先日紹介したアニサキスの症状。
あの辛さは一度経験したらトラウマになるほどで、筆者もアニサキスの経験をしてからというもの、魚を刺身で食べる際、念入りにチェックをするようになりました。
しかし、実はつい先日に思わぬ被害に遭遇することがありました。
もちろん、アニサキスではありません、何なら火を通した焼き魚を食べてソレは起こりました。
今回は夏の時期に気を付けたい、「ヒスタミン食中毒」についてのお話です。
地味に辛い症状が続くヒスタミン食中毒
今回筆者に起こった症状は「ヒスタミン食中毒」というもの。
原因は昼食に食べた塩サバ+サバごはんのサバ尽くしでした。
ヒスタミン食中毒とは、ヒスタミンが高濃度に蓄積された食品、簡単に言うと傷んだ魚を食べた時に起こる食中毒。
ヒスタミンは、食品中に含まれるヒスチジンにヒスタミン産生菌の酵素が作用し、ヒスタミンに変換されることにより生成される物質です。
ちなみに、ヒスチジンが多く含まれる食品はマグロやカツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなどの赤身魚。
それらが傷むことで「ヒスタミン食中毒」が起こります。
そもそもヒスタミンとはかゆみや腫れを引き起こす物質で、ヒスタミンを食事から一度に100mg以上摂取してしまうと、食中毒を発症するとされています。
症状自体はアニサキスと比較すると軽微ではあるものの、激しい頭痛と動悸、体中が蕁麻疹のようなかゆみを伴う湿疹が発生し、倦怠感・目の充血・嘔吐、下痢などの症状がおこります。
食べてから約1時間の間に発生し、筆者ももれなく上記の症状すべてが発生しました。
重症になると呼吸困難や意識不明になることもありますが、死に至ることはないとのこと。
アニサキスのような地獄ではないのですが、実際起こってみるとなかなかに辛く、日常生活がかろうじて送れるようなギリギリの症状といった感じです。
ちなみにこのヒスタミンは熱によって分解されませんので、火を通せば大丈夫!と過信しないように注意しましょう。
ヒスタミンを高濃度に含む食品を口に入れたときに、痺れるような刺激を感じることがあるので、少しでも違和感を感じたらすぐ処分するのがオススメです。
筆者の場合、症状が出た段階で病院へ急行。
ヒスタミンの働きを抑える「抗ヒスタミン薬」とかゆみ止めの塗り薬も処方されました。
特に頭痛と動悸の症状がひどかったため、小まめに水分を補給したのですが、この時ヒスチジンを含む飲料水の摂取には十分に気を付けましょう。
主にアミノ酸を多く含むスポーツドリンク系にはヒスチジンも含まれているので、これらを飲んでしまうと悪化の要因にもなりかねます。
筆者も病院で処方された薬を飲み、十分に休養を取ったところ翌日には湿疹などの跡もなく無事回復しました。
若干、頭痛や倦怠感は残るのですが2日ほど経過した時にはほぼ完治していました。
夏の釣りは特に要注意
今回の原因の塩サバ、実は先日ライトジギングで釣ってきた魚を調理したもの。
釣った後に血抜きを行い、クーラーに氷を入れて持ち運んだのですが、調理までの保管状態が良くなかったらしく、食中毒を発生させてしまいました。
マグロやアジ、サバ、イワシ、ブリ、カツオなどの赤身魚はヒスタミンの元になる「ヒスチジン」を多く含んでおり、エラや消化管にはヒスタミン産生菌が多く存在するので、素早い処理と鮮度が重要になります。
ヒスタミン酸性菌の種類によっては常温で増えやすい菌と、0~10℃の低温状態でも増える菌もいるため、冷凍からの解凍などにも注意が必要です。
とにかく言えるのは、夏の時期は釣った魚の鮮度管理は重要ということです。
さばいた後も素早く調理し、鮮度を落とさないように十分にお気を付けください。
筆者も今回「ヒスタミン食中毒」になったことで、改めて鮮度の重要性と危険性を身をもって経験しました。