ひょんなことから、渡邉長士さんにアジング黎明期の面白い話を聞くことができた。渡邉さんが「アジがルアーで釣れる」と感じた当時のことを聞き、前回記事でご紹介させていただきました。
前回記事では、「アジング」という言葉の名付け親も渡邉さんではないか?という記者の推測も書いたが、少なくとも2002年にはアジをルアーで釣ることをアジングという言葉で表現していた渡邉さん。
そしてその釣りの独特の面白さを、もっと広げていきたいと思ったという。
この楽しさ、広げたい

こちらは今から15年ほど前のお写真だそうだ。すでにこの頃には相当な引き出しがあった!?
アジングを広げたいと思った渡邉さん。
しかし、当時は現代と異なりSNSや動画などから個人で発信できる場所がなかった。渡邉青年は「伝手などを頼って雑誌などにも話を持ち込んではみたのですが…」と苦笑い。
当時の反応としては…。
「えぇ?ホントに釣れるの? 仮に釣れたとしてアジでしょ?サビキでいっぱい釣れるじゃない」という声が多かったんだとか。
とはいえ、釣り仲間や話を聞いて興味を持った方たちと一緒にアジングを楽しみ、少しずつその輪を広げていったという。
その後、しばらく時が経ち、今度は西日本からアジングブームが到来。その波は関東へも。「それが10~15年ほど前ではないですかねぇ」と話す渡邉さん。
私事で恐縮ですが、弊社・ルアーニュースでリリースしたアジングDVD「アジングショック」の第一弾作品が2009年の発売なので時系列的にも合点がいく。
西日本からムーブメントが起きたアジングだが、その前からルアーでアジ釣りを楽しんでいた渡邉さんにとっては「逆輸入のような感じでした」と笑う。
もしかしたら、アジングという言葉を持って、関東から全国に盛り上がったかもしれないと思うと、紙一重のタイミングの妙を感じてワクワクするような…。
西日本からの流れも取り込みながら
さて、結果的には西日本からの流れは関東にも飛び火。しかし西日本側から伝わるアジングアプローチ法を見てみると「掛けのアジング」が多い印象だったという。一方の渡邉さんは、小型ミノー、スプーンなどを使ったリトリーブ主体の釣り。

△詳しくは前編をご覧頂きたいが、当時の雑誌の寄稿でもスプーンやミノーでのリトリーブ主体の釣りについて執筆していた渡邉さん
ベースにリトリーブの釣りがあり、それに自信を持ちながらも積極的に掛けの釣りも取り入れてフィールドで試した渡邉さんは、さらに引き出しを増やしていく。
そして関東にも「アジング」という言葉が定着し始めると…。次第に雑誌社も「渡邉長士」を思い出すことになる。
「雑誌社さんも〝そういえばワタナベが昔そんなこと言ってたなぁ…〟という感じで、改めて問い合わせがきて、取材やロケが増えていったんですよね」と話す。
その後の渡邉さんのご活躍は皆さんが知るところ。アジングの名手としても知られる。
余談にはなるが、時間さえあれば釣りに行きたい渡邉さんらしい最近のエピソードがひとつ。
無事閉幕した大阪フィッシングショーにて、メーカーブースに招待されていた渡邉さんは、ショー当日の早朝まで釣りをしてから新大阪行きの新幹線に乗ったそうだ…。
釣りが好きスギる渡邉青年は、その頃の気持ちのまま、ナイスミドルとなった今なおその引き出しを増やし続けている。