2024年8月時点で80cm超のマダイが100尾!?
超有力船に乗り、大ダイを狙う
足の遅い迷走台風が通り過ぎたばかりの9月初旬、東京から訪れた釣友を米子鬼太郎空港でピックアップし、大ダイ狙いでお馴染みの、境港のフィールズ号(仲野肇船長)へ案内した。
飛行機の到着時刻に合わせ、出船は正午。夕方まで大ダイを狙い、日没後は今シーズン最後のイカ釣りを楽しもう、という魂胆だ。こんな釣り人のわがままに、気持ちよく応じてくれるのが嬉しい。
タイラバ漁場としての、美保関沖のポテンシャルは凄まじい。何せ、今年1~8月までにフィールズ号が釣り上げたマダイの総数は、優に1000尾超え、80cmオーバーだけでも100尾を数えると言う。
仲野船長によれば、ある釣り人は1日に17尾のマダイを釣り上げ、うち8尾が80cmアップ、常連の大阪の野邊氏、岡山の大薮氏も、それぞれ80cm超を10尾は手にしている。
この3人だけで30尾の釣果とすると、8カ月で100尾という釣果は、十分に納得できる数字だ。それにしても、こんな漁場がほかにあるだろうか?
本年4月11日に筆者が乗船した時は、80cmオーバーが3尾。ご一緒した白墨丸(淡輪)の秋山智一船長も80cm超の強烈なファイトにご満悦。
私が釣り上げたジャスト80cmは、はるばる山梨県から自走して参加された魚拓師、熊本昇平氏の手によって、見事なアートに変身した。
先日、魚拓を頂戴したが、今にも泳ぎ出しそうな、迫力のある作品は、一生のメモリアルとなった。
なぜ、美保関沖はこんなに大ダイが釣れるのか? 仲野船長が美保関沖の大ダイポイントを探り出すには、それなりの苦労があった。
普通は、海図に記された天然魚礁や人工魚礁を中心に魚の付き場を探し出す。しかし、その方法では、どうしても中、小型がメインで、サイズが伸びない。
逆に、何の変哲もないフラットな砂地を手探りで調査し、そこから大ダイポイントを探り当てた。海図の等深線を読み込み、わずかに谷状になった凹地を探す。
ドテラ流しで、その谷筋の斜面をタイラバが、かけ上がるように、あるいは、かけ下がるように船をトレースさせ、谷筋に点在する大ダイを、効率よく釣り上げる方法を確立したのだ。
船長に伺うと、「海底の地形、潮流、風向き、潮の向きによって、エサとなる物がどこに溜まるか推測することだと思います」と語る。
GPSで同じポイントに船を着けても、その日の潮流や風向きによって、エサが集まる谷筋をトレースできるか分からない。
釣果は潮流、風向き、海図を読み、キチンと