なぜワカサギは「公魚」と書くのか?名前に隠された高貴な歴史と、背中にある「ある秘密」

冬の釣り物として大人気の「ワカサギ」。氷上の穴釣りやドーム船で数釣りが楽しめ、天ぷらにすれば最高の味覚ですよね。

そんな親しみやすいワカサギですが、実は「将軍様に愛された魚」であり、「あの巨大なサケの親戚」だということをご存知でしょうか?

今回は、釣り場で誰かに話したくなる、ワカサギの意外すぎる「名前」と「正体」について深掘りします!

漢字で書くと「公魚」。由来は徳川将軍家への献上品だった!

ワカサギを漢字変換すると「公魚」と出ます。「公(おおやけ)」の魚と書くのは、決して「どこにでもいる大衆魚だから」という意味ではありません。むしろ逆で、「公儀御用魚(こうぎごよううお)」、つまり将軍家に差し上げるための特別な魚だったことに由来します。

話は江戸時代にさかのぼります。常陸国(現在の茨城県)の霞ヶ浦周辺で獲れたワカサギを、麻生藩が献上品として徳川11代将軍・家斉(いえなり)へ贈ったそうです。

焼き魚にして食べた将軍様は、そのあまりの美味しさに感激! それ以来、ワカサギは将軍家御用達の魚として認められ、「公(将軍家・公儀)の魚」=「公魚」という漢字が当てられるようになったと言われています。

私たちが普段何気なく食べているワカサギは、かつては天下の将軍様も舌鼓を打った「ロイヤルフィッシュ」だったのです。そう思うと、いつもの天ぷらが少し上品な味に感じるかも(笑)。

実は「サケ」の親戚!?背中の「脂ビレ」が動かぬ証拠

あんなに小さくて細長いワカサギですが、生物学的な分類を見ると驚きの事実が分かります。なんと彼らは「サケ目キュウリウオ科」。つまり、あの巨大なサケやマスの仲間なんです!

「え?全然似てないじゃん!」と思いますよね。でも、よーく観察すると、サケの仲間である決定的な証拠が体についているんです。

釣れたワカサギの背中を見てみてください。背ビレと尾ビレのちょうど中間あたりに、チョコンとした小さなヒレがありませんか?

これは「脂ビレ(あぶらびれ)」と呼ばれる、サケ科やアユなどに特有のヒレです。中には骨がなく、脂肪のようなものでできています。 この脂ビレこそが、ワカサギがサケの親戚であるという証だそうです。

水辺の小さな貴公子、ワカサギ

将軍に愛された高貴な名前を持ち、サケと同じ脂ビレを持つ魚、ワカサギ。 数釣りで「質より量」になりがちなターゲットですが、次に釣り上げた時は、ぜひその背中の小さなヒレや、将軍様も愛したその味を、じっくりと噛み締めてみてください。

小さな1尾に詰まった歴史とロマンを感じれば、冬の釣りがもっと楽しくなるはずですよ!

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