海苔パターンのタイラバ。チョイスするネクタイのカラーは“意外な色”だった

寄稿:佐々木洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

「今年も室津沖に桜鯛が乗っ込んできたよ」との連絡に釣友を誘い、2月中旬、懇意にしている明石の老舗・魚英に乗り込んだ。

淡路島の室津沖がマダイの漁場として注目され始めたのは、ここ1年のこと。ハローキティスマイルでお馴染みの北淡沖は、タイラバの漁場として名高いが、室津沖は話題にも上がらなかった。

そもそも、桜鯛と言えば、桜の咲く3月下旬か4月上旬がシーズンだ。海底の水温が最も冷え込む2月に、50~70cm級の良型マダイが乱舞すると言うのは、ちょっとした事件であった。

やがてSNSで知れ渡たり、昨年3月には淡路島、明石、姫路の遊漁船やプレジャーボートが集結し、室津沖に大船団を形成する有様だ。

室津沖の漁場

5時に明石港に集合し、5時半出船。あいにくの氷雨が降る中、魚谷吉伸船長が操船する船は一路、室津沖を目指した。

室津沖は一面養殖の「海苔ひび」が設置されたエリア。何と、水深は10~30mの浅場だ。マダイは好物の海苔を捕食しており、胃袋を割くと海苔がぎっしり詰まっている。この海苔を意識したネクタイ選びが、釣果を左右する

明石は潮流が速いので大潮は釣り難いと言われる。しかし、室津沖は潮が流れないので、大きな潮回りを選んで釣行するのが肝心だ。

この日は中潮で、朝のうちは潮が動くが、11時を過ぎると潮が緩む。だから午前中が勝負。船長の「やって〜!」の合図でスタートフィッシングとなった。

バチコーラ色

船長はしきりとコーラー色を薦める。

実際の海苔の色は緑よりも茶色に近い

私はテストしたいネクタイカラーをセットし、あれこれ試すが、まったくノーバイト。

ほどなく、右舷大ドモに陣取った常連の西田氏が、50cmアップのマダイをスピニングタックルで釣り上げた。ネクタイはコーラ色である。

続いて、左舷大ドモの高蜂氏にヒット、同サイズのマダイをキャッチ。さらに、右舷後ろから2番目の小川氏もこのサイズを連発。

潮カミとなった船尾を中心に怒涛のラッシュが続く。やはり全員がコーラ色のネクタイをセットしていた。

素早く、船長オススメの「コブラカーリー、バチコーラ」に付けかえたフリーアナウンサー、仲みゆきさんのロッドが大きく絞り込まれた。浅場だけに、そのファイトは強烈。最初のダッシュは青物かと思わせるほどの勢いで、ドラグを引き出した。

スリリングなファイトに喉はカラカラ。タモに収まったマダイは、ジャスト50cmの体高と厚みのある美味しそうな桜鯛。バーブレスのシングルフックが、上唇を縫い刺していた。

しかし、船長の指示は素直に聞かなければならない。

シングルフックバーブレス

タイラバはネクタイをなびかせて、その波動でマダイを誘う釣りである。フックを1本にすることで、デッドスローでもネクタイがよく動き、アタリが増える。海水温の低い春先の桜鯛には、極めて有効な戦略だ。

微妙なアタリは大物だ

ようやく、ミヨシにも魚が回ってきた。左舷の船首で釣りをしていた松山氏が、コーラ色のネクタイで40cmアップのマダイをゲット。

そして、私の隣、右舷ミヨシでスピニングタックルで斜め引きをしていたユーチューバーの沼田氏の竿先が微かに震えた。

ところが、すぐに口を離す。そのまま巻き続けていると、また、微妙に穂先がお辞儀をする。こんなことを数回繰り返し、突然、ロッドが大きく絞り込まれた。

これは今日1番の大物である。浅いだけに、マダイの突っ込みは半端ではない。慎重なやり取りで、徐々に大ダイが浮かび上がってきた。

ところが、あともう少しでタモに収まるという時に、痛恨のバラシ。60cmを超える大物だっただけに、地団駄踏んで悔しがる沼田氏。

私もネクタイのテストを中断し、バチコーラに付けかえると、すかさずアタリがきた。ところが、上がってきたのは特大のホウボウ。てっきりマダイと思っていただけに、船長も苦笑い。

■桜鯛現る!

フワフワ、モゾモゾするような微妙な感触がソリッドの穂先に! そして、口を離した。あろうことか、思わず「アッ!」と声を発してしまった。大の大人が悲鳴を上げるのが、「タイラバあるある」だ。

周囲の視線が私のロッドに注がれる。するとまた、モゾモゾっと穂先が不自然な動き。

巻きスピードを幾分落とすが、マダイは再び口を離す。「あ〜」と呟くと、突然ロッドが絞り込まれ、一気にドラグが引き出された。

小ダイかと思うような小さなアタリが、50cmアップの桜鯛なのだ。

やはり、バチコーラカラーが奏功し、バーブレスの1本針が下唇を縫い刺していた。

2月中旬、しかも水深は、わずか10数mの浅場である。この時期は極力、穂先の軟らかいものを選ぶこと、掛け調子の竿ではアタリを弾いてしまう。この後は潮も緩み、早めの帰港となった。

室津沖の桜鯛は、大潮周りが狙い目ですぞ!

筆者の使用タックル

■ベイトタックル
ロッド:シマノ 炎月XR N-B63ML-S
リール:炎月プレミアム150PG
ライン:PE タナトル8・0.8号
リーダー:フロロカーボンリーダー2.5号(3m)

■スピニングタックル
ロッド:炎月SS S74L
リール:エクスセンスLB C3000MPG
ライン:タナトル8・1号
リーダー:フロロカーボンリーダー3号(3m)
フック:鯛ラバ専用アシストフック「喰わせ鈎」、シングルフックバーブレス12、14号
タイラバヘッド:ヒューストンバクバク 45,60、70g
タイラバネクタイ:コブラカーリーコブラ・スリムカーリートラッド・ピンテール(バチコーラ、海苔グリーン)

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