
吉田昇平(よしだしょうへい) プロフィール
兵庫・明石の海で育つタコは、全国の釣り人や料理人を魅了する、特別な存在だ。 明石海峡特有の激しい潮流の中で鍛えられたその身は、驚くほど引き締まっており、噛むほどに旨みと甘みがジワリと広がる。
特に、春から夏にかけての明石ダコは栄養をたっぷり蓄えていて、茹でた時の鮮やかな朱色や、プリプリとした食感は、まさに極上の味わい。 タコ飯や酢の物、刺し身、煮付け、どんな料理にしてもその実力を感じられる、まさに「海からの贈り物」だ。
狙うは「明石ダコ」
そんな明石ダコを狙う、最も魅力的な手段が、船タコ釣りだ。
タコが乗ってきた時の、穂先を押さえ込むあの独特の感覚。 そして、ひと呼吸おいての力強いアワセ。 この駆け引きの妙は、ほかの釣りにはない中毒性を持っている。
タコ釣りは、初心者でもチャレンジしやすい一方、奥深さもあって、毎年この時期になると、多くのファンが明石を訪れるのも納得だ。
そんな、明石の船タコ釣りが2025年は5月1日に解禁された。 ところが、今年の明石の冬は水温が7度台まで下がり、タコが無事に越冬できたのか、心配されていた。
実際、解禁直後の海の状況は厳しく、水温は例年より1度ほど低い13度台。 タコの動きも鈍く、決して好スタートとは言えない展開だった。
5月2日、私は釣友の、のんたさんとともに明石港の里桜ちゃん丸に乗船。 朝から濃霧、強風、大雨の三重苦に見舞われたが、それでも今年から新たに始まった「里桜ちゃん丸 明石タコちゃん大会」に胸を躍らせ、5時過ぎに出船した。
このイベントは、釣り上げたタコの重量で競う大会で、予選から準決勝、決勝戦まで行われる、本格的な大会だ。
操船する平山船長は、小型が多く集まるポイントにはあえて入らず、大型狙いを信条とするスタイルだ。
最初に入ったのは、水深17~18mのポイント。 どしゃ降りの雨に加えて風が強く、早上がりという選択肢も出ていたところだが「後半には天候が回復する」との船長の判断で、乗船者全員、粘りを選択。
そして、船長の言う通り、後半には風も雨も落ち着きを見せ始めた。
解禁直後とあって、数こそ出なかったが、私ものんたさんも2ハイずつのタコをキャッチ。
私の最大は625g。 このサイズでも十分と言えるが、この日のハイライトは、のんたさんが釣り上げた1080gのキロオーバー。 厳しい条件下でのこのサイズは、まさに価値ある1パイだった。
明石の船タコ釣りには、釣ることと食べることの両方に、ほかでは味わえない深い満足感がある。 水温が上昇してくる6月以降こそが、明石ダコの本領発揮だ。
目指すは、ひと際腕が太く、力強い1パイ。 明石の海にはまだまだ大きなドラマが潜んでいる。
ロッドは、タコマスターBBのS175とM175。タコマスターフラッシュブースト3.5号と、タコマスタースッテMフラッシュブーストを使用。
簡単、迅速、清潔!美味しく持ち帰る締め方
釣ったタコを美味しく持ち帰るには、「締め」が肝心。 しかし、一般的に見かける、目と目の間をナイフで突き刺す方法は、身が傷だらけになり、見た目が悪くなってしまいます。 そこで今回は、家庭にあるプラスドライバーを使った、斬新で簡単な締め方を紹介します。
手順は、たったの2つ。
①ドライバーの先端をタコの口元から差し込みます。
②そのまま目と目の間辺りの硬い部分を、先端で軽く引っかくだけ。 慣れれば2、3秒で確実に締めることができ、見た目もキレイなまま。 締めた状態で持ち帰れば、袋の中が墨まみれになる心配もありません。
道具も特別な物は不要で、簡単、迅速、清潔に処理できるこの方法、ぜひ1度試してください。 タコの旨みを最大限に引き出す、スマートな締め方です。