タイラバのセッティングにおいて、よく質問されるのがネクタイだ。天候や海況に応じて、カーリーかストレート? シリコンか集魚系か? カラーはレッドかオレンジ? 釣果に関わるネクタイだけに、参加者の関心は高い。
また、タイラバ釣りのユーチューブ番組や各メーカーのホームページをご覧になって、しっかりした考えをお持ちの参加者もおられて、心強い。
ただ、私が見ていて気になるのが、ネクタイのセッティングだ。
タイラバはネクタイがなびく波動で、マダイを誘うというのが通説である。ネクタイのカスタム化が主流になる中で、そのセッティングに無頓着な方が案外と多いのである。
ネクタイセッティングの3原則は…
①動作確認
②ラバーを付けすぎない
③左右に広げる
の3点だ。
当たり前のことだが、タイラバをボトムに落とす前に、竿先で海水面近くを左右に動かし、ネクタイがちゃんとなびいているか? フック絡みをしていないか? ヘッドがクルクルと回転していないか、この3点を確かめる。
ネクタイがフックに巻き付いたままで落とし込んでも、マダイは口を使わない。
この連載に何度も書いているが、私が推奨しているのは1本針。ネクタイ絡みが激減し、体験会を通じて比較してみても、アタリの数は断然多い。
フッキングパワーも1本針なら100%の力が針先にかかる。2本針なら半減だ。私は金龍鉤の鯛ラバ専用アシストフックバーブレス」、アシストラインはPEラインの5号で結んでいる。
ヘッドがクルクルと回ってしまうのは、ヘッドとネクタイ留めパーツのバランスが悪く、ヘッドのセンターからズレてネクタイがセットされた時に発生する。
センターにネクタイ留めパーツがセットされているか、再確認しよう。
完成品で販売されているタイラバは店頭での見栄えを重視し、ラバーは多め、カラフルでボリュームのあるセッティングのものが多い。
ところが、明石、加太、鳴門といった激戦区では、ネクタイのみ、あるいはネクタイ+ラバー2、3本というセッティングの方が、マダイがよく口を使うことが経験的に分かってきた。
そうした傾向から、ヘッド、ネクタイ、フックを別々に調達し、カスタムするアングラーも増えているのが、最近の傾向である。一見、貧相に見えるタイラバの方が釣果に恵まれることも多い。
だから、フレキシブルに船上で交換できるネクタイ留めを活用し、ヒットパターンを探りだすことが肝心だ。
少し前に、鳴門のタイラバ船・つるぎに乗船した時のことである。西上卓志船長は、自らカスタムしたタイラバを釣り人に提供しており、その経験から、「ネクタイがすぼまらずに、左右に広がるセッティングの方がマダイがよくアタッてくる」と語る。
実は私も同じことを感じていて、写真のような中心にラインを通す穴が空いた円錐形ゴムを途中まで割ったものを大・中・小の3種を用意し、間にネクタイを挟み込み、タングステンのヒューストンバクバクに挿入、広がりの幅で釣果が違うのか、テストを繰り返した。
底辺の面積が大きいほどネクタイが左右に広がる。どのサイズがよいのかを探ったのである。
テストの結果は、「大」、「中」、「小」全てのサイズで釣果を得ることができたが、「大」・「中」の差はなく、それぞれ小サイズの1.2―1.3倍のアタリ数であった。思いのほか、「大」が伸びなかったのは、ヘッドからゴムが飛び出しすぎたことが原因かも知れなかった。
明らかなのは、左右に広がるセッティングは針絡みを引き起こしにくく、ネクタイ同士の干渉も少なく、効果的にマダイを誘う波動を発生させている可能性が高い。
オススメのネクタイ留め①
そのような観点から、既存のネクタイ留めを検証すると、最初にネクタイ留めを提案したシマノの「スルスルパーツ」はネクタイを挟むツメの下の円盤がネクタイを左右に広げ、しかもコンパクトで軽量と極めて優秀である。今でも多くの愛用者がいるのも頷ける。
この夏に発表になったになったシマノの「スルスルクリップ」は写真のようにクリップを外し、ネクタイを付けかえ、留め具のクリップを下げるだけという簡単セッティング。
パチンとクリップが留まり、しっかりネクタイをホールドするのが小気味よい。ネクタイ交換も素早く、ご年配の方でもやさしく交換できる。交換が面倒臭くないというのが最大の利点だ。
オススメのネクタイ止め②
一方、シーハンターやPEラインなどの編糸でループを作り、そのループの中にネクタイを挟み込むというセッティングをされる方も多い。
そのループの上から、ウキ止めゴムなどで抑えるのが一般的なセッティングだが、そうするとネクタイは左右に広がらずにすぼんでしまう。
そうしたセッティングをされる方にお奨めしたいのが、オーナーばりの「チェンジストッパー」である。
皿状のストッパー2枚をループに通し、その間にネクタイを挟み込むことで、簡単にセットできるし、船上でのネクタイ交換も手早い。
ストッパーがネクタイを広げるので、こうしたパーツを活用すると便利である。
体験会では、タイラバで釣っていただくこと第一に、フック、ネクタイは全て私が準備。参加者はクーラーとタイラバヘッドだけをご持参いただいている。
また、ロッド・リールは最新のアイテムをシマノが提供。最新タックルを体験できるのも好評である。
ネクタイのセッティングや釣り方は船上で、1人1人に解説。タイラバのスキルアップを目指す方は、ぜひご参加ください。