今回は関東エリアのショウサイフグ釣りのお話です。
ショウサイフグは「さぁ、船釣りを始めてみよう」と勇気を持って第一歩を踏んでくれた初心者にも、おすすめできる釣りモノだと思います。
その理由はいくつかあります。
①道具やオモリが軽め
②釣り自体がシンプル
③釣れる魚が美味しい
④そこそこ数も釣れる
そして…
⑤釣りの後が楽!!!
5番の「釣りの後が楽!!!」についてですが、関東のショウサイフグ船では、釣ったフグの毒部分を取り除き、食べられる部分だけを渡してくれます(スタッフはフグを処理する免許を持っています)。
ショウサイフグは頭を落とし、皮と内臓を取り除かれた状態。
ツルツル、ピカピカ。
この処理を「みがき(身欠)」と言ったりしますが、お土産物で「みがきふぐ」なんて言葉を目にしたことがある人もいるかもしれません。
こうなると、釣り人は帰ってからが超楽チン。
あとは薄造りにしたり、唐揚げにしたり、お好みの食べ方に合わせて調理するだけです。
「これから船釣りを始めたい」って人にとっては、かなりありがたいサービスなのかなと感じます。
釣ったのはよいけど、捌くのがなかなか…というのは、最初は誰もが通る道(そのうちコレが楽しくなるのですが)。

「みがき」処理をしたフグ。持ち帰った後も楽チン
そんなショウサイフグですが、関東では特に外房(千葉)や常磐(茨城)各地で、よいサイズが数釣れる魚でもあります。
よい日には1人で数十匹釣る日もあり、船に乗った全員のフグを合計したら数百匹なんてこともあります。
これを全て処理するのだから、船のスタッフさんも大変ですね(いつもありがと~)。
そしてもう一つ、ショウサイフグ釣りがポピュラーなエリアは東京湾奥。相対的に言えば、外房や常磐に比べて数釣りはしにくい傾向がありますが、釣りとしてはよりテクニカルで「このゲーム性がイイんだよね」と通い続ける人も多いですね。
外房&常磐、東京湾で分けたのは、使うエサが違ったり(エビだったり貝だったり)、仕掛けの違い(カットウ仕掛けだったり食わせ仕掛けだったり)による釣り方に差異があったりするからです。
そして今回は、ビギナー向けということで、比較的バンバン釣りやすい(ハズ)外房&常磐方面のショウサイフグ釣りを中心にハウツーを紹介してみたいと思います。

盛期にはウハウハ状態で釣れることも。規定数が設けられているエリアも
タックル&仕掛け&エサ
〈竿〉
1.5mほどの短め。竿の先の方だけ軟かな先調子が向いています。
カワハギ竿などでも代用可。
注意点としては、東京湾仕様のいわゆる「湾フグ竿」は、東京湾で使う軽いオモリを想定しています(オモリ10号など)。そのため、もし新調するのであれば外房や常磐で使える「カットウフグ竿」とショップ店員さんに告げるとよいと思います。
〈リール〉
小型両軸リール。
リールに巻く道糸の号数は2号くらいまでが一般的ですね。
〈仕掛け〉
道糸の先は仕掛けとなります。
前述した通り、ここでは「カットウ仕掛け」をご紹介。ナツメ型のオモリ(号数は船宿に確認を。概ね25~30号)から、エサバリ(エサを刺す部分)と、カットウバリ(ここにフグを掛ける!)があります。カットウバリは1段または2段式。

竿とリールと、右下がカットウ仕掛け(写真はカットウバリが2本の2段式)。軽量タックルで楽しめます
〈エサはアオヤギ〉
カットウ仕掛けのエサバリに、エサとなる貝のむき身「アオヤギ」を付けます。
3、4個ほどエサバリに刺しボリューミーに。身を縫うように刺して、少し硬いベロの部分にも刺すようにすると外れにくくなります。ちなみにフグはアオヤギの肝(黒っぽい所)が大好物。
そして、フグはエサを取るのが非常に上手い魚です。いつの間にか取られているなんてこともあります。
肝の黒い部分が取れたエサだとアタリが激減します。
エサが取られ少なくなったり、肝が取られたエサが多くなったら、新たにエサを付け足してください。

