
金森 聡(かなもり あきら) プロフィール
梅雨時期の魚に対して「梅雨の水を飲んでおいしくなる」、そう言う表現をされるように、梅雨の長雨により、山からの栄養が多く流れ出し、プランクトンが増殖し、海の生物たちに消費されていきます。
梅雨ダコを狙う
そんな貝や甲殻類を食べ、おいしく育った「梅雨ダコ」を釣るべく、東二見の近藤丸へ行ってきました。
郷に入っては郷に従えと言うことで、近藤丸の推奨する釣り方を勉強するため、出船前に名物の船長のレクチャーを受けました。
釣り方を簡単に説明すると、潮や風によって船を流すことで、仕掛けを引きずる状態にし、釣り人はキャストせずに、その場に仕掛けを落として着底させ、竿の角度を水面に対して水平以上に構えて待ちます。
この時に重要なのが、余分な糸フケを取り、ラインをその時に出ている以上に出さないこと!
ラインを必要以上に出してしまうと、オマツリのリスクが上がったり、根掛かりの原因にもなります。仕掛けを浮かさずに、海底を引きずっているのを感じながら、タコのアタリを取っていきます。
クッと竿先が入り込む時があり、この時に海藻か、石のような障害物、もしくはタコのアタリなのかを判断します。
ワカメなどの海藻の場合は、そのまま引っ張ると千切れたり、石の場合でも引っ張ったり、竿先を軽く揺すってあげれば、外れることが多いです。
そして、タコのアタリはワカメに引っ掛かった時に似ていますが、多少引っ張っても千切れる感覚がなく、「タコかな?」と感じた時にようやく、水平以上に構えていた竿先を下げていきます。
竿先を下げていくことにより、タコに仕掛けを深く抱かせる時間を与え、それでも足りないと感じた場合に、クラッチを切ってラインを出したりと調整します。
十分抱いたと感じれば、フッキング。タコに仕掛けを抱かせる時間を稼いだり、タコのアタリかどうかを判断するために、竿先を水平以上に構えることが、基本的な待ちのスタイルなのです。
と、ここまでが一連の近藤丸スタイルの説明になりましたが、この一連の中でも、僕の考えを入れるなら、前回の連載でも解説させていただいた、仕掛けの移動距離やステイが、タコを仕掛けに反応させるには必要だと考えます。
エギを小突いてシェイクする誘いのそのほかに、引きずるという動作だけでも誘いになります。
近藤丸は意図的に船を流し、仕掛けを引きずる誘いを演出し、それに対して釣り人が竿先を揺すったり、少し下げたりして、仕掛けの移動スピードをコントロールしてあげるとよいと思います。
この釣り方をやってみて僕が改めて思ったことは、その日、その流しのタコの反応するスピードがあると感じました。そういう所も踏まえて、ロッド操作でスピード感を調整してあげれば、釣果もかわってくるかもしれませんね。
この釣り方は、釣座が胴の間でラインを出し辛い時にも有効になってくると思いますので、普段やっていない方もお試しいただければと思います。
使用タックル
今回、ロッドは「メタリアエギタコS-175・J」を使用しました。引き釣りのような時にタコのアタリに追従するように、穂先から穂持ちにかけてしなやかに曲がり、竿先でタコが抱きやすい状況をコントロールするのに適した調子になっています。それに対し、「メタリアエギタコMH-170・J」は全体的に硬めの調子になっており、キャスティングして仕掛けを引っ張ってきたり、しっかりシェイクを入れるなどのコントロールがしやすくなっています。状況やスタイルによって、使い分けていただければと思います。