西高東低の気圧配置が続き、厳しい寒波の到来だ。穏やかな瀬戸内海でも出船できない週末。
「雪の日の釣り師」ではないが、そんな休日は来たる桜鯛の乗っ込みに備え、ラインを巻き直したり、タックルボックスの整理、収納方法を見直す好機でもある。
気になるタックルボックスの中身、収納術を公開
そう言えば、「鯛ラバ体験会」でもよく訊ねられるのが、私のタックルボックスの中身と、その収納方法だ。
参加いただいた皆さまには直接タックルをご覧いただき、説明しているが、紙面で紹介するのは今回が初めてである。
船上に持ち込むタックルには、タイラバ釣りへの考え方や姿勢が込められており、オープンにするのは、ちょっと気恥ずかしいが、参考になれば幸いだ。
私が持ち込むタックルはロッドとリール、クーラーのほかには、「ロッドレストボートバッグ」(シマノ)とバスケット(リングスター)だけである。
私のタックル収納のスタンスは次の3点だ。
・作業効率を高める
・帰宅後の片付けを楽に
・魚を美味しく持ち帰る
では、順番に解説しよう。
船上では細いPEラインでシステムを組んだり、ネクタイやフック、ヘッドを交換したりと、細かい作業を、それも強風の中で行わなければならないこともある。
スピーディに作業を済ませ、少しでも長い時間、タイラバを海中に投下できるように、いわば「ピットイン」の時間を短縮することが最優先だ。
PRノット用のボビンワインダーやリーダー、PEラインカッター、フックシャープナーはウォーターガードのパッキング付きのケースに収納し、すぐに取り出せるようにしている。
マダイに付ける印は、白色の結束バンドに5色のカラーストローを短くカットしたものを、小型のパックケースに用意。
無印も合わせれば6人分、さらに2色以上のマーカーを組み合わせれば、無数の組み合わせが可能。
多くの乗船者にご利用いただけるので重宝しており、評判もよい。
私の収納は、濡れモノと乾きモノを分別し、後片付けを楽にしている。
濡れモノにはリングスターのバスケットを活用する。
まず、バスケットの底にドリルで穴を開け、海水が溜まらぬように排水口を造る。
ホームセンターで購入した蝶ネジで、探見丸のステイを取り付ける。
そうすれば、釣座がかわってもバスケットを持参すれば、どこへでも探見丸を移動させることができ、船べりに取り付ける手間が省ける。
バスケットの中には、前述のノットシステムツールやリーダーを入れた
・ウォーターガードのケース
・マーカー(結束バンド+ストロー)
そして、左から…
・イージーフィッシュグリップ(スミス)
・針外し用ペンチ(スミス)
・スプリットリング交換用の計測FGノットプライヤー(ハピソン)
・水産用万能バサミMRCー170(MCC)
・ナイフ(シマノ)
・神経締め用キリ:鼻の穴から神経締めができない時は、額にキリで穴を開けてワイヤーを通す
・フロートエアヌキ(ヨーヅリ)
・形状記憶合金神経締め・鮮度たもつ君0.8mm×60cm(吉見製作所):イケスに落としても沈まぬように、浮き玉を装着
・締めかぎ
・糸くずなどのゴミ入れは、カー用品を利用している
このように濡れモノをまとめておけば、ノットも魚を締めるのも、釣座で素早く処理ができる。何よりも、ほかの釣り人が「貸してください」とバスケットに手を伸ばしてくるのは、このシステムが使いやすい証拠であろう。
釣りが終了したらロッドからリールを外し、傷が付かぬように滑り止めシートに包んでバスケットに入れる。
帰宅後はバスケットをシャワーで洗い流すだけ。
血の付いたナイフ類は錆びないように洗剤で洗っているが、ロッドやリールとともに、効率よく洗って、バスケットごとベランダに干している。
釣った魚を美味しく持ち帰るには、次の5つの手順が必要だ。
ア・イケスで休ませる
釣り上げたばかりのマダイは興奮して、身が硬直している。腹内のエアーを抜き、マーカーを付けて、イケスで休ませ、帰港中に〆める。
イ・脳天締め
イケスがない場合は、まず脳天を突き、船上でバタバタと暴れさせないようにしよう。暴れると身割れの原因となる。
大きく口を開き、魚体を反らしたら、脳天を突いた証だ。
ウ・血抜き
すかさずキッチンバサミでエラを切り、エラブタからナイフを入れ、背骨下の動脈を切る。心臓はまだ動いているので、勢いよく血が吹き出す。海水を入れたバケツの中でマダイを揺すり、血を抜く。
エ・神経締め
血が抜けたら、マダイの鼻からワイヤーを差し込み、尾の付け根まで延髄に通す。死んだはずのマダイが痙攣するので、それでうまく延髄に入ったかどうかが分かる。
オ・冷却
ここからが肝心だ。血抜きを済ませたマダイは砕いた氷に海水を注いだ海水氷に浸す。30分も漬け込んだら、内臓まで冷え切る。
クーラーの内寸に合わせてカットしたスポンジシートを2枚用意し、海水氷の上に1枚目を敷き、その上に冷えたマダイを移動、もう1枚のスポンジシートを被せる。
次のマダイも同様に処理し、帰港時に海水だけを抜けば、マダイを直接、氷に触れることはなく、硬直させずに持ち帰ることができる。
帰宅後にマダイの頭を掴んで振って、身がクネクネと動けば、寿司店に持ち込んでも使っていただけるレベルである。
次は乾きモノの収納だ。私は、ヘッド、ネクタイ、ネクタイ留め、フックを別々に「ロッドレストボートバック」(シマノ)に収納している。
なお、ネクタイの交換にはピンセットを用意しておくと、スピーディな交換が可能となる。
また、バックのフタが反対側に倒れぬように「PEアシストライン」(オーナーばり)で固定すると使いやすい。
ネクタイはシリコン、集魚ネクタイを別々のルアーケースに入れ、すぐに取り出せるようにしている。
ヘッドはサイズ別に収納。使用したネクタイやヘッドは、バスケットの中のパックケースに入れている。
帰宅後は、バッグを雑巾で拭くだけ、汚れがひどい時はケースだけ洗浄している。
以上が、現時点で私が1番使いやすいと思っているタックルボックスの中身、そして収納方法である。
タイラバ好きの皆さまの参考になれば幸いである。