秋冬の釣り物として大人気の「カワハギ」。その愛嬌のある顔つきと、肝(キモ)の美味しさで釣り人を魅了しますが、ひときわ目を引くのが頭の上にピンと立った「ツノ」ですよね。
なんでカワハギにツノがあるの?

そこで疑問が…。
「なんで、カワハギにツノが生えているのか…」
「これで攻撃するの?」と思われがちですが、実はあのツノ、攻撃用ではなく、自分の身を守るための「超高性能なアンカー(錨)」だったことをご存知でしょうか?
今回は、カワハギのツノに隠された驚きのメカニズムと、アンカーだけではない意外な役割について深掘りします。
カワハギのツノの最大の役割は、体を固定することです。 彼らは、泳ぎがあまり得意ではないため、敵に襲われたり、休んだりする時は、岩の隙間や海藻の中に逃げ込みます。
この時、岩の隙間でこのツノを「ピン!」と立て、岩に引っ掛けて体をガッチリと固定(ロック)します。こうして潮に流されるのを防ぎ、外敵に隙間から引きずり出されないように踏ん張っているのです。
このツノは、後ろにある小さな突起が根元にハマり込むことで完全にロックされ、カワハギ自身の意思以外では絶対に倒れない仕組みになっています。
実はこのツノ、体を固定する以外にも、生き残るための重要な役割があると言われています。
天敵である大型魚に襲われた際、ツノを立てて体を大きく見せ、「飲み込めないぞ!」とアピール。もし無理やり食べられそうになっても、鋭くロックされたツノが敵の口や喉に刺さり、吐き出させる効果があるそうです。
またオス同士の威嚇や、興奮した時にツノを動かす様子も観察されており、仲間同士のコミュニケーションツールとしての役割も持っているようです。

隠れる時は「アンカー」、襲われた時は「つっかえ棒」、そして仲間への「合図」。
カワハギのあの1本のツノには、厳しい自然界を生き抜くための戦略が、これでもかと詰め込まれているんですね。
次回、釣り上げた際は、ぜひ観察してみてはいかがでしょうか。

























