【手釣りから竿釣りへ、テンヤからエギへ~】エギタコの伝道師が語る、明石のタコ釣り変遷

船タコ釣り特集

日本国内で屈指のタコ処、兵庫県明石。

近年、大ブームを巻き起こしている「エギタコ釣りの発祥の地」とも言われ、ここ明石を起点に、全国へと広がっていったとされる。

そんな明石をホームグラウンドとし、タコのシーズンには、出船日のほぼ毎日となる「週に4日以上(明石の釣り船は火曜、水曜が定休)は船に乗る」というエギタコの伝道師的な存在の和田勝也氏に明石のタコ釣りの変遷をお聞きした。

和田 勝也(Wada Katsuya) プロフィール

ジギングやマダコ釣りをはじめ、瀬戸内の釣りに精通する、現在の明石エギタコブームの火付け役的存在。アルファタックル・フィールドスタッフ、マルキユー・フィールドスタッフ、墨族オクトパッシングスタッフ、アシスト工房代表。通称「ワダゲルゲ」。

手釣りから竿釣りへ

漁業だけでなく遊漁でも、昔からブランド名高い「明石ダコ」を狙っていた兵庫県明石。

ここで獲れるタコは、激流で知られる明石海峡の潮流に揉まれて成長し、足が太くて短く、その弾力ある歯応えと旨味で、「明石」と言えば「タコ」と多くの人が答えるように、全国にその名を轟かせている。

今でこそ、全国的な人気を誇るエギタコだが、和田氏によれば、「元々は明石でも、遊漁でのタコ釣りはタコテンヤと呼ばれる仕かけで狙っていた」と言う。

このタコテンヤ、釣り方は手釣り。

木枠に巻かれた太いテトロン糸の先に、これまた太いナイロン糸が結ばれてあり、その先にビラビラとした派手なビニールやゴムなどの集寄、その下に「タコテンヤ」というカマボコ板のようなモノにオモリと針を付けた仕かけ。これに冷凍のアジなどの小魚や、豚の背脂、鳥のササミなどを針金で巻き付けて狙うのが主流だった。

手釣りのタコテンヤ仕かけ

この手釣りでのテンヤの釣りが、元々の明石のタコ釣りスタイル。

それが、ルアーフィッシングの広がりとともに、竿釣りへと変わるキッカケを見せる。

竿釣りへの起点

今から15年以上前、明石のルアー船に乗船していた釣り人たちが、テンヤの仕かけはそのままに、木枠に巻かれたテトロン糸での手釣りから、自らのジギングロッドの先にタコテンヤを付けて、青物狙いの潮の合い間にタコを狙い始めた。

これが竿釣りの始まり。

ただ、この時点では、あくまでも手釣りの延長。仕かけやエサは手釣りの時と全て同じ。そんな状態がしばらく続いた。

竿釣りのタコテンヤ仕かけ

テンヤの釣りは、基本的に細かいアタリを取って合わせることもなく、仕かけを底に置いてタコを乗せる釣り。タコが仕かけを引っ張っていけば合わせるという、テンヤの釣りを竿でやっているだけだった。

そんな時、和田氏や明石浦の丸松乗合船の松本船長らが「タコ釣りでも将来的に竿釣りを増やしていこう」という試みを始めた。

▲丸松乗合船の明石丸

釣具の進化が竿釣りメインへの助長、遊漁による深場のポイント開拓も

タックルやラインも進化をし始める。

細くても十分に強度のあるラインが普及され始め、竿釣りの人のラインはPE2~3号と一気に細くなった。

そして、竿、リールもライトタックルブームになり、軽くて短い強度のある竿や、小型でパワーのあるリールが増える。

そうなると、明石のタコ釣りに変化が起き始めた。

明石のタコ釣りは漁業を除いて、遊漁ではおよそ6~8月の約3カ月間が基本だった。

これは、明石が恵まれた漁場でタコ以外にも狙うターゲットが豊富で、旬ごとに釣り物が切り替わっていたから。また、手釣りのテトロン糸が太かったので、多人数が乗る乗合船では10m前後の浅場主体に、深くても20m前後のポイントしかできなかったことも起因する。

