昨今、アオリイカ釣りと言えば、エギングやティップランでの釣りをイメージする方が大半だと思います。
私も足繁く通う好きなジャンルなのですが、ヤエン釣りも勝るとも劣らない楽しい釣りです。

▲ヤエン釣りでアオリイカを釣り上げた筆者

青山 博(Hiroshi Aoyama) プロフィール
ヤエン釣りとは、生きたアジを泳がせ、アオリイカがアジを抱き込み、アジを夢中で食べている間に引き寄せて、掛け針を撃ち込みランディングする釣りで、ほかに類を見ない伝統的釣法になります。
今回は、 オススメのフィールドの和歌山・三尾川漁港のりき丸のカセ釣りを、具体的に織り込みながら、ヤエン釣りを紹介したいと思います。

▲三尾川のりき丸

▲りき丸の川端船長
りき丸のアオリイカ釣りカセは、湾内岸近くにアンカリングします。カセから岸に向かって釣るのですが、岸際にはアオリイカの産卵場所である海藻帯があり、絶好のポイントです。この海藻帯の攻略が、最重要ポイントになります。
さて実釣についてですが、この釣りは概ね4つのステージがあり、各ステージをクリアしないと先に進めません。全てクリアすれば、アオリイカを無事、釣り上げることができます。
では、ステージごとの要点など、私見ですが…
ステージ1
・アジ投入はふんわりと放物線を描き、着水寸前にサミングで止める。
・糸は張らず緩めずで、アジが引いた分だけ付いていく。
・時おり、竿をアオったりして、アジにヒラを打たせて誘いを掛ける(これが効果的)。
・海藻帯の切れ目に、できるだけ近い所を泳がせる。
・海藻の中にアジが突っ込んだ時は、ゆっくり引き抜き、動きを止める(これも誘いになる)。
・アタリは突然、走り出すこともあるが、竿先に違和感があれば、少し持ち上げて聞いてみる。
ステージ2
・イカは通常、アジの頭を落としてから胴の部分を食べる。夢中になって、食べるまでは3~5分ほど掛かるので、その間は刺激しないようにする。引き寄せを行う場合は、極ゆっくりと。
・いくら慎重にやっても、イカがアジを放す時がある。もし放したら、その場でステイさせておくと、再度抱き込むことがあるので、慌てて回収しないようにする。
・海藻も密集しているポイントでは、イカに自由させておくと、すぐに海藻に絡んでしまい、このステージで終了となる。早めに次のステージに移ることも大事。
ステージ3
・ヤエンを入れる理想的な竿先とラインの角度は、45度ぐらいと言われている。しかしながら、前述の通り、臨機応変、早めの投入を心掛ける。
・ヤエンを入れる時は、何かとトラブルが多い。揺れるカセの釣りでは、全て手の届く範囲に必要な物は整理整頓しておく(竿置き場、使用するヤエンなど)。
・ヤエンを送る操作は竿を立てた状態で、ラインを少し緩めたり、張ったりして行う。
・ヤエンがイカに到達したかは、竿先でヤエンの重さを聞いてみる。重さが感じなくなったら、ヤエンがイカに到達しているので、竿先を少し上げ下げし、ヤエンがイカの下に入ったと確信が持てたら、竿を水平にして、引き合わせを入れる(この部分が1番難しい)。
・合わせた直後に、ジェット噴射があればフッキング成功。抵抗がなければ空振りで、このステージで終了となる。
ステージ4
・イカのサイズにもよるが、ファーストランは凄い。糸を出し過ぎると、すぐに海藻が絡むので、できるだけ耐え忍ぶ。
・フッキングしたイカは、常にテンションを掛けた状態で、ゆっくりと引き寄せる。
・イカが見えた段階で、必ずアジの状態を確認する。アジがイカから離れておらず、イカがアジを抱いたままであれば、ヤエンがイカに掛かっていないので、再度アワセを入れ直すようにする。
・取り込みは、水面に十分イカを浮かせてから、タモ、またはギャフで行う。私は基本的にタモを使用しますが、トラブル(タモ入れ失敗でヤエンとネットが絡むなど)の時に、ギャフを併用します。
以上となります。
全てのステージにおいて、アオリイカの生態と水中の状況をイメージしなければならず、釣り人の想像力がものを言う、大変奥深い釣りですから、釣り上げた時の喜びは格別です。
すでに春イカシーズンは開幕しています。1度チャレンジされてはいかがでしょうか。
①ロッドキーパー&スタンド。竿は基本的に手持ちだが、生きアジを針に付ける時と、ヤエンにラインを通す時など、一時的に竿を置きたい場合に重宝する
②一刀ヤエンL、2L、ikaクラオカサンヤエンM、L、ヤエンストッパー、オトリフック
③ロッドはボーダレスSS460MHーT、リールはBBーXデスピナC3000DXG、ラインはヤエンライン TYPEーF2.5号150m