「グラスロッドに苦手意識を持っている」そんな人も多いかと思います。
グラスとはガラス繊維と樹脂でできた素材のことで、しなやかでよく粘るため強度が高く、魚のアタリを弾きづらいうえ、掛ければ動きに追従するためバレにくい。その一方でロッドの重量が重くなること、手・目感度が鈍くなってしまう。
デメリットが先行し、ダルイ、重い、というイメージが大半なのでは?
そんなグラス素材ですが、その中でも特別で個性的な日本製素材「MPG(マグナム・パワー・グラス)」というグラス素材があるのをご存知でしょうか。
グラスのイメージを変える素材「MPG」

出典:アルファタックル
およそ40年前、全長150cm・32kgの巨大ヒラマサが釣り上げられ日本記録を打ち立てました。
当時、カーボンロッド一辺倒だった時代にも関わらず、そのロッドに使用されていた素材こそがMPG。
MPGは国内老舗ロッドメーカー「alphatackle(アルファタックル)」が独自に開発した素材で、3つの特長があります。
それが、グラスらしからぬ特性①軽さ、②感度、③強度。
そんな特性を活かした代表的なロッドとして、大物釣りロッドはモチロン、幅広い船のライトゲームを高水準にこなす真の汎用性を持つロッド「21 SHIBUKI」や、深海釣りの面白さをさらに引き出す「DEEP IMPACT(ディープインパクト)」シリーズなどがあります。

△アジ・イサキ・青物・ヒラメ・マダイ・メバル・マゴチなどを狙える懐の広さを持つ「21SHIBUKI」

△“次世代深海釣り”に完全対応した「DEEP IMPACT KAISER」。グラスらしからぬ豊かなアタリを表現する
紹介したモデル以外にも、多岐に渡る魚種・釣種のロッドに使用されているMPG。
今回は、そんなアルファタックル独自のスーパーブランクス素材について掘り下げてみようと思います。
MPG3大特長(軽さ・感度・強度)を掘り下げる
MPG素材自体の重さは、従来のグラス素材との重量差はそれほど変わらない。では、なぜ“軽い”という表現がされるのか。
それは、グラスのフィーリングと強度を保ちながらチューブラー構造を可能にしたこと、さらに高繊維量でありながら樹脂含有量を最小限に抑えたことで“細身で軽い”ブランクスに仕上がっているため。つまり素材の特性を活かした、最適なモノづくりの賜物ということ。
MPGは“軽い”と表現しましたが、感度とはブランクスが軽量になるほど高まることは、皆さんもご存知の通り。
先述しましたが比重自体は変わらないので、感度は変わらないのでは? と疑問に思いますが、そこで出てくるのが弾性率。
MPGは一般的なグラスと比べて4割ほど弾性率が高い。それによってブランクスの返し(復元力)が速い。
例えばグラスソリッド竿では竿先が沈むようなアタリしか表現できないところを、弾性の高さによって弾むアタリや震えるアタリなど、竿先に豊かに表現。コレが目感度と手感度の向上に繋がっています。
そもそもロッドにおける、強度とは?
人それぞれ解釈がありますが、MPGにおける強度は、あらゆる視点から見て強い素材として作られています。「あらゆる視点から見て強い素材」では抽象的なので、具体的に掘り下げてみます。
まずは、引張強度が従来のグラス素材に比べて40%ほど高くなっています。これはカーボン・ケプラーをしのぐほど。つまり大物の引きにも安心して対応が可能。また、不意に掛かる力や衝撃、さらには熱や薬品性にも優れている。それが“MPGにおける強度”です。

△フィッシングショーのデモンストレーションで5kgのオモリを振り下げた様子。多くの来場者の目を惹き付けた
グラスロッドの価値感を変えるアルファタックルのMPG
これら3つの特長をバランスよく持っていることが、MPGがMPGたる所以。ほかの素材では決して味わえないオモシロさ、楽しさ、キモチヨサへと誘います。
そして、MPGという素材を多種多様な釣りに合うようにロッドを味付けする、緻密でありながら一種の変態なのでは?と思わせるアルファタックルのモノづくり。
「グラスロッドだから」と、食わず嫌いしているアングラーにこそ、1つの選択肢としてMPGを使ってみて欲しい。
MPGロッド一覧はこちら
……ですが、これ程の素材を作り上げるとなると相当な紆余教説があったそうで。
詳細は、開発者である金城 正弼さんの解説動画でご覧ください。