それが竿釣りのラインが細くなったことにより、竿釣りの釣り人を乗せた遊漁船たちが、より深いポイントを狙い始めるようになった。

ただ、この時点では、まだ現在のエギタコゲームのようなゲーム性は乏しいものだったそうだ。

テンヤからエギへ

竿釣りが徐々にではあるが増えてくると、今度は仕かけに工夫を凝らす人が出てくる。

テンヤでは面白みに欠けたり、エサを巻かないといけない、ということを望まなかったルアーマンたちが、この釣りをルアーでできないかと試行錯誤し始めた。

その答えがエギ。

当時は、まだ船タコ用のエギはなかったそうだが、自ら陸っぱり用のエギを改良したりして狙い始めた。この頃、和田氏によると、改良したエギで狙い始めて釣果も出たので、船タコ用のエギを作れば、釣れる手応えを感じていたそうだ。

そこで和田氏や松本船長らが協力して形にし、ハリミツから登場したのが、船用タコエギの「蛸墨族」。

このタコエギの登場で、和田氏は丸松乗合船での仲乗りを兼ねた乗船時にそれを使って釣果を上げ、僚船の船長やその乗船者たちにもエギタコの釣りを普及させ始める。

そして、明石のタコ釣りのレギュレーションではテンヤは60号オモリだったが、エギでは抵抗の小ささも考慮して、丸松乗合船ではエギタコの釣りはオモリを50号に設定。その僚船たちも次々と同じように設定して狙い始めた。

和田氏は「ほかの僚船も、このレギュレーションに合わせてくれたのが大きかった」と話す。

このレギュレーションの統一で、ルアー船だけでなく、エサ釣りの船にもエギタコの釣りが広まり始めた。

当時の仕かけは、エギ1つのシンプルタイプだ。

 

深場での釣果差&オマツリ解きの努力で一気に竿釣りの時代へ

この頃になると、エサ釣りの乗合船でも竿釣りは増えてきてはいたが、それでもまだまだ手釣りのテンヤ仕かけも多い時代。

乗合船では手釣りと竿釣りの混同。そして、同じ竿釣りでもテンヤとエギの釣り人の混同が起き、当然のごとくオマツリが多発する。

手釣りと竿釣りでは、仕かけの立ち方が異なるのでオマツリがひどく、遊漁船はその対応に追われていた。

そこで、乗合船ではオマツリの原因となる仕かけの立ちを調整するために、竿釣りと手釣りの人の釣座を分けた。

そして、どちらの釣りをする人も気持ちよく釣りが楽しめるように、オマツリ解きや釣りのアドバイスを送る仲乗りとして、週の大半を和田氏が乗り込む。

和田氏は「みんなが竿釣りになるまでの過程が1番難しく、苦労した」と話す。

流す度に船中あちこちで多発するオマツリを解き続けていると、手軽なタックルで狙えるエギタコの釣りは徐々に広がり始める。

そして、水深30~40mの深場では竿釣りに圧倒的な釣果が上がり続けた。

「手釣りの人が太刀打ちできたのは、せいぜい20mラインのポイントまで」と和田氏が言うように、深場での釣果差は歴然。

中には、初心者のエギタコ釣りが、ベテランの手釣りのテンヤ釣りを圧倒する日もあったとか。

この差を実感させられたベテランを含む手釣りの釣り人たちは、今までの手釣りを諦め、竿釣りを選ぶようになった。

そこからの明石は、竿でのエギタコ釣りの時代へ、一気に様変わりする。

エギひとつの仕かけから、ツイン仕様の仕かけが主流となり、ここ近年ではエギにエサを巻いたり、ワームを付けたりと、いろいろなアイテムも登場してきた。

現在の明石のエギタコの主流仕かけ

 

これからの船タコ釣りは

手釣りから竿釣り、テンヤからエギへと、船のタコ釣りが進化してきた現在、日本各地でエギタコ釣りが行われるようになった。

「明石がそうであったように、釣具の進化とともに、今までタコ釣りを行っていなかった所で始まったり、より深いポイントや潮が速いポイントの開拓が各地で進むのでは?」と和田氏は予見する。

また「これからの船タコのタックルについて」を問うと、「より軽くてライトに深場を狙うになった船のタコ釣り。だからこそ、タックルには柔軟かつ高感度の穂先を持ち合わせるバットパワーの強い竿、軽くてパワーのある巻き取りやすいリールが必要となってきますね」と結んでくれた。

最後に、明石では100g未満のタコ(目安は頭部が鶏卵1個分)の捕獲が禁止されている。遊漁船に乗船して釣りをすると、小型のタコが掛かってくることもあるが、漁業者と共存してタコ釣りがいつまでも楽しめるようにリリースを心掛けてほしい。

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