今回は和歌山・串本で開催された「本州最南端鯛ラバ大会」について
串本町古座のルアー船オーシャンフィールドの藤田船長の呼び掛けで、記念すべき古座初の「本州最南端鯛ラバ大会」が10月29日に開催された。
ルールはタイラバで釣り上げたマダイの1尾長寸を競うもの。凪沙丸(串本港)の堀船長も協力し、2船体制で開催した。
参加者は関西のほか、茨城や神奈川から総勢15人。ゲストはアングラーズアイドルの、そらなさゆりさんと私。そらなさんは堀船長と同級生で、幼馴染みだと言う。
雄大な太平洋に三方を囲まれた和歌山県串本町は、黒潮の恵みを受け、古くから全国屈指の漁業の町として栄えてきた。
そんな串本町古座川のほとりでルアー船をスタートさせたのが磯釣りで有名な藤田渡船だ。私が初めて乗り込んだのは2018年6月、かれこれ4年間も通ってきたことになる。
漁場は大小40余りの奇岩柱がそそり立つ「橋杭岩」から、古式捕鯨発祥の地として名高い太地町の沖の水深30~120mのエリア。
何より驚いたのは大ダイはもちろんのこと、タイラバを早巻きすればカンパチやヒラマサ、ブリなどの青物が狙える。
宙層では、大アジやイサギ、ウメイロ、チカメキントキ、アカヤガラと魚種も多彩。さらに、根魚の種類の豊富さは関西随一。
マハタ、オオモンハタ、ホウキハタ、イヤゴハタ、アカハタ、アオハタ、アコウ、ヒラメ、ガシラ、アヤメカサゴ、オニカサゴ、ヒメジ、運がよければクエがタイラバに襲い掛かる。
しかも型がよく、タイラバでの最大魚は8kgのホウキハタだそうだ。
本州最南端の豊かなフィールドで、タイラバ大会を開催できたら面白いのに、と以前から話していたことが、ついに実現したのだ。
私は凪沙丸に乗船し、5時半に古座を出港。
古座沖は凪、水深40mの最初のポイントまで、わずか20分で到着した。潮は北東から南東に向かって1.5ノットくらいで流れている。
古座のタイラバは、全員が片舷に乗ってのドテラ流し。潮と風に流されて広範囲を探る。
ドテラ釣りには、何と言っても電動リールがもってこいだ。なにせ究極の等速巻きが実現できる。
さらに200m近くラインが引き出されても、回収が楽チンなのだ。私のイチ押しは、さまざまな機能が搭載されたシマノの「フォースマスター200」。
クラッチを切ると、モーターが止まり、再度クラッチレバーを押すと、さっきと同じスピードで巻き上げ始める。
この機能は、すこぶる便利でタイラバのタッチ&ゴーが電動リールで容易に操作できる。
私のスタイルは、電動タックルをロッドホルダーにセットしたまま、クラッチのオンオフだけでタイラバを操作。
波による上下動の影響を避けるため、ロッドはストロークの取れる長寸のモノを使用している。
そして、電動を操作する傍ら、手巻きのタックルも使用する〝二刀流釣法〟だ。
巻きスピードを探る上でも、2つのタックルで多くの情報を得ることができるので、極めて有効な釣法と思っている。
手巻きはスプール径の大きい「オシアコンクエストCT300HG」が大物とのやり取りにも剛性が高く、安心である。
ドテラ釣りにはハイギアタイプのリールを選ぼう。手巻き用のロッドは、シマノのXシートガングリップが手首が疲れずに重宝する。
6時、はるばる茨城県から来られた岡安優氏が凪沙丸でマダイをゲット。しかし、後が続かない。
堀船長は大会だから「数よりも型狙い」と、大物の潜むポイントへランガンを繰り返し、30mから60mラインまで幅広く探っていく。
一方、オーシャンフィールドの藤田船長に様子を伺うと、朝イチから全員同時ヒットが連続し、2流し目でマダイ総数は10尾を超えたと言う。
乗り込んだそらなさゆりさんによれば、船長と2人掛かりでもタモ入れが追いつかず、写真撮影をしたり、協賛のハピソンの「計測マルチハサミ」で魚締めの実演をしたりを朝から大汗をかいたそう
だ。
1船で60cmオーバーが3尾、マダイ総数は30尾を超えたと言うから、古座沖のポテンシャルの高さは凄い。
50cmを超えるオオモンハタも複数キャッチしたと言う。
その後、凪沙丸で竿を大きく曲げたのは、右舷ミヨシに陣取った沼田智行氏だった。朝日が眩しい7時、私と同じ〝電動二刀流〟スタイルで釣りをしていた沼田氏のロッドが海面に突き刺さった。
「フォースマスター200」は唸りを上げて巻き続けるが、5m巻き上げては5m引き出されるを繰り返す、スリリングな格闘が始まった。
パワフルに巻いて確実にプレッシャーを掛け続け、徐々に魚との間合いを詰めていく。乗船者全員が見守る中、タモに収まったのは堂々71cmの大ダイ。
ヒットルアーは、ササラボの「トラッドピンテール(ケイムラゼブラ)」と「スリムカーリー(レッドゼブラ)」の組み合わせ。彼が得意とするコンビネーションであった。
ポイントとなるのは、シャローから100mライン。しかもドテラ釣りがメインとなるので、45gから少々重めの150gぐらいまでのヘッドを用意する必要がある。
最近の傾向としては、バイブレーションしたり、泳ぐタイプの形状をしたヘッドより、動かないモノの方がマダイにはよいようだ。泳ぐタイプのヘッドは青物やカツオなどがアタってくる。
今回、ネクタイはゼブラカラーが絶好調で、優勝した沼田氏はケイムラゼブラのストレート(トラッドピンテール)と「スリムカーリー」のレッドゼブラのコンビネーションであった。
マダイがベイトフィッシュを追っている時は、特にストレートタイプが有効で、この日、私はゴールドゼブラのストレートタイプが奏功した。
根魚の歯でネクタイはすぐにボロボロにされるので、交換パーツは多めに持参しよう。
フックは、ササラボの早替えアシストシングルが絶好調。アシストラインに柔らかいPEラインを採用し、ネクタイの動きを阻害しないのが、アタリの多さに繋がっている。
フックは私が提案した「鯛ラバ専用アシストフック」ドテラ釣法用の「掛けあわせ鈎」のお薦めしたい。
表彰式&BBQ
13時に帰港。手際よく、表彰式が開催された。入賞は60cm超のプロポーションのよいマダイが揃った。
1位…沼田智行氏71.5cm、2位…仲井章二氏67.3cm、3位…吉井泰彦氏61.3cm。

1位になった沼田智行氏
ロッドやタックルボックスなど、豪華景品がそらなさん、船長から授与され、大会は大いに盛り上がった。
大会終了後は、古座川のほとりで、船長主催のBBQ大会が催された。「そらな農園」の秋の恵みや、古座の山海の旬が振舞われた。
参加者の川嶋敏正氏手づくりの「黒糖大学芋」は絶品で、西空に陽が沈むまで大盛り上がり。
次回は来年3月に〝春の陣〟を開催予定だ。皆さんも参加して、大会からBBQまで、黒潮の恵みを存分に堪能されてはいかが!