「フェルールワックス」というアイテムをご存知ですか?
これは、分割できるタイプの釣竿(マルチピースロッド)の”継ぎ目(ジョイント)”に塗る、大切なケアアイテムです。
「釣りを長く楽しんでいるけど、実は使ったことがない」「名前は知っているけど、何のために使うの?」という方も少なくないかもしれません。
今回は、そんなフェルールワックスがもたらすメリットと、正しい使い方を分かりやすくご紹介。この一手間で、あなたの大切な釣竿をトラブルから守り、寿命を延ばすことができます。
なぜ必要?フェルールワックスを使うべき3つのメリット
フェルールワックスは、ロッドの継ぎ目に塗るだけで、様々なトラブルを未然に防いでくれます。主なメリットは以下の3つです。
マルチピースロッドは、準備や片付けの際に抜き差しを繰り返します。そのたびに継ぎ目は少しずつ摩耗し、緩みの原因になります。ワックスを薄く塗ることで、この摩耗を軽減し、ロッドを良い状態で長く使えるようになります。
継ぎ目が摩耗して緩くなると、キャストのたびにロッドに掛かる負荷でジョイントが徐々にズレてしまうことがあります。
そのまま使い続けると、最悪の場合ロッドがすっぽ抜けたり、不適切な箇所に負荷が集中して破損につながる危険性も。フェルールワックスは継ぎ目の密着度を高め、こうしたズレや緩みを効果的に抑えます。
※ただし、完全にズレを防ぐものではないため、釣りの途中での定期的な確認は大切です。
釣り場で継ぎ目が抜けなくなって困った経験はありませんか?これは、継ぎ目の隙間に入り込んだ水分や塩分が原因で起こる「固着」という現象です。フェルールワックスを塗っておけば、水分などの侵入を防ぎ、固着トラブルを予防する効果があります。
【簡単4ステップ】フェルールワックスの正しい使い方
効果を最大限に引き出すには、正しい使い方が重要です。特に「塗りすぎないこと」がポイントです。
まず、継ぎ目(オス側)に残っている古いワックスや汚れを、ティッシュなどで綺麗に拭き取ります。ワックスが何層にも厚塗りされた状態で無理に差し込むと、逆にロッドを傷めたり、抜けにくくなる原因になるため、この作業が最も重要です。
次に、新しいワックスを塗ります。ここでのポイントは「塗りすぎない」こと。継ぎ目の先端から根元に向かって、縦に2~3本ほど線を引くように塗るだけで十分です。
塗ったワックスを指で全体にまんべんなく、薄く伸ばしていきます。ムラがないように丁寧に塗り広げましょう。
全体に伸ばせたら、一度ロッドを継いでみましょう。このとき、少しはみ出してきた余分なワックスをティッシュで拭き取れば完了です。
「こんなに少なくて大丈夫?」と感じるかもしれませんが、この量で効果を十分に発揮します。
使用する前の注意点
最後に、一つだけ大切な注意点があります。ロッドのメーカーやモデルによっては、ジョイント部分の特殊な仕様上、フェルールワックスの使用を推奨していない場合があります。
使用する前には、必ずお持ちのロッドの取扱説明書を確認するか、メーカーの公式サイトなどで確認するようにしましょう。