
初夏が旬、イサギ釣りのシーズンが始まった。
南紀のすさみ周辺で釣れる40cmを超えるイサギを「ジャンボ」と呼ぶのは、皆さんよくご存じだと思う。
さすがにジャンボクラスのイサギになると、片手ではつかみ切れないほど体高が高くなり、全身が黒褐色の肌に覆われて、一段と精悍さが増す。
1度でよいからそんな魚が釣ってみたいと、畏敬の念を抱きつつ、今回登場していただいたのが、シマノのタチウオ三銃士の1人、吉田昇平氏だ。
実を言うと、昨年も同じ時期に挑戦していただいたのだが、残念ながらその夢は叶わなかった。果たして今回はリベンジなるか。
ジャンボイサギを狙って出船
6時、和歌山県・見老津漁港を基地にする黒龍丸は、まるで真夏を思わせる油凪の海へと滑り出た。
見老津沖のイサギは、根の周りの中層から上層に群れている大型を狙って流し釣りをする。
なので、潮の速い時など、船長の合図とともに素早く仕かけを下ろさないと、小さな根の場合、一瞬で通り越してしまうこともある。
さらに、ひと流しごとにマイクでイサギがいるタナを指示されるから、そのタナに素早く合わせてアタリを待つ手際のよさも必要なのだ。
まずはひと流し目。マイクを通して「25m! 25m!」とタナの指示が出たので、仕かの長さの6mを足して、一旦31mまで仕かけを下ろす。
そして、すぐに指示ダナの25mまで巻き上げてからアタリを待つのだが、指示ダナに戻す途中で、アタリがでた。
イサギのアタリは、マダイが食った時よりせっかちで、すぐに底を目掛けて走り出すから面白い。
今シーズン初のイサギの強引を楽しみながら上げてみると、きしむような肌をした30cmオーバーのイサギが、ダブルで食っていた。
ひと通り流すと、潮上りして流しかえることの繰り返しだが、新しいポイントに入った時は、その度にタナを指示してくれる。
それに合わせていれば置き竿にしていてもアタリがでた。
朝の一時は、そんな状況を楽しみながら、1尾、2尾とイサギの数を増やしていった。
しかし、さすがに日が昇ると、朝の活発な食いはどこへやら。
アタリの数が少なくなるし、サシエを取られることが多くなった。
船は魚影の濃い根を求めて、見老津と江住の間を行ったり来たり。
釣りも終盤に入った頃、「これはデカいですよ」の声に振り向くと、吉田氏が奮闘中だ。
確かに、ライトゲームCI4+73Mのロッドが、見事な弧を描いている。
すぐに船長もタモを持って駆け付けてくれた。
船長は竿の曲がりと引き方で、魚の大きさが分かるのだ。
魚が浮いた瞬間に、タモが入った。
「これ(40cm)超えとるな」。
この一言で、吉田氏の顔が一瞬ほころんだ。
早速、メジャーを当てると43cm。文句なしのジャンボだった。
何を釣らせても達者な吉田氏だが、2回目の挑戦でジャンボの夢を叶えるなんて、さすがとしか言いようがない。
この日も正午に納竿。
僕はジャンボには手が届かなかったが、イサギは13尾釣って、久しぶりに竿頭をいただきました。
ごっつあんです(笑)。
名手の使用タックル
■筆者のタックル
ロッド:ライトゲームエクスチューン73MH225
リール:ビーストマスター2000
■吉田氏のタックル
ロッド:ミッドゲームエクスチューン64M225
リール:フォースマスター600DH
※後半はこちらに交換
ロッド:ライトゲームCI4+73M200
リール:フォースマスター1000
大型イサギは引く力が強いので、暴れさせると針掛かりした穴が広がりやすい。
そんな状態で、波により船が大きく持ち上げられて、落ちる瞬間に糸フケが出ると、硬い竿ではすぐに対処しきれず、針がスッポ抜けることが多い。
この日使ったミッドゲームとライトゲームは、穂先の軟らかさと、竿の曲がりで糸フケに対処できるから、バラシが少なかった。