジャケットは透湿防水素材のものを着用
それ以来、アウターのジャケットは動きやすい防寒着を着て、下だけこのPVCサロペット、というスタイルに落ち着いています。 ただ、あのジャケットも防寒・防水性は凄まじいはずなので、インナーとミドルをガッツリ着込んで、厳冬期のアウターとして再挑戦してみるつもりです!
あと、地味に嬉しいのが「蓄熱効果」。 特に黒色のサロペットだと、晴れて太陽が照ると、表面がジワ〜っと暖かくなります。PVC素材は熱に弱いと言われますが、太陽光ぐらいの温度では全く問題なし。むしろ、ちょっとしたカイロ代わりになって、これが意外と快適なんですよ(笑)。
■ まとめ:「汚れを気にしない」が冬の釣りを変える
高機能な防寒着は素晴らしいアイテムです。しかし、船釣りのように「汚れ」が避けられない環境では、その性能が逆にストレスになることもあります。
「高価なウエアを汚したくない…」と釣りに集中できないくらいなら、発想を転換してみる。 汚れや水しぶきを一切気にせず、釣りに没頭できる「PVCマリンサロペット」を最強のアウターとして採用する。
もしあなたが私と同じ悩みを感じているなら、この冬、「着込む」ことを前提としたPVCサロペットという選択肢、オススメしますよ!

























