【魚種多彩な魅惑のフィールド】和歌山・古座沖タイラバの魅力と攻略法を解説

寄稿:佐々木 洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

雄大な太平洋に三方を囲まれた和歌山県串本町は、黒潮の恵みを受け、古くから全国屈指の漁業の町として栄えてきた。

紀伊大島や大小40余りの奇岩柱がそそり立つ「橋杭岩」から、古式捕鯨発祥の地として名高い太地町までの水深30~120mが漁場で、マダイも多く、途轍もない大物も潜む。

さらに、タイラバ釣りをしていて驚くのは、マダイはもちろんのこと、早巻きをすれば、カンパチやヒラマサ、ブリなどの大型の青物がくる。宙層では大アジやイサギ、ウメイロ、チカメキントキ、アカヤガラと魚種も多彩!

また、根魚の種類の豊富さは関西屈指で、マハタ、オオモンハタ、ホウキハタ、イヤゴハタ、アカハタ、アオハタ、アコウ、ヒラメ、ガシラ、アヤメカサゴ、オニカサゴ、ヒメジ、運がよければクエも。

型がよいのも特徴で、タイラバでの根魚の最大魚は8kgのホウキハタと言う。瀬戸内海では出合うことのできない魚種との出合いも、本州最南端の魅力だ。

そんな魅惑の海で、タイラバ大会を開催しようと目論んだのは、古座唯一のルアー船・オーシャンフィールド号の藤田昌輝船長だった。

この船の大ダイ記録は、93cmと言うから驚く。筆者が初めて乗船したのは2018年6月、かれこれ7年のお付き合いだ。

タイラバ大会〜秋の陣〜

藤田船長は串本港・凪沙丸の堀翼船長に声を掛け、2022年10月29日に記念すべき「第1回本州最南端鯛ラバ大会〜秋の陣〜」を開催、2船体制で開催された。

関西のみならず、茨城や神奈川県から総勢15人が参加。大会の模様は以前、当サイトでも紹介させていただいたが、1位 沼田智行氏 71・5cm、2位 仲井章二氏 67・3cm、3位 吉井泰彦氏 61・3cmと、優勝は70cm超、入賞者は全て60cm超、外道にはアカハタ、オオモンハタ、アオハタなどの高級根魚に恵まれ、まさに南紀の海のポテンシャルの高さを証明した大会となった。

大会終了後は、古座川のほとりで船長主催のBBQ大会。「そらな農園」の秋の恵みや、古座の旬の山海の幸が振る舞われた。

そんな大会の再開を望む声は多く、第2回大会は2024年10月26日に今度は4船が集結し、参加者は約40人の規模で開催するはずだった。ところが、あいにくの荒天で延期となり、やっと開催できたのは年の瀬も押し迫った12月29日となった。

タイラバ〝冬の陣!?〟

6時半に出船。参加者の釣魚をタモで掬ったり、長寸を計測するオフィシャルスタッフとして、アングラーズアイドルの、そらなさゆりさんは藤田昌輝船長が操船するオーシャンフィールド号へ、筆者は藤田栄造船長の大型船に乗り込んだ。

大会のルールは、タイラバで釣り上げたマダイの1尾長寸を競うもので、エサ釣りはNGだ。

30分ほど走った7時4分、船は水深50mのポイントからスタートフィッシング。乗船者全員が左舷に立ってのドテラ釣りだ。潮は北東から南西に向かって、0.8ノット前後だ。

7時26分、ミヨシでオジサンがヒット。厳冬期だと言うのに、かなり早巻きでヒットさせた。水温計を見ると18度、明石は13度前後と言うのに、同じ近畿でもこれだけの差があって、魚の活性も高い訳だ。

ところが、それから1時間、船中はアタリひとつない状況。船長は紀伊大島寄りの水深60~70mに船を移動させた。

8時19分、イトヒキアジがヒット。やはり早巻きであった。

9時2分、杉本氏にようやくマダイがヒット。37cmであった。これも早巻きで食わせた。

9時8分、胴の間でスロー巻きに徹していた畑氏に、良型のオオモンハタがきた。

9時18分、アヤメカサゴを最後に、再び1時間ノーフィッシュ…。船は水深80m辺りまで沖に出た。藤田船長に電話をすると、やはり拾い釣りで移動を繰り返していると言う。この頃から北西風が吹き出し、海面は兎が跳ねる状況に。

10時27分、強烈なファイトでシオが上がり、10時41分には大ドモの中根氏がアオハタがをキャッチ。11時14分、小ぶりながら2尾目のマダイをゲット。

風強く、船中マダイが2尾と厳しい釣果。ドテラ流しなので、ヘッドを120gに付けかえ、筆者も様子見に、タイラバを落とす。

11時47分、ラインが120mほど出された所で、筆者にアカハタがヒット。ネクタイは、シングルコブラのオレンジゼブラ金ドットだった。そして、13時に納竿を迎えた。

前回の大会とはガラリとかわった厳しい釣果を藤田船長に伺うと、「1週間ほど続いた寒波で、海水温が急に下がったのでは」とのこと。

絶対温度ではなく、18度から17度へという、相対的な温度差で食いが悪くなることがあると言う。なるほど、本州最南端でも〝冬の陣〟という訳か。

古座沖のタイラバタックルについて

瀬戸内海のように、潮の干満に合わせて船を立てて流すのではなく、ドテラ流しで広範囲を狙う釣り方がメインだ。

ヘッドは、潮と風のバランスによっては60~120gは用意しよう。それほど魚もスレていないので、鉛のヘッドで十分だ。

ロッドは重量のあるヘッドを使用するので、対応ヘッド50~150gのMクラス。リールは、ドテラ流しで糸が出されても、回収が楽なハイギアタイプ、カウンター付きのものが使いやすい。

大物もくるので、PEラインは0.8~1号を300m、リーダーは5―6号を3ヒロほど結びたい。

表彰式

帰港後、船着き場で表彰式が行われた。入賞はオーシャンフィールド号に乗船した3人で、最大魚は43cmが同寸2人。ジャンケンで1位を決定し、表彰は囲みの通り。

賞品には、シマノの炎月ロッド、ハピソンからライトやメジャー、PEとリーダーを結ぶラインツイスター、レインウエア。SASALABOからは、特製ネクタイが参加者に配布された。

お楽しみジャンケン大会には、高野山のキヌヒカリ2.3kgが人気の的。

全員集合で記念撮影を行い、2024年を締め括る納竿大会は終了した。
2025年はどんな大会になるのか、今後が楽しみである。

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