「和歌山・湯浅で、落とし込み釣りに行きませんか?」
お誘いしてくださったのは、釣友の峰松茂美さん。 大物釣りの経験がなく、落とし込み釣りも未経験の記者。二つ返事で快諾し、意気揚々と和歌山・湯浅の老舗船宿「なぎ丸」さんへ予約の電話を入れました。
しかし、ここから驚きの展開が待っていました。今回は、大物釣りビギナーの記者が体験した、衝撃の「大アジ&落とし込み」釣行をレポートします。
落とし込みなのに「鉄仮面」? 独自の“欲張り仕掛け”
電話口で船長に「落とし込み釣りは初めてです」と伝えると、非常に親切に教えてくれました。
「オモリは鉄仮面120号を使うから、PEは4号で来てね」
……えっ、鉄仮面? 落とし込み釣りなのに?聞くと、なぎ丸さんのプランは一味違います。
基本は大アジ狙い(サビキ釣り)+落とし込み釣り
そう、まずはアジを狙って、その後に落とし込み釣りを楽しむというものでした。
しかもそのアジが規格外。50cmの大アジを本命にしつつ、あわよくば落とし込み釣りで「ブリやヒラメ」も釣ってしまおうという、超欲張りなプランなのです!
ライトゲーム用リールしか持っていない記者は、先輩から電動リールを拝借。ロッドは対応可能なものを持参し、仕掛けは船宿推奨のものを現地で購入することにしました。
いざ出船! 水深80mの沈船ポイントへ

湯浅北港から出船するなぎ丸。釣座も広々で快適です
受付を済ませ、午前6時頃に出船。1時間ほど走り、ポイントである沖合の沈船エリアへ到着しました。水深は約80m。アンカーを入れるカカリ釣りスタイルです。
「まずは大アジを狙っていきましょう」
船長のアナウンスでスタート。釣り方は至ってシンプルです。 配られたアミエビを鉄仮面の8分目ほどまで詰め、底まで落とす。着底したら2m巻き上げ、2回ほどシャクってマキエを振り出し、アタリを待つだけ。サビキ仕掛けとマキエを同調させることを意識します。

鉄仮面にアミエビを8分目ほど詰める
最初は120号という重さに戸惑いましたが、慣れてくると竿先に出る「プルプルッ」という小アジのアタリが明確に分かるように。上げてくると10~15cmほどの、まさにベイトに最適なサイズのアジが付いています。 「なるほど、このサイズが回っているから落とし込みも成立するのか…」と納得。

なぎ丸さんで販売されているサビキ釣り仕掛け。ハリス4号の4本針

いろんなサイズの小アジが掛かります
まさかのゲスト! アジのサビキ仕掛けに「ヒラメ55cm」
「まずは大アジの顔が見たい!」 そう意気込んで、落とし込み(小アジを付けたまま待つ釣り)には移行せず、手返しよく大アジ狙いを続行していた時のことでした。
船長が私の隣に来てアドバイスをくれている最中、竿先に違和感が。即合わせせずに少し送り込んでフッキング。 「電動は速く巻いたらあかんで。アジやったら口切れするからな」 船長の教えを守り、慎重に、ゆっくりと巻き上げます。
海面にぼんやりと魚影が見えた瞬間、船長が叫びました。 「ヒラメや!」

素早くタモ入れしていただき、船上に横たわったのは、なんと55cmの肉厚ヒラメ! サビキに食いついた小アジを、さらにヒラメが丸呑みしていたのです。針は口の奥にガッチリ。狙って釣ったわけではありませんが、このサプライズこそ、海釣りの醍醐味。思わず「やったー!」と叫んでしまいました。

※注意:フィッシュイーターを専門に狙うなら、小アジが付いた時点で専用の落とし込み仕掛けに変えるのがベストです。今回はラッキーでしたが、アジ狙いのサビキ仕掛けのままだと強度が足りず、仕掛けが絡まるリスクも高くなります。
ついに本命登場! 規格外の「大アジ50cm」
その後も小アジのアタリは続きます。タナや誘いを変えながら、峰松さんと談笑していたその時。
ズドンッ!
小アジとは明らかに違う、重量感のあるアタリが記者の竿を襲いました。 「これは…デカいぞ!」 慎重に、慎重にやり取りをして上がってきたのは、一瞬ハマチかと思うほどの魚体。
正真正銘、本命の「大アジ」です!

計測すると、なんとジャスト50cm。 これ、アジですか?というサイズ感。船中1尾目の大アジ登場に、船上は一気にヒートアップ。「タナは底から2~5m」と情報を共有し合い、船中でバタバタと竿が曲がり始めました。 その後、記者にも2度ほど強烈なアタリがありましたが、口の柔らかいアジ特有のバラシ…。悔しいですが、この難易度がまた燃えるんです。
クライマックスは「82cmのブリ」!
納竿が迫る13時頃。 これまで大アジのバラシに泣いていた峰松さんが、船長のアドバイスで「落とし込み釣り」へシフトしました。小アジはコンスタントに付く状況、大物の気配は濃厚です。
置き竿にしていた峰松さんのロッドを見ていると、ラインがフワッとふけ上がり、次の瞬間――。
ギュイーーーン!
竿が根元からへし曲がるような強烈な舞い込み! 竿受けから外すのも一苦労なほどのトルク。青物確定です。 無理をせず、時間をかけてじっくりとリフトアップ。海面に現れたのは、丸々と太った見事な魚体。

最後の最後にドラマを見せてくれた峰松さん。この1尾で船上のボルテージは最高潮のまま、納竿となりました。
今がチャンス! 異例のロングラン続く「大アジ」
帰港後、常連の日置さんご夫妻のクーラーボックスを拝見して驚愕。 52cmを筆頭に大アジ3尾、マダイ、イサギ、サゴシ… まさに「竜宮城」のような釣果です。日置さんはこの秋、大アジを2ケタ釣った日もあるとのこと。凄すぎる…。

日置さん夫婦の奥さんの純さん。52cmの2尾持ち
船長にお話を伺うと、本来このサイズの大アジは春先のターゲット。 「例年ならこの時期は落とし込みメインなんですが、今年は例外的に大アジがずっと釣れ続いているんです。春からの居残り個体ですが、脂も乗って最高ですよ」
つまり、「落とし込みで青物」と「50cm大アジ」の両方が狙える今は、奇跡的なボーナスタイムだということ。 この大アジ、いついなくなるか分かりません。「釣れているうち」が勝負です。
初めて体験した、和歌山・湯浅のポテンシャル。 強烈な引きのブリ、そして見たこともないサイズのアジ。大物釣りの興奮を知ってしまった記者、落とし込み釣りは次回持ち越しになりましたが、これはもうドハマり確定です!
みなさんもぜひ、この「夢の二刀流」を体験してみてください。

























