
今井浩次
船釣り、渓流釣り、アユ釣りetc…各地を釣り歩く、おなじみサンTV・ビッグフィッシングの解説者。元釣りサンデー編集局長。シマノアドバイザー
初夏に食べておきたい魚がある。
釣り人ならよくご存知の「イサギ」だ。
幼魚の証でもある縦縞が消え、全身が黒褐色のきしむような肌に覆われた大型のイサギが手に入ったら、何をさて置いても塩焼きで味わいたい。
炭をおこし、強火の遠火で焼き始めると、黄色い脂が雨粒のようにしたたり落ちて、ジュウという音とともに、えも言われぬ芳香を放つため、思わずお腹がグゥ~と鳴いてしまうほどだ。
そんなイサギが釣りたくなって、6月某日に和歌山県美浜の山見丸へ出掛けた。
日高港からゆっくり走っても30分ほどの行程でポイントの楠井沖へ到着。
「最初は底から5m上げてエサを振り、あとは10mぐらい上までタナを変えながら探ってみて」と船長からアドバイス。

山見丸の山見幸生船長
初めての人もいたので、手ほどきしながら底上5mのタナからスタートすると、1投目からアタリだ。
水深35、36m。底を取ってすぐに5m上げてエサを振り、竿を水平の位置に保ち、しばし間を取ってアタリを待つ。
アタリがなければリールを半回転か1回転して、今度は小さめに竿を振り、マキエを散らしておいて再度アタリを待つ。
これを2、3回繰り返したら、ほとんどマキエはなくなっているので、すぐに仕かけを上げて打ち返した方がよい。
1投目から9回続いて空振りなしでイサギが食ってきたが、サイズは25cmから大きくて27、28cmが中心だった。
潮があまり動かないので食いが止まるとアンカーを打ち直していたが、潮が止まると、ポツポツ釣れていたイサギが全く食わなくなった。
そこで船長は船を走らせ、関電沖の魚礁にポイントを変えた。
魚探には真っ赤になるほどイサギの群れが写っているのだが、潮が動かない上に風がないので船が安定せず、何度かアンカーを打ち直す。
そして、ようやく群れの上に船が乗った。
すると正直なもので、途端にギュンギュンと竿を絞り込む派手なアタリが出始めた。
追い食いさせようと、しばらくスロー巻きで誘ってみるが、なかなか思い通りには食ってくれない。
そのかわりイサギの型がグッとよくなって、ほとんど30cm前後、中には35cm近くある良型がまじるから面白い。
10時前、ちょうど30尾釣ったところで僕は竿を納めたが、最後まで竿を出した奈良の和佐氏が50尾釣って竿頭になった。
水温が安定せず産卵が遅れていたのか、メスには真子、オスは白子がバッチリ入っていた。
イサギも旨いが、真子の煮付けに、白子のホイル焼きも垂涎ものだった。

イサギの白子のホイル焼き
当日の筆者のタックル
※この記事は2019年7月5日発売の週刊釣場速報に掲載された記事を再編集、加筆したものです。