エサバリにアオヤギを付けていきます。黒い部分が肝
基本的な釣り方 「小さなアタリにシャープなアワセ」
ではでは、用意ができたところで、いざ実釣!
まずは仕掛けを海に投入し、海底にオモリが着くのを待ちます。
オモリが着いたら、余分な糸のタルミが出るのでこれを軽く巻き取り、なるべくオモリが海底にギリギリ着いているような状態を保ちます。
最初の着底後は、一度竿をキュッと持ち上げてみてください(空アワセと言います)。
落ちてくるアオヤギエサに興味を示したフグが、着底した瞬間に食いにくる可能性があります。
ここで空アワセを入れるとタイミングがうまく合うと、ガツッとカットウバリにフグが掛かります。
最初のラッキーヒットがない場合は、次の手順に移ります。
〈アタリを感じてアワせる〉
①再びオモリが底にギリギリ着くような状態(ゼロテンションなんて言ったりします)を保ちます。
②とにかく竿先に集中!少しでも違和感があれば、竿先を30㌢ほど素早く持ち上げアワせます。
③フグが掛かるとズッシリ重量感!この時感じた重みを感じ続けながらリールで巻き上げます。
※カットウバリにはハリの「カエシ」がないので、巻き上げ途中で竿を下げたりすると、ハリが抜けてフグがサヨナラしてしまいます。

小さなアタリにシュッとアワせると「ズシッ」と重量感!たまりません
メカニズムとしては、フグがエサを食べにくるとモゾモゾしたり、ツツッと竿先がわずかに動いたりします。
ここでシャープにアワセを入れると、下から上へカットウバリがアッパーカットのようにフグのアゴ付近にヒットするわけです。
ここで②で述べた「とにかく竿先に集中」が大切になります。というのもフグのアタリは分かりやすいモノばかりではなく、むしろ分かりづらい小さなアタリも多いのです。
アタリの出方も千差万別、しっかり集中しましょう。
どうしてもアタリが分かりづらい時は…
なかなかアタリが取れない、はじめのうちはそんな事も多いフグ釣りです。そんな時は、「フグがいるだろう…」と想定して空アワセを入れる釣り(タイム釣りなんて言われたりします)にシフトしてみましょう。
これは、アタリがあろうがなかろうが、一定間隔で空アワセを入れる釣りです。
フグがエサを食いにきているタイミングならハリ掛かりするし、来ていなければ空振りです。
アタリを感じてアワせる釣りに比べると「釣ってやった感」は劣るかもしれませんが、アタリが分からないままでは釣りになりません。
どうしてもアタリが分かりにくい場合は試してみましょう。
〈タイム釣り〉
①シャープな空アワセ(30cm)を5-15秒前後に1回程度入れ続けます。
※空アワセの間隔も色々試してみると、当日にハマる間隔がある場合もあります。
フォールやフワフワ&ピタッでヒットも
アタリに鋭くアワセ! で、決まったと思いきや決まらないことも多々あります。
そんな時はアワせた位置から、仕掛けの重みを感じながら竿をゆっくりと下げていくと、再びアタックしてくることもあります。
このように落としている最中(フォール中)にアタリが出ることもあります。
食いが渋い時は、竿スーッと持ち上げてゆっくり落としていく演出が効く場合もあります。
また、これまたアタリがない時は、フワフワフワと軽く竿先でエサを揺らしてアピール。
その後ピタリと動きを止めるとアタリが出ることもあります。
基本は静かに待ってアタリを掛ける、またはタイム釣りとなりますが、そんな誘いも適度に入れるとよいかもしれませんね。

ゆっくりとフォールさせるとアタリが出ることもありますぞ
トラフグ率が例年以上!?茨城・大洗沖
そんなショウサイフグ釣りを得意とする船宿の一つに、茨城・大洗港の弘清丸さんがあります。
そんな弘清丸さんの最近の釣況ですが、「今期はトラフグの確率も結構高い」そうです。
実際に出船するとかなりの確率で船中数尾のトラフグがまじっており、これがまたナイスサイズが上がっております。
トラフグは群れる性質ではなく、その個体数が少ないと言われ、可愛らしい顔とは裏腹に肉食系。
ショウサイフグとともに、うれしいおみやげをゲットできるチャンスですね☆