東京オリンピックが開幕。
色々な意見はあるけれど、出場する選手に罪はなし。最後まで全力で、各選手には「金」を狙っていただきたいです!
閑話休題。
海へ行ったら、ぜひ「銀」を狙ってみてほしいのです。
銀ピカに輝く、楽しく・美味しく・悩ましい、そんなタチウオ釣りへ。
東京湾は面白い。
昔からメジャーな天秤の釣りから、最近は新興勢力「テンヤ釣り」も盛り上がりを見せ、どちらも楽しめる船が増えてきています。
なおちんの東京湾タチウオ二刀流

井上 直美(Naomi Inoue) プロフィール
それなら天秤&テンヤ、どちらも満喫しようじゃないかと、東京湾ツリンピックに出場してくれたのが井上直美選手(笑)。
というわけで、「なおちん」こと井上直美さんによるタチウオ釣りの楽しみ方をご紹介。
今回は「天秤仕かけ」編を。この後も最新タックルや、なおちんのテンヤ釣り編などをお届けしますので、そちらもお楽しみに!
天秤仕かけで船タチウオ
東京湾で昔からポピュラーなのが、片天秤を使った吹き流し仕かけでの釣り。
まずは簡単にタックルと仕かけを紹介しておきます。
タックル&仕かけは大まかに以下のような図となる。
ただし、道糸とオモリが実は幅広くて、乗船する船によって道糸とオモリ号数が指定されている場合もある(例えば道糸2号ならオモリ60号、道糸3号ならオモリ80号など)、実際には必ず釣行先に確認するようにしていただきたい。
これはオマツリを避けるのが目的なので、必ず従いましょう!
なおちんのロッド&リール
それでは、なおちんのタックルは? 実際にタチウオ捕獲シーンを見ていただきましょう!
使用した竿は、アルファタックル「海人モバイリー タチウオ」。

仕舞寸は59cm。超コンパクト。電車釣行派も多い首都圏の釣り人にとっては、コンパクトで本格派というのはありがたい
全長(m) | 調子 | 継数(本) | 仕舞(cm) | 標準自重(g) | 先径(mm) | 元径(mm) | オモリ負荷(号) | 本体価格(税別) |
1.65 | 8:2 | 3 | 59 | 115 | 0.9 | 11.3 | 40~80 | 25,000円 |
先にヒットシーンを見せたのにはワケがありまして。
海人モバイリータチウオは3ピースロッド。3ピースと聞くと、「デカいの掛かったらちょっと不安だよな~」とか思っていませんか?
というわけで、ご覧の通りです。高い携行性を持ちながら、ファイトできる、操作できる。
実は「海人モバイリー」シリーズにはタチウオだけではなく、ほかにも魚種別の専用モデルがあります。
つまり、3ピースで専用竿! コレがウレしいところ。3ピースロッドはあっても、割と「いろんな釣りに使ってください」というスタンスの竿が多いと思うのですが、「海人モバイリー」はこのタチウオしかり専用ロッドなのです。
海人モバイリータチウオについては、また別記事で詳しくご紹介するのでお楽しみに(実はテンヤでも使えるんですゼ)!
リールは、この日は小型電動を使用。
テイルウォークの電動リール「エランSW DENDO 150」です。
ギア比 | ウエイト | ドラグMAX | 糸巻量 | ベアリング | 巻上量 | 本体価格(税別) |
5.0:1 | 450g | 6kg | PE1-300m | 7+2RB | 150m/1分間 | 46,000円 |
エランSW DENDO 150はコンパクトで、扱いやすさが特に優秀。パーミング性や細かなスピード、ドラグ調整もそうなのですが、実はスプールがワンタッチで交換可能。
パカッと開けてスプールを即交換できるのは、タカ切れなども考慮しなければならないタチウオ釣りにはうれしい機能。
オプションで予備スプールも購入できちゃったりするので、タチウオ釣りにももってこい!

今回使用した150はPE1号300巻きのシャロースプール。オプションでPE2号200mの深溝スプールにも交換可能。また、パワーハンドルタイプのエランSW DENDO 150PHという機種もあり。こちらは最初からPE2号200mの深溝スプールを搭載
これにPEライン1.5号を巻き、PEから先は片天秤、そしてハリス7号の1本針仕かけ。オモリは今回取材協力していただいた、いなの丸さんの規定で60号(PE2号以下は60号規定)。さぁタチウオ釣り!
なおちんのタックル&仕かけ
ロッド:海人モバイリータチウオ(アルファタックル)
リール:エランSW DENDO 150(テイルウォーク)
道糸:PE1.5号
仕かけ:ケン付タチウオST-R 1本仕掛・赤(がまかつ) 1/0~2/0
オモリ:60号
基本を丁寧に根気よく

