9月4日に開催された、「第6回炎月×FREE SLIDE 鯛ラバCUP 予選in明石・淡路」には、11船に130人もの参加者が集い、大盛況。
このところ、1船で100尾近い好釣果が続いたこともあり、多くの参加者が期待に胸を膨らませての参戦だ。
ところが、前々日の雨の影響で、水潮による二枚潮と、濁りでマダイは一気に食い渋り、「大会あるある」パターンとなってしまった。
例年、ツクツクボウシの合唱が盛期を迎える9月に入ると、バタッと釣果が下がり、しばらくしてから釣果が上向いてくる。雨の影響だけではなく、これには、ちゃんとした理由がある。
広島市水産振興センターが公表しているデータを見ると、瀬戸内海の水深10mの海水温は、海面の温度より1、2カ月近く遅れることが分かっている。
海面は8月初旬に30度近くまで達するが、水深10mの海水温がピークに達するのは、9月中下旬から10月初旬である。
9月に入って、マダイの活性が下がるのは、この高水温の影響だ。いわば、マダイは「のぼせた」状態になる。
よく「台風が来て、海水を掻き回さないと、魚の活性が上がらない」と漁師が嘆くのは、海底の高水温や、それによる酸欠を指している。
こうなると、盛んにタイラバを追ったマダイもにわかに気難しくなり、触ってもショートバイト、すぐにネクタイを放してしまう。
魚探を確認すると、マダイはボトムにへばり着いている。
タイラバを通すのは、海底からせいぜい5m、リールのハンドルは10回も回せば十分。
マダイが神経質になっている時は極力、軽いヘッドを選び、フワフワと漂うように落としていくのが有利。
明石のように潮が速い漁場では底取りが難しく、慣れない入門者には辛いかもしれないが、重いヘッドをドスンと落とすと、ナーバスなマダイを散らしてしまうことになる。
ともあれ、ボトムでじっとしているマダイを狙うのだから、巻きスピードはデッドスローだ。ローギアのリールで、じっくり誘い上げるのがコツである。
45gのタングステンヘッド、あるいは鉛の6号、8号ヘッドがよい。
デッドスローでもよく動く、ささラボの薄型のコブラカーリーやコブラ・スリムカーリーが断然有利だ。
当たりカラーは、オレンジゼブラやゴールドゼブラ、レッドゼブラも定番である。
ハンドルの巻き数は着底してから10回と決め、「絨毯爆撃」を執拗に繰り返す。
小さなアタリがあっても、マダイはすぐにUターン。巻きスピードをコントロールしながら、さらに執拗に攻め続けると、再び、マダイがアタり始める。
アタリと同時に巻きスピードを落とし、さらにデッドスローで巻き続けると、最初のアタリから3~4mほど巻き上げたところで、ようやく本アタリがでるようなパターンだ。
雨の影響で上潮が滑るような二枚潮の時は、あえて重いヘッドを用いて、ラインをピンと張るのも重要なテクニック。
二枚潮でラインがS字状になっていると、リールを巻いてもラインの弛みを取るだけで、肝心のボトムでタイラバが動いてくれない。
先の「第6回鯛ラバCUP」でレディース部門で優勝した桑本美尾さんは、あえて120gの重いヘッドを使用し、ラインスラックをなくすような釣り方でリミットメイク。見事に優勝を果たした。
ボトムでタイラバがどう動いているかを意識して、釣ることが大切である。
この気難しい時期に大ダイを狙おうと思えば、ネクタイセッティングも重要である。
ボリュームのあるセッティングで大ダイにアピールしよう。
小型がアタってこないので食いは渋く感じるが、アタれば中、大型のマダイである。
オススメはコブラカーリーのオレンジゼブラ+レッドゼブラの組み合わせ、あるいは、ゴールドゼブラの組み合わせに実績が高い。
夏場には強い波動を出す厚みのあるネクタイによく反応したマダイも、この時期はスローな巻きでもよく動く、薄型ネクタイが有利だ。
ボリュームのあるネクタイに大ダイが反応するのなら、ビッグワームはどうなのか?
明石沖で開催した体験会では、仲みゆきさんが良型をゲット。ややスローな巻きで、やはりボトムで食わせたと言う。
私がテストしていたロングワームにも、60cm弱のプロポーションのよいマダイがヒットした。
アタリがあってから、食い込むまでに少々時間を要したが、こうしたロングワームでの大ダイ狙いも、突破口が見えてきた。
9月初旬、本紙でもお馴染みの徳島県阿南市の阿波哲で、ビッグワームのテストを重ねた。
同船者はタイラバ3人、ジギング3人の計6人。
私は電動リールのフォースマスター200DHを持ち込み、電動タイラバでビッグワームをテスト。
低速でも究極の等速巻きが実現できるし、細かいピッチで巻きスピードがコントロールできるので、当たりスピードを探るにはもってこい。
船縁にロッドホルダーをセットし、クラッチのオンオフだけ、不精なタイラバ釣りを行った。
水深は70m前後、ボトムから10m 巻き上げてはフォールを繰り返していると、いきなり穂先が海面に突っ込んだ。紛れもない大ダイのアタリである。
ドラグが引き出され、モーターが唸りをあげる。
40mまで巻き上げたが、水圧の変化が苦しいのか、そこからマダイは浮いてこない。
無理をせずに、そのファイトを凌ぐと、マダイは徐々に浮き始めた。
そして、船縁から10mほど沖合に浮かび上がったのは、何と73cmのマダイ。プロト製品の快挙に、手が震える思いだった。
ビッグワーム、ロングワームのカラーもローテーションし、オレンジカラーでも実績を上げることができた。
この日は3人がタイラバで10尾のマダイを釣り上げ、うち3尾が70cmオーバー。
私はビッグワームの電動タイラバで4尾のマダイを釣り上げることができた。
セッティングにはネジ式のパーツを利用しているが、マダイに引っ張られても、抜けにくいパーツを開発中である。
アシストフックはワームと長さにもよるが、4~5cmと長めにした方が、針掛かりがよい。
2本針はアシストが長いので絡み合い、トラブルがが多かった。1本針でもバレることはないので、1本仕様を推薦する。
フックは金龍鈎の「鯛ラバ専用アシストフック 喰わせ鈎/バーブレス」がオススメ。
ワームの太さに応じて、ワームが挟まらないサイズのフックをセットしてほしい。