大阪湾の王者が明かす! テンヤタチウオで釣果を伸ばすコツ

大阪湾では毎年、船のタチウオ釣りの最強王者を決める「大阪湾タチウオKINGバトル」が開催される。

内容としては数釣りで、9、10月に兵庫~大阪~和歌山の指定の釣り船で予選が開催され、竿頭を取り勝ち上がった者がセミファイナルに進出。そこで上位18名が12月に開催される決勝に進み、優勝者を決定するロングランの大会となっている。

毎年参加者は1,000人を超えるため、決勝に進むだけでも難関とされており、キング(王者)ともなると「その年の大阪湾タチウオを知り尽くした釣り人」と言っても過言ではないだろう。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、一般の釣り人目線では「どう考え、どう釣っているのか?」が気になるポイントではないでしょうか。

大阪湾タチウオKINGが明かす! 釣果を上げる戦略術【樋口 輝】

 

名手はどう考え、どう釣っているのか?」にフィーチャーしたのが、この動画。

タチウオKINGバトルの10代目キングであり、シマノモニターの樋口輝さんが、8月中旬の気難しいタチウオを攻略する内容となっています。

樋口 輝(ひぐち ひかる) プロフィール

樋口 輝 Hikaru Higuchi 2022大阪湾タチウオKINGバトル優勝者。テンヤタチウオはもちろん、ゲーム性の高い釣りはオールジャンル楽しむアングラー。テンヤタチウオで得意なスタイルは即掛け

シーズン初期のタチウオの反応を見る

到着したポイントは大阪・アカマツ沖。探見丸に映る魚影はタナ付近だが、まずは「サーベルマスター船テンヤβ」のスーパー夜光で、ストップ&ゴーで広くサーチしていきます。

樋口さん曰くストップ&ゴーは、タチウオの反応や当たりダナを効率よく探れる方法で、2~3回素早く巻き、1秒ほどステイを繰り返していく。

アタリがあったのはボトム付近。シーズン初期らしいコツコツとした弱弱しいバイトを、穂先が引き込むまで追わせて、グッと抑えられてからコンパクトにフッキング。

弱弱しいアタリなのは元気がないワケではなく、むしろリアクション的に食ってきている可能性が高いそうで、それ故にシーズン初期にありがちな「即掛けしても掛からない」状態になっているそうです。

なので、シーズン初期はアタリが出ても即掛けせず、引き込むまで待つのが釣果を伸ばすキーになってくるのだとか。

ちなみに、樋口さん曰く今年の大阪湾では「サーベルマスター船テンヤβ」でよく釣れているらしい。理由としては、今年は10~15cm前後のイワシが多く、小型シルエットのβがドンピシャで、なおかつ、特長である掛けやすさも相まって、釣果を伸ばすための武器として役立てていました。

アタリが遠のく時間こそ、ほかの人と差を付けるチャンス

日が完全に昇った9時頃。探見丸にはタチウオの反応が薄く出ているものの、ストップ&ゴーではアタリが少なく、ジャーク&ステイやバイブレーションなど強めの誘いにも反応がない状態に。

そこで樋口さんは「フォースマスター600DH」の微速巻きで誘ってみることに。樋口さんの電動微速巻きのスピードは「1」か「2」が基本となっています。

微速巻きで誘っていると、早速アタリが続出。その後2本、3本とパターンにハメて釣っていく樋口さん。

渋い時を打破するには“引き出しの多さ”がキモで、例えば同じストップ&ゴーでも、止めの間を長くしたり、誘いの強弱を変えてみたり、そして、そのタチウオをどう掛けるか(追わせるのか掛けていくのか)など、自分の引き出しの中身を突き詰めて、当日の当たりパターンを明確にしているそうです。

1尾でも多く釣るために意識している「2つのコト」

樋口さんが、トーナメントで勝ち上がる=多く釣るために意識していることは大きく2つ。

①パターンを見つけ出すこと

タチウオは1日を通して、目まぐるしくパターンが変わる魚だ。その中で、パターンにアジャストしていくために、毎投考えを張り巡らせています。その中で樋口さんは最初に「やる気のある個体」を探すと言う。そこから帰ってくるタチウオの反応を見て、誘いの強弱や止めの間、掛け方などを変えて、パターンにはめていくそうです。

②効率

1秒でも試合時間を無駄にしないために、特に電動リールのフォールスピードと巻き上げにコダワっている、と樋口さん。その点で愛用しているのが「フォースマスター600」。ファイアマッハシステムによるフォールスピードの高さ、そして小型番手にはないパワフルな巻き上げ力で、狙ったタナまで高速で落とし、掛かりドコロのよいタチウオをハイスピードで巻き上げることで、効率を最大化できるため重宝しているのだとか。

Newサーベルマスター エクスチューン テンヤの使い分け

2024年フルモデルチェンジした「Newサーベルマスター エクスチューン テンヤ」。全3機種でラインナップされているですが、樋口さん曰く、どのロッドも競技に非常に向いているようです。

前作からの進化点として大きいのは

①細身でハリのあるブランクスに進化
②180という従来のド真ん中とされるレングスからの脱却による、軽快さ
③誘いやすさ、疲れづらさを最大化する“Xシートテクニカルガングリップ”の搭載

せっかくですので、その3機種の使い分けをインタビューしてみました。

況判断には【82M/MH178】を使う

樋口さん「僕が第1投目で使用することが多いのが【82M/MH178】です。このロッドは穂先がMで柔軟でありながら、バット部分はMHという少し変わったアイテムです。この穂先の柔軟さが、タチウオのモタレ(初期アタリ)を明確に伝えてくれるので、どのタナにタチウオがいるのかをサーチするのに向いているんです。だからと言って、竿全体が軟らかいワケではないのでテンヤもしっかり操作できる。そして掛けられる。非常に使いやすいロッドでもあるので、僕のトーナメントシーンでも欠かせない1本になりそうです。」

【82H172】は攻撃的に誘いたい時に使用する

△穂先まで硬く作られているが、魚が掛かればレギュラーテーパーのように曲がってバラシを軽減する

樋口さん「【82H172】は82調子とありますが、使用感は91調子に感じるほどハリがあります。なので、積極的に誘ってアタリを出していきたい時に使うことが多いですね。キビキビとテンヤを動かして初期アタリを出して、掛けていく。トーナメントシーンでもど真ん中な1本だと感じています。」

高活性時の魚をテンポよく獲る時には【91H164】

樋口氏「【91H164】は【82H172】よりも高活性の魚を即掛けしていく時に使います。使用感は【82H172】と使い方が似通っている点もあるので、明確な使い分けがあるというよりも個人的な好みで使い分けた方がイイかもしれません。即掛け、バイブレーションにも最適なので、ガンガン誘ってビシッ! と掛けたいアングラーはこのロッドがオススメです。最もレーシング仕様なアイテムとも言えますね」

 

このように、色々なことを考え、組み合わせる。そうすることで、きっと今まで以上に釣れるタチウオの数が増えるはず。

自身の引き出しの数。それに合わせたタックルチョイス。そこまで思考を巡らせるようになれば、アナタもきっとタチウオマニア。

もっと数を釣りたい、大会にも出てみたい、と言う方は、ぜひ動画を参考にしてみてください。

ランキング

釣り場・釣り船の情報をまるっとチェック!