和歌山県加太の伝統釣法である「ギジエマダイ」は、高仕かけと呼ばれる、全長15m前後の長い仕かけを使用してマダイを狙う。
この釣りでは、エサは使用せず、かわりに”ギジエ”と呼ばれる、エサをイミテートしたものを使用する。テクニカルな半面、釣れた、よりも釣った感が強い釣りで、ファンも多い。
ここでは、加太港から出船している藤原丸に乗船して教えてもらった、春に中心のポイントとなる「タクラ沖」の浅場で狙う、ギジエマダイの釣り方をお届けしたい。
ポイント~水深20~30mの浅場
例年、春にかけて、メインで狙うポイントのひとつが「タクラ沖」と呼ばれるポイント。水深は20~30m前後と浅いのが特徴。またポイントの多くは、ゴロタ石などが点在しているが、中には瀬もある。
深場と比べて、手返しがよくなるため、状況がよければ、タイの数釣りが期待できるのも魅力。また、良型も高確率で期待できるぞ。
タックル&仕かけ
ロッドは、7:3調子でオモリ負荷30~60号前後がベスト。この時期は、マダイの食いが渋いことも多いので、マダイのアタリを弾かないような軟らかいものがオススメだ。ただし、底取りがしっかりできるものを選ぼう。

メーカーによっては、加太のマダイ釣り専用ロッドも販売している

手巻き両軸リールが軽くて使いやすい
また、リールは両軸リール、電動より手巻きリールがオススメ。PEは2号で200m巻いておこう。仕かけの全長は15m前後と長い仕かけ。オモリは、20~30号をメインに使用する。
使用するギジエ
この時期のギジエは、大きく分けて2種類、”毛糸”と”ビニール”を使用する。
基本はビニールを使用し、ベイトがイカの稚魚の気配がある時は、下の針2本、または3本を毛糸にする。
藤原丸では、毛糸はエンジ色を1色、そしてビニールはこの時期、ブルーとピンクを使用する。オールマイティなピンクをメインに、潮が澄んでいる時はブルーを使用することも。
ギジエのチョイスは、船長が状況を見て指示してくれるので安心だ。
タイカブラを使用することも
通常のギジエマダイでは、オモリを使用するが、状況によってはオモリのかわりに、オモリに針を付けたタイカブラを使用することも。タイカブラを使用する場合は、誘いは竿の上下で底を叩いていくイメージ。アタリがあれば、即アワセすることが大切だ。
ギジエマダイの釣り方
①オモリから仕かけを下ろしていく
※その際、オモリを投げたりしないように
②サミングしながら仕かけを底まで下ろす
③仕かけが着底したらすぐに底を切る
④船長の指示ダナまでリールを巻く
⑤アタリがあっても合わせずにゆっくりとリールを巻く
乗船した時の船長の指示ダナは、底から2mや、底から5mまでと、底中心だった。底から2mなど、ほとんどベタ底での指示だったら、リールを巻かずに竿の上下だけで誘うのも有効。
また、基本はアタッても合わせることはないが、フォール中にアタリがあった場合は、即アワセしよう! 魚が掛かれば、焦らずに一定速度で巻き上げよう。
ここだけは押さえたいキモ
ギジエマダイは、仕かけが長いため、仕かけ捌きがキモとなる。時合は一瞬のため、絡ませたりしてしまうと釣れる確率の高い時間がどんどん過ぎてしまう。
船ベリには、マグネットシートが置いてあるので、そこに順に針を乗せていき、ハリスは足元に入れていこう。ここを丁寧にやることで、仕かけが絡むことがなく、焦らずに釣りを楽しむことができる。
これから水温も上がり、食いが上がれば好釣果も期待できる。ぜひ、春の美味しいタイを狙いに皆さんも、タクラ沖のタイ釣りに挑戦してみて欲しい。
■取材協力:藤原丸