タイラバのネクタイは簡単に自作できる!材料や作り方をささラボの佐々木氏が徹底解説

寄稿:佐々木洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

釣具店にお邪魔すると、所狭しと並ぶタイラバのネクタイ。いつの間にこんなに種類が増えたのか、正直言って、驚かされる。

形状もネクタイ型、ピンテール型、カーリー型に大別され、大きなものから小さなものまで、さまざまなサイズがある。

それに加え、カラーバリエーションも豊富だ。入門者は一体、何を買い揃えたらよいのか、戸惑うに違いない。

タイラバとの出会い

筆者が初めてタイラバ釣りに出会ったのは、今から20年前、鳴門の亀浦漁港であった。

鳴門では「鯛かぶら」を使った釣りにも3種類あり、鉛玉に針が固定された、いわゆる鯛かぶらにエビエサを刺す①鯛かぶら釣り、それから②フラフラ釣りと言って、鉛玉に網糸でフックを結び、針がブラブラした状態で、エビエサを刺すもので、①、②共に、船頭は生きたエビを用意してくれる。

それに対して、エサを付けずに鉛玉に網糸でフックを結び、さらにゴムネクタイを付けたものを③ゴムかぶら釣り、と呼んだ。これが、今日のタイラバ釣りの原型である。

①、②、③共にビシマ糸(十数cmごとに鉛を打ち込んだ網糸)で、かぶらを着底させ、それを手繰ってマダイを狙ったのである。

ゴムかぶら釣りをしたいのに、間違ってフラフラ釣りと予約すると、船頭はエビを用意してしまうので、正式にゴムかぶら釣りと伝えなくてはならなかった。

当時のネクタイは、ほとんどが「餌板」と呼ばれる生ゴムを切ったネクタイ型であり、カラーは赤か橙が主流であった。

ゴムかぶら釣りを本職とする漁師たちは、餌板を買い揃え、密かに独自の形状に切り揃え、オリジナルのネクタイを製作していたのである。

材質が生ゴムだけに、半年もすると、乾いた輪ゴムのようにバリバリになって使い物にならなくなる。これを漁師は「風邪を引く」と呼んでいたのが懐かしい。いつしかネクタイは「風邪をひかない」シリコンゴムに取ってかわり、プリントや加工のしやすさから、カラーも形状も多様化してきた。

この20年間、筆者自身もさまざまな餌板をカットし、自作を重ねて、ネクタイの厚みや形状の違いによる動きを研究してきた。また、釣具メーカーのテスターとして、多彩な形状のネクタイをテストし、提案し、改良も重ねてきた。

そんな経験から、皆さんにぜひ、お薦めしたいのがネクタイの自作である。

自作して初めて分かることもたくさんある。決して難しいことはないので、ぜひ、挑戦してはいかがであろう。

ネクタイ自作に必要なモノ

ネクタイをカットすると言っても、特別なツールは必要ない。いずれも100円均一で揃う材料ばかりである。

・カッティングマット
・養生テープ
・定規
・カッターナイフ
・ロータリーカッター
・細字のマジック
・コンパス

ネクタイを作ろう!

ゴムシートには、餌板のように裏張りがないタイプのものと、裏張りシートがあるものがある。購入された餌板に裏張りがないか、裏張りが薄地のものならば、まず、裏張りを張る。

①裏張りを張る

カッティングマットに餌板を敷き、上から養生テープを貼り付ける。しっかり餌板を伸ばして貼り付けるのがコツだ。

この時、カットするネクタイの大きさをイメージしながら貼り付け、たくさん作る場合は、極力ロスが出ないように、どのようにレイアウトすれば無駄がないかを、考えておく。

ちなみに、SASALABOで製作している自作ネクタイ用の「カスタムラバー」は、厚手の裏地を貼っており、ハサミでもカットしやすい。初めての方はもちろん、ぜひお試しいただきたいアイテムだ。

②ネクタイのデザイン

ピンテール型のネクタイを作ろうと思えば、養生テープの上からボールペン、または細字マジックで定規を当てながら作図する。

ピンテールのネクタイを作図したもので、中央が分かるように、くびれも書き込んでいる。

③ネクタイのカット

ネクタイのカットには、ロータリーカッターナイフを用いるのがコツだ。

通常のカッターナイフで引くと、ゴムが伸びて切れ目がギザギザになることがある。定規を当て、しっかり押さえながら、裏地の方からロータリーカッターを引くと、ネクタイをキレイに切り出すことができる。

中央部のくびれはハサミで刻む。切り出したネクタイの養生テープをゆっくり剥がせば、簡単に自作ネクタイができる。

ロータリーカッターを用いれば、湾曲部もキレイにカットすることができる。まずは、切り出しやすいストレート型のネクタイをカットし、ネクタイ作りに慣れよう。

④カーリーネクタイ

次は、カーリーネクタイにチャレンジしてみよう。SASALABOのシャインオレンジのカスタムラバーを使用する。

細字のマジックインキを挟むことができるコンパスで、透き通った裏地の上に直径2、3cmの円を描く。外周が直径3cm、その内側は直径2.4cm、内周は直径1.8cmだ。

次に、外周と内周を結ぶラインを手書きで描く。

カッティングマットに仮止めしたカスタムラバーを外し、ハサミでゆっくりカットしていく。裏地の台紙がしっかりしているから、カットは容易である。

そして、ネクタイを台紙からゆっくり剥がす。カーリーネクタイがこんなに簡単にできるのか、びっくりされると思う。

ネクタイの長さ、ネクタイ幅はお好みに合わせて、自由に設定できるので、アシストフックにセットするのが楽しみである。

⑤ネクタイテスト

ネクタイの動きを確認するには、ネクタイをセットしたアシストを割り箸に挟んで、風呂桶で実際に泳がしてみるのが確実である。

しかし、ネクタイをカットしている途中で、いちいち風呂場に行くのも、手間が掛かるし、効率が悪い。

大まかにネクタイの動きを確認するには、ドライヤーの弱風をネクタイに吹くことで、おおよその動きは確認できる。たくさんカットする時には、このような簡便なテストも役に立つ。

よくあるのだが、ネクタイの先端がフックに絡まりやすいようなケースは、送風テストの方が顕著にその傾向が現れるので、ぜひ試していただきたい。

自作ネクタイづくりは楽しい!

ネクタイの幅や長さも自在にコントロールできるので、マッチザベイト、あるいはアングラーのイマジネーションで自由自在にネクタイを設計できるのが楽しい。
何よりも、自分で製作したネクタイで釣り上げたマダイは、喜びも一入である。

知らず知らずにネクタイの形状からその動きが予測できるようになり、街中を歩いていても目に飛び込んでくるさまざまな形状が、ネクタイのヒントにならないか、などと思ったりする。

皆さんも、ご自分でネクタイをカットする喜びを体験してください。

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