
生きた小魚をエサにして、食物連鎖の頂点に立つ大物を狙う釣りは、最高にエキサイティングだ。
ノマセ釣りしかり、落とし込みも同様に面白い。
これらの釣りは、イワシや小アジなどのエサが回遊してくると、釣りシーズンが始まる。
「ベイトはイワシが最高だが、小アジのエサでも釣れる」。
谷口船長はそう言って、わざわざ釣行の前日に、小アジのエサを釣って、イケスに生かしておいてくれたのだ。
この日のメンバーは、谷口丸の常連の1人で、奈良市の近藤徳幸氏と、シマノのタチウオ三銃士でおなじみ、フィールドテスターの吉田昇平氏の3人だった。
朝イチは、地ノ島と沖ノ島の間にある中ノ瀬戸からスタートした。
「中戸」と呼ばれるこの瀬戸は、潮が速いだけでなく、まるで屏風のようにそそり立つかけ上がりを釣りこなすのが難しい。

アジは鼻掛けで使用した
小アジのエサを鼻掛けにして、こまめに底を取りながら海底近くでエサを泳がせていると、いきなりあいさつもなしにガツンとくる。
が、それからのやり取りが面白い。
何しろ潮が速いので、魚の引きに、潮の抵抗がプラスされて、ハマチが掛かってもメジロが食ったのでは、と勘違いするほどの手応えなのだ。
ひと流し目は素通りしたが、2流し目は、僕と近藤氏にハマチがほぼ同時にヒット。
これからタチウオだけでなく、いろんな釣りに挑戦してみたいと意欲を見せる吉田氏は、もちろんノマセ釣りは初体験。
なので、ちょっと出遅れたけど、何事にも一芸に秀でた人は呑み込みが早い。
すぐに僕たちが悲鳴を上げている「ハマチ祭り」に加わった。
こうして、ひとしきりハマチを釣り上げた後、潮がかわったので船長は加太ノ瀬戸へと船を進めた。
上り潮に乗せて、南から北へと地方寄りのポイントを流していると、奇跡が起きた(ちょっと大げさ)のだ。
魚探の画面が真っ赤になるほどのイワシの群れ。
これを見逃す手はないと、早速サビキ仕かけを下ろしてイワシを確保。

突如入ってきたイワシの群れ。サイズは8~10cm
10cmほどのカタクチイワシを針に掛けて底へ下すと、まずは私にソゲクラスのヒラメ。

近藤氏はアコウとヒラメにマダイもゲット
その直後に、近藤氏が40cmを超えるヒラメと、アコウを立て続けに上げて、一人怪気炎。
吉田氏にもアタリはあるのだが、どうしたことか最後までハマチに好かれてしまったようだ。
ノマセ釣りでエサがかわれば、こんなにも釣果がかわるのだということを改めて実感した。
今回の使用タックル:食い込みよく、バットパワーも兼備したロッド
ノマセ釣りに必要な竿の条件は、竿先が軟らかくてアタリが取りやすく、食い込みがよいことに加えて、大型が食った時の強い引きに耐えられるバット部の強さだ。
その要件を備えているのが、この日使ったミッドゲームCI4⁺TYPE73H220。
メジロが食うことを想定していたので、73のHタイプを使ったが、ハマチクラスならTYPE64M225でも十分だ。
リールは軽快な巻き心地のオシアコンクエスト300HGを使った。