【インストラクター直伝】安全に渡る基本から実釣攻略まで!夏の家島・磯釣りレポート

寄稿:JOFI兵庫 池内真也

予想外に早い梅ゆ明けで、一気に夏本番となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。JOFI兵庫インストラクターの池内です。

以前の記事では地磯をご紹介しましたが、今回は渡船を利用して渡る「沖磯」の魅力をお伝えします。

手軽ながらも本格的!家島諸島の沖磯

「船で渡る磯」と聞くと、陸から遠く離れた外海に浮かぶ、荒波に洗われる本格的な沖磯を想像するかもしれません。もちろんそういった場所もありますが、湾内の穏やかな磯や、実は陸続きになっている磯など、その種類は大小さまざまです。

そんな中で、初心者の方にも特におすすめしたいのが、姫路の沖合約18kmに浮かぶ家島諸島(いえしましょとう)の磯です。

瀬戸内海に位置するため海は基本的に穏やかで、足場が広くてよい磯も多くあります。それでいて水質・ロケーションは抜群。チヌ(クロダイ)やグレ(メジナ)をはじめ、多種多様な魚を狙える、まさに絶好のフィールドです。

今回は、いくつかある渡船店の中から、網干(あぼし)の那波釣具渡船店さんにお世話になりました。

渡船利用の流れと注意点

1. 出船から釣り場まで 各自の荷物を船に積み込み、午前5時に港を出発。約30分で目的の釣り場に到着します。

釣り場選びのルールは、地域や渡船店によって様々です。船頭さんにお任せする場合もあれば、予約制、希望制、くじ引きなどもあります。家島諸島へ向かう渡船店の多くは、「釣りたい魚」を船頭さんに伝えると、その時期の釣果が良い磯へ案内してくれるスタイルです。釣りに慣れないうちは、正直にその旨を伝えてお任せするのが間違いないでしょう。経験者と一緒に釣行できると、さらに安心です。

2. 最も重要な「磯への乗り降り」 磯渡しで最も注意すべきは、船から磯へ乗り降りする瞬間です。

船頭さんが船を磯に押し付け、船体が安定したのを確認します。
まずは荷物を持たず、体ひとつで素早く磯に降ります。船と磯をまたいだ姿勢でいるのは非常に危険ですので、絶対におやめください。
磯に渡った後は、船の動きをよく見て安全な距離を保ちながら、荷物を受け渡します。
磯に上がってしまえば、あとは地磯での釣りと同じです。荷物はできるだけ高い安全な場所にまとめ、磯全体を見渡して釣りのしやすそうな場所(釣り座)を決めましょう。

釣行レポート:夏の家島でグレを狙う!

家島諸島は、家島、西島、坊勢(ぼうぜ)島、男鹿(たんが)島の4つの主要な島と、無数の小島で構成されています。釣り場も磯はもちろん、防波堤や岸壁など選択肢が豊富です。

家島諸島で狙える主な魚種として チヌ、グレ、マダイ、青物、メバル、ガシラ(カサゴ)、アコウ(キジハタ)、カワハギ、カレイ、キス、ベラ、アジ、サバ、イワシ、イカなど、季節に応じて様々な魚が狙えます。

今回は、とある釣り大会で家島本島の東側に位置する磯に渡りました。足元にマキエを撒くと、大量のオセン(スズメダイの幼魚)とコッパグレ(小型のグレ)が集まってきます。これは遠投して撒き餌と仕掛けを分離させる必要があると考え、重量のある大きめのウキを選択しました。

【当日のタックル】

竿: 磯竿 1.25号 5.3m
リール: レバーブレーキ付きスピニングリール 2500番
ライン: 道糸 1.7号 / ハリス 1.5号
ハリ: グレ針 4号
仕掛け: ハリ上30cmにG8〜G5のガン玉。普段は全遊動仕掛けですが、今回はウキ止めを2ヒロ(約3m)に設定し、状況に応じてガン玉を追加してウキごと沈めて探るスタイルにしました。

午前5時から午後1時までの釣りでしたが、20cmほどのコッパグレが非常に多く、ほぼ1投1尾のペースで釣れ続けます。いかにこの猛攻をかわして30cmクラスの良型を引き出すかが、この日の課題となりました。

結果、30cmオーバーは1尾、27〜28cmクラスは相当数と、サイズには課題が残ったものの、数釣りを満喫できた楽しい1日となりました。また、仕掛けを少し深く入れると、瀬戸内海の夏の風物詩であるキュウセンベラがたくさん釣れたので、合間に専門で狙ってみるのも面白そうです。

釣りだけじゃない家島の魅力

家島諸島には海上釣り堀も複数あり、磯釣り以外の釣りも気軽に楽しめます。また、夏は美しい海での海水浴も最高ですし、新鮮な海の幸も豊富です。そして何より、どこか懐かしいノスタルジックな漁師町の風景が心を和ませてくれます。

姫路港から連絡船も航行しているので、観光目的で訪れるのも楽しい島々です。しかし、あの美しい海とロケーションを目の前にすると、釣りをせずにはいられないのが釣り人の性(さが)かもしれませんね。

渡船を利用する沖磯釣りは、確かに少しハードルが上がるかもしれませんが、普段の釣り場では決して味わえない景色と経験が待っています。夏が過ぎれば、1年で最も釣り物が豊富になる最高のシーズン「秋磯」がやってきます。

興味のある方は、ぜひ1度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ

那波釣具渡船店
兵庫県姫路市網干区興浜1373-3
079-272-1708

【安全に楽しむために必ず守ってほしいこと】

・ライフジャケットと磯靴の着用
船に乗る際は、必ず国土交通省の型式承認を得たライフジャケット(桜マーク付き)を着用してください。足元は滑りやすい磯に対応したスパイクシューズやフェルトスパイクシューズが必須です。

・忘れ物に注意!
船で渡るため、忘れ物を車に取りに帰ったり、買いに行ったりすることはできません。特に夏場の飲み物は、熱中症対策のためにも十分な量を持参してください。

・釣り場の環境保全
自分が出したゴミは必ず持ち帰り、釣り場をきれいに保つようご協力をお願いします。

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