【浅場から深場まで】多彩な魚種を楽しめる魅惑のポイントをタイラバでタン能!

寄稿:佐々木洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

梅雨空の合間を縫って、南紀みなべまで足を延ばした。「海水温は18.4度まで上昇し、産卵から回復したマダイが活発に口を使い始めた」と言う。

船長にポイントを伺うと、「みなべ沖の水深20m前後のシャローから、60mライン、そして90mまで広く探ってみたい」と言う。風に対して船を横向きに流すドテラ釣りなので、風向きや風の強さにもよるが、ヘッドは45~200gぐらいまでが必要だ。タックルを揃え、4時半にみなべ港の「純栄丸」に集合した。

シャローエリアからスタート

■ドテラ釣法で狙う
出船は5時、片舷流しなので、湯川船長の指示で釣り人全員が左舷に陣取った。乗船人員を絞り、片舷と言えども釣り人同士が十分なディスタンスを取れるように配慮され、安心して釣りができるのが嬉しい。

最初に入ったのは、湾内の水深わずか20mのシャローだ。潮回りは中潮、満潮は7時半、ちょうど潮速がとろみ始める潮時である。

出典:シマノ

タングステンヒューストンの45gヘッドに、鯛ラバ専用喰わせ鈎、コブラスリムカーリーの赤ゼブラをセットした。

リールのクラッチを切ると、あっという間に着底する。風はなく、ドテラで流しても、ほとんどバーチカル(縦)の釣りになる状況であった。私はベイトタックルでキャスティングし、広範囲を探る戦法に出た。

海水温18度と言えば、活性も高いはずだ。私は少し早めのスピードでリールのハンドルを巻き、アップテンポな釣りを展開したが、アタリはない。

少しすると、左舷の大ドモに陣取った常連の中川安示氏にマダイがヒット。まだ産卵に絡んでいない小ぶりのマダイだが、小気味よくロッドを引き込んでいる。どうやら、マダイの活性は高そうだ。

少しすると、再び中川氏のロッドが大きく引き込まれ、叩くようなアタリは紛れもないマダイである。

船中1尾目を吊り上げた中川氏

首尾よく、湯川船長のタモに納まったのは、この日最大52cmのマダイ。ネクタイはオレンジのカーリーであった。

続いて、後ろから2番目の釣座の松岡巨樹氏のロッドが絞り込まれた。松岡氏が釣り上げたのは40cm前後。食べ頃サイズのマダイ。

松岡氏が釣り上げた40cm級のマダイ

ポイントはデッドスロー

常連の中川氏と松岡氏の釣りを観察すると、リーリングのスピードは「超デッドスロー」の遅巻き。巻きスピードは、ハンドル1回転を2秒で回すぐらいのスロースピードだ。

私もすかさず巻きスピードを落とし、様子を探ってみると、ほどなくしてショートバイト。だが、フッキングには至らなかった。

まずは塩焼きサイズがヒット

ゆっくりの巻きスピードを調整していると、小気味よいマダイのアタリがあり、ロッドが引き込まれた。これは40cm弱の塩焼きサイズであった。

引き続き、タイラバを前方にキャストし、ボトムを意識しながらデッドスローで巻き続けると、再び私のロッドが引き込まれ、少しサイズアップしたマダイが湯川船長のタモに納まった。

私のネクタイはコブラスリムカーリーの赤ゼブラ。ネクタイのカラーよりも、巻きスピードがこの日の釣果を左右したようだ。

「この場所は水深20mしかないが、先日も60cmオーバーのマダイが釣り上げられて、浅場の大ダイは横走りするし、そのファイトは面白いですよ」、と船長。

水深60mラインのポイントに移動

潮が止まり、アタリが遠退いたので、「水深60mのポイントに移動しましょう」と船長は言う。少々風が出てきたので、私はヘッドをタングステンの70gに交換した。

潮が動き出すまでの辛坊だな、と思いつつ、デッドスローのリーリングを繰り返すが、一向にアタリがない。

この海域の魅力は、内海と異なり、ハタ類などの多彩な根魚やシオ(カンパチ)など、思わぬ高級魚がタイラバにアタックしてくることだ。

だから、少々強引なファイトができるように、PEラインは1号、リーダーはフロロの4号ぐらいの太めのセッティングがオススメだ。

風が強く釣りづらい状況に

下り潮に転流すると、季節外れの北西風が吹き出した。南下した前線に、大陸高気圧から冷たい風が吹き込んできたのである。下り潮に北西風が加わって、船はどんどん流される。

ヘッドを重くして対応するが、非常に釣り辛い海況となってきた。

船長は70mラインまで流す筋をかえて、実績のあるポイントを次々と探っていく。そんな状況下で、左隣の松岡氏のロッドが大きく引き込まれた。マダイらしからぬ引きであったが、案の定、上がってきたのはホウボウ。しかし、後が続かなかった。

強風で本命ポイントは諦め20mの湾内のポイントに戻る

強風に無数のウサギが飛び始め、本命の90mラインは断念。みなべ湾内の20mラインに船を戻した。朝方とはうってかわり、船は風で流される。ヘッドは60gに交換し、軽くキャストしてボトムをスローでトレースしてくる釣法に切りかえた。

ネクタイはコブラスリムカーリーの赤ゼブラ。フックは掛け合わせ鈎の1本仕様だ。食い渋った時には1本針の方がネクタイがよくナビき、マダイを誘うからである。

ほどなくして、ネクタイをモゾモゾとついばむような微妙な前アタリが続いて、炎月XR N-B63ML-Sの軟らかいソリッドの穂先が、キューンと引き込まれた。小気味よいヒットである。

ゆっくり巻き上げてくると、これも塩焼きサイズのマダイ。タモは入れず、一気に抜き上げた。再びキャストして巻き上げてくると、同じタイミングでアタってきた。同様の釣り方で、このマダイも一気に抜き上げた。

塩焼きサイズのマダイはタモを入れず抜き上げた

斜め引きの場合、むやみやたらとタイラバを遠投する必要はない。海面とPEラインがある角度になった時に、アタってくることが多いのである。その角度を見極め、その角度になるようにタイラバを軽くキャストし、着底させ、あとは等速巻きを心掛けることが大切だ。

この釣法で連続3尾のマダイを追加。深場を攻略せずに、この20mラインの浅場だけで釣りをしていれば、ツ抜けの釣果を達成することができたかも知れなかった。

シャローから水深のある漁場まで、マダイから豊富な根魚やカンパチまで、タイラバで多彩な魚種が楽しめるのが、みなべのタイラバ釣りの魅力である。

皆さんもチャレンジされてはいかがですか。

ランキング

釣り場・釣り船の情報をまるっとチェック!