当日、天秤仕かけでキャッチしたグッドサイズ
なおちんは「基本を、丁寧に、根気よくが大切」だと言う。
まずはエサ付け。東京湾ではサバの切り身、またはコノシロが配られることが大半。ちなみに東京湾ではサンマエサは禁止。
いなの丸ではコノシロが配られました。
短冊に対し、針が真っ直ぐになるようにエサ付けするのがポイントで、コレが大事。曲がってしまうと、エサがグルグル回ってしまって食いが悪くなります(特にシビアな日はそれだけで全く見向きもしなくなったり)。

なおちんは、エサ上端を平行にカット、下側を斜めにカットしてヒラヒラ感を出すイメージでエサ付け。エサのセンターに針がくるように
エサ付けもキレイに決まったら、釣り開始。仕かけを投入する際は、最初から天秤に仕かけが絡まっていないかを確認しましょう。
そして船長からの「指示ダナ」をしっかり聞くこと。
指示ダナのアナウンスもいろいろとあるが、いなの丸では指示ダナ下限をアナウンス。そして指示ダナ下限よりは仕かけを下ろさないこと。
つまり、アナウンスされた数字がスタート地点となります。基本的には群れの層を下げたくないためで、できる限り群れ全体を足止めし、上で釣れれば効率もよくなります。
例えば、指示ダナ60mとアナウンスされれば、まずは60mまで仕かけを下ろしてストップ、糸フケを取って竿にオモリを感じるところからスタート。

キュッとシャクって一瞬止め、竿を下ろす時にリールを巻く。そしてこのシャクリの幅とリールの巻き幅を当日の状況に合わせる
誘い方は、竿先をやや水面に向けた位置から、キュッとシャクる。一瞬止める。スッと竿先を元の位置に戻すと同時にリールを巻く、というもの。
これが基本。そして、そのシャクリ幅とリールを巻く量を調整するのが、タチウオ釣りの面白いところ。
というわけで、上のムービー。キュッとシャクって竿を下げる時にリール半回転、これをベースに、渋い時はシャクリ幅を小さく、さらにリールを巻く量もハンドル1/3~1/4回転くらいのイメージにすると効果的なことが多い。

この日は、明確に「フワフワ」寄りな誘いに軍配。誘いのスピードを探るのもタチウオ釣りの面白さだ
そうはいっても、相手はタチウオ。なかなかのツンデレで、一日の中でもパターンが変わったり。渋いなと思って、小幅な誘いでしばらく釣れ続けたけれど、急に今度はメリハリのある誘いに反応がよくなったり。
釣行当日の状況では、細かく狭いタナを探った方がアタリは多かったのですが、そのあたりはシャクリの幅とリールの巻き取り量で、その日最適な誘いを探ってみてください!
そのあたりは、なおちんもお手の物で、細かく誘い幅やスピードを変えていました。
また、針のサイズも微調整。最初に1/0サイズを使っていましたが、タチウオに丸呑みされたのを見てひとつ大きく2/0に。
小さい針だったから食ってきたという側面もあるかもしれません。ただ、天秤の場合はタチウオが針掛かりした時にハリスに鋭い歯が当たることも多々。
呑まれてしまうと、その分鋭い歯で切られる可能性も高まるので、そんなところを調整してみるのも面白い。
また、最初のアタリでアワせても一発で針掛かりすることは少ない。
下から上へと、エサを見つけたタチウオが付いてくるのですが、2度噛み…3度噛み…、そうして小魚(エサ)を弱らせておいて、いよいよ本格的にエサをガブリ!ということが多いのです。そのタイミングでアワせればうまく針掛かりします。
そのため、竿先がブルブルッとくるようなアタリがきても、そこではアワせず、同じように誘い続けてください。
シャクリ・止めを繰り返しながら上へと誘っていくと、グイーンと竿先を持っていくような本アタリが出ます。タチウオがしっかりエサをくわえた証拠で、ここでその重みを乗せるようにアワせるとガッチリフッキングします。

穂先に細かな振動がくるようなアタリでアワせても掛からないことが多い。グーンと持っていかれるようなアタリにアワせよう
タチウオを船に取り込む時は、水面下にタチウオのギラリとした魚影が見えたら巻くのをストップ。
竿を手前に立てて天秤をつかんだら、ラインテンションが緩まないように気を付けながら、まず竿を船ベリに置きます。
次に天秤を置き、やや前傾してハリスをつかんだら、糸が緩まないように注意しながらタチウオを船内に抜き上げます。
というわけで、なおちんの基本的なタチウオ攻略講座をお届けしました。
先に述べた通り、基本を丁寧に。これがまずは大切。力が必要なわけではないし、老若男女楽しめる。そしてちょっとした工夫がハマった時には最高にウレしい釣り。
小さな巨人なおちんが、そんなことを教えてくれましたとさ。
<取材協力>
神奈川・大津漁港 いなの丸(神奈川県横須賀市)
電話:046-841-9191