
「浪速の夏祭りに欠かせない食べ物」と言えば、マダコである。
ほどよく茹で上げたマダコの、歯を押し戻すほどの食感を楽しみながら噛み締めていると、身の芯からジワジワと旨味が溢れてきて、口中に広がり、ついつい箸が止まらなくなる。
今、まさにその時期。「旬を釣る」のタイトルにピッタリの釣り物だと、マダコのサンクチュアリーにも例えられる明石沖の鹿ノ瀬へ出掛けてみることにした。
今回の相棒は、シマノのタチウオ三銃士の1人、立野義昭氏だ。開口一番、「昨日は和歌山の日ノ岬沖でイサギ釣りでしたが、雨風で船は大揺れ、厳しかった~」と言いながらも、魚はほどほどに釣れたらしく、顔が笑っている。
昨日は麦わらイサギで、今日は麦わらダコと、東京転勤から関西に戻って、休み毎に旬の魚を追いかけ回しているようだ。

今回乗船したのは明石の海蓮丸
5時、船体を真っ赤に染め上げた海蓮丸が、静かに河岸払いした。ポイントまで40分ほどかかるとアナウンスがあったが、まず手始めに鹿ノ瀬の西南にある深場のポイントを攻めるらしい。
その間に、迷いながら最初に使うエギをセレクトした。
釣り人が多くて急遽、仲乗りに変身した藤田氏は、「昨日はピンク系と黄色のエギがよかったよ」と、アドバイスしてくれる。
さらに、「朝の内はエサ巻きによく乗るからこれ使ってみ」と、手渡されたエギには、ケンサキイカの身がしっかり巻き付けられていた。
これで釣れたも同然だと喜んだまではよかったのだが、ポイントに着いて仕かけを下ろし、竿のティップを使ってエギを揺らしながら、タコのご機嫌を伺うのだが、美味しそうなケンサキの身には全くの無反応。

船中では3kg級の大型も
そうこうしている内に朝の時合が終わり、それでも皆さんはポツポツと釣り上げられてるのに、相変わらず僕だけ無反応。
こうなると、やれることと言えばエギを交換するしかない。
で、エギはハリミツの蛸墨族 オンブのミドリエビとリアルカニの2つに、アシスト工房の蛸の恋人の黄色をプラスして下ろしてみたら、これに600g級がやっと乗ってきた。

1杯目は600g級がきた
やれやれ、これでボーズ逃れできたと喜んだのも束の間、それから約3時間、全くアタリもなし。
すぐ傍で釣っている立野氏は、すでに5ハイを超えている。
よい場所で釣りながら、よほど僕にはタコ釣りのセンスがないんだなと諦めかけた11時過ぎ、ズシっとした手応えで1kg弱のサイズがきてくれて、これで何とか両目が開いたが、そんな低いレベルで競争などできる訳がない。
相方の立野氏は、あと1パイで「ツ抜け」と気合を入れ直していたが、残念ながら最後の1パイは出なかった。
今回のタックルは、浅場用にタコエギXR-S175、深場用にタコエギXR-M175を用意した。自重はSタイプが132g、Mタイプが135gなのでほとんど変わらないし、軽量設計なので1日手持ちの釣りでも疲れにくいのがウリ。
Sタイプは投げやすいグリップ形状なので、浅場を広く投げて探るのにも向いている。Mタイプは深場でもしっかりエギを操作できるし、キロアップのマダコでも力負けしないパワーの持ち主。
リールは、深場用にベイゲーム300PG、浅場用にゲンプウXT200PGを使い分けた。