包むだけ。それだけで魚を美味しくしてくれる神アイテム。
それがピチット。
「魚好き」な皆さんなら、実際に「使っているよ~」という方もいるでしょう。

△ピチットで包んだ後のお刺身。包むだけで、水分と生臭みを吸収してくれる優れモノだ
しかし、だ。
「名前は知っている。けどまだ手にしたことがない」あるいは「使っている!けれどちょっとしたギモンがある」、そんな方いませんか?
であれば聞くしかない。

「ピチット」と一言でいっても、実はその製品は多彩だったりします。ロールタイプや用途別の小分けタイプなど、使用頻度や使いたい調理によって選びやすい工夫がされている
ということで、今、話題の「ピチット」を一生懸命作っている「オカモト株式会社」に電話してみたのが、この話のキッカケ。
すると、あれよあれよで「どうぞお越しください」で、オカモト株式会社に潜入取材できることに。

玄関を入ると、創業者である岡本巳之助氏のオブジェが出迎えてくれた
そもそもピチットとは?
色々なご質問に答えていただいたのは、吉田勇さん。
さすがに、スーツ姿も〝ピチっと〟決まっている。

記者が心の中で、勝手にピチット博士と命名している吉田勇さん。物腰柔らかく、とても丁寧にさまざまなことに答えていただいた
さて、ピチットについての質問にお答えいただいたのですが、まずは「そもそもピチットとは?」という部分をお話します。
お魚をピチットで包み、時間を置くだけでアラ不思議。水分や生臭みがなくなり、旨みが凝縮。箸が止まらぬ…。
ピチットの特筆すべき点は…
①水分を取る
②生臭みを取る
③旨みが凝縮
ここにあります。そして、前述したように「食材を包むだけ」で。これが重要なところで、誰でも簡単に最短距離で魚の旨みを引き出すことができる。包むだけですから。
また、今回は「お魚」で話を進めていますが、これは「お肉」なども同様であることを付記しておきます。
では、簡単に魚の旨みを引き出すその仕組み、ここが気になりますよね?
ピチットは、目に見えないほどのヒジョ~~に小さな穴が空いた2枚の特殊な食品用半透膜フィルムに、高濃度の水あめ成分や吸収した水分を保持する海草成分(糊料)が挟まれる構成。
魚が美味しくなる仕組み(ピチットと食材との濃度差により、浸透圧が働き、水分がピチットに移行)は以下。
①ごく小さな穴を「水分」や「生臭み」成分は通り、水あめ成分や海草成分がそれを保持する
②魚の旨み成分は、ごく小さな穴を通らない
結果、旨み成分は魚の身肉に残り、水分や生臭みだけが取り除かれる。だから、魚が美味しくなる!

触ってみると、ゼリー状のものが2枚のフィルムに挟まれているのが分かる。これが水あめ成分&海藻成分で、水分や生臭みを除去する
分かりやすい解説が以下の動画。
誰でも簡単! お子さんでも包むだけで美味しくなりますし、ご家族であれば「ちょっと包んでみて」とお手伝いを促せば、食への関心、食育にもつながるのかなぁなんて個人的には思ったりします。
素朴な疑問を聞いてみた
そんなピチットですが、愛用しているだけに聞きたいこともあります!
さっそくオカモトの吉田さんに聞いてみました。
まずは正しい包み方。
「正しい」なんていうと大げさですが、どのように包むのかを尋ねてみました。
吉田さん:「基本的には食材を包んでいただければ大丈夫で、難しく考える必要はありません。しいて言うなら、食材を包む際に、食材とピチットがしっかり密着しているかを確認すると良いですね」

文字通り、食材にピチッと密着するように包むと良い
なるほど。食材とピチットをしっかり密着させるのが性能を引き出すコツだそうです。
あとはピチットが食材に吸着、水分や生臭みを吸い取ってくれます。
ちなみに、ピチット自体の性能には直接関係はありませんが、ピチット同士のちょっとした隙間がある場合は、空気に触れないよう、さらにラップに包んだり、ジッパー付きの袋などに入れて保存するとよいそうです!
続いて質問したのは、1枚のピチット内に入るサイズならば複数匹同時に包んでOKなのか?
吉田さん:「1枚のピチットで複数の魚を包んでも問題ありません。ピチットと触れていれば、食材の水分や生臭みを吸い取ってくれる効果が落ちることはありません。言い換えれば、大きな魚でピチットの大きさが不足する場合には、ピチットを複数使用していただければ問題ありません」
しっかりピチットで包めるならOK! 加えていうとピチットには裏と表がない。言い換えれば両面ともに効果を発揮するので、上下にピチットを置いて重ね置きすることも可能です。
あまりのお手軽ぶりですが、ここで気になるのがピチット自体の保管法や使用期限。
実は、個人的に興味があったところ。何かしらの理由で放置してしまっていたピチットは、「果たして使えるの?」というギモン。
吉田さん:「使用期間は設けておりません。ただし製品の特性上、湿気のあるところなどで保存しますと、そうした水気を吸い取ってしまいます。それでも使用自体には問題ありません。ただ、100%の効果が期待できなくはなりますので、直射日光や高温多湿な場所は避けて保管していただくのが一番ですね」

ちなみに、ロールタイプではないピチットシリーズには、そうした保管方法も考慮してジップ付き袋の中に入れられている
そう聞くと、ロールタイプではないピチットに、ありがたいモノが入っている理由が分かる。実はジップ付き袋に入っています。コレ、捨てるべからず! この袋で保存しながら、使う時だけ取り出すといいですね。
もうひとつ「食」を語る上で欠かせないのが安全面。
普通に使用していてピチットが破ける…ということはないでしょう。とはいえ万が一、中身が出た、そしてそれが魚の身にかかった…。そんな時の安全性はどうなのか?
これについては、食べる用のモノではないものの(当たり前ですが)危険性はなく、軽く水で洗い流すなどの処置をすればよいとのこと。
では具体的に、魚種や調理ごとの脱水時間はどれくらいがよいのでしょうか?
この質問への回答が、なかなかに興味深い!
吉田さん:「製品パッケージやピチット公式webサイトには、製品の種類や調理法による時間を記してはいます。ただ、美味しく食べるという意味で、皆様個人の感覚も異なると思います。水分が多い方が好みという方もいれば、逆の場合もあるでしょう」
「ピチットには脱水力の異なる製品があります。ピチットの種類と調理法、そして時間の組み合わせは無限大といえます。魚種によっても異なるはずです。ぜひ皆様だけの〝自慢のピチットお魚レシピ〟を探すことも楽しんでいただければなと思います」
ピチット…じゃなかった、キチっとイイ言葉で締めてくれた吉田さんなのであった。
ピチット公式webサイトには、上記の通り目安となる時間はもちろん、さまざまな情報が掲載されています。
ぜひそちらもチェックしてみてください。
https://www.pichit.info/
「ピチット」のラインアップ
そんな基本がわかったところで、続いてはピチットの製品ラインアップを紹介。
ピチット(ロールタイプ)には、脱水の強さで3タイプの製品展開となります。
緑のパッケージがレギュラー。オレンジのパッケージが高脱水タイプのスーパー。そして青のパッケージが脱水力を控えめにしたマイルド。
タイプ | 入数 | シートの大きさ |
レギュラー(高吸水タイプ) | 32枚・ミニ36枚入りあり | 約25cm×約35cm、ミニ約18cm×25cm |
マイルド(低吸水タイプ) | 30枚 | 約25cm×約35cm |
スーパー(超高吸水タイプ) | 18枚 | 約25cm×約35cm |
スーパーが性能として優れているというわけではなく、水分脱水量の限界値に差があり、用途に応じて適するピチットを選べばよい。一般的なお魚料理においては、レギュラータイプが最も幅広く使えるといえます。
また、レギュラータイプには「ミニ」もあり、これは約18cm×25cmとシートのサイズが小さくなったもの(36枚入り)。
また、ピチットのレギュラーには「シートタイプ」もあります。15枚入り。
「ピチット一夜干しシート」は、食材に適量の塩を振り、あとはピチットに包んで「冷蔵庫に保管するだけ」で簡単に一夜干しが作れる優れモノ! サイズに2種類ありますが、脱水力としては同様。
青のパッケージが約25×35cm。ピンクのパッケージは「特大」で約50×35cmとなっています。
タイプ | 入数 | シートの大きさ |
一夜干しシート(大サイズ) | 4枚 | 約25cm×約35cm |
一夜干しシート(特大サイズ) | 2枚 | 約50cm×約35cm |
「ピチット冷凍用シート」は、包んでから冷凍することで、水分を吸収。いわゆる「ドリップ」を吸収してくれるため、解凍する時に旨みが凝縮された状態となります。
釣り人目線でみると、「釣り過ぎてしまったなぁ…」なんて時に、美味しく保存できるのが魅力。
こちらも「大」と「小」の2サイズ。
タイプ | 入数 | シートの大きさ |
冷凍用シート(小サイズ) | 6枚 | 約18cm×約26cm |
冷凍用シート(大サイズ) | 5枚 | 約26cm×約37cm |
「カシニーナ ピチット 」は、〝ピチット入門〟にも最適なパッケージといえるでしょう。
サイズは「ふつう」と「大きめ」の2種あり、それぞれに2枚入りと5枚入りがあります。
簡単な手順なども同封されていて「初めてピチットを使う」ならピッタリ。
タイプ | 入数 | シートの大きさ |
カシニーナピチット(ふつうサイズ) | 2枚/5枚 | 約18cm×約25cm |
カシニーナピチット(大きめサイズ) | 2枚/5枚 | 約35cm×約25cm |
お刺身などには「ピチットお刺身美味しくなるシート」がグッド。
「ピチットお刺身美味しくなるシート」は低脱水タイプのピチットとなっていて、生臭みを除去しつつ、水分はしっかり取りながら乾きすぎない。
カピカピのお刺身は嫌ですよね(笑)。あえて低脱水タイプにすることで、程よいみずみずしさがキープできます。
用途別ピチットには、それに応じた脱水力を持つシートが入っているのも、実は着目すべきポイントなのです。
タイプ | 入数 | シートの大きさ |
ピチットお刺身おいしくなるシート | 4枚 | 約25cm×約35cm |
ピチット公式オンラインショップ
https://www.pichit-online.com/
次回、ピチットの簡単レシピ集をお届け
いかがでしたか?「ピチット」がなぜ簡単に魚を美味しくしてくれるのか? 仕組みが分かっていただければ幸いです。
次回は、そんなピチットを用いた簡単&美味なレシピをご紹介します。お楽しみに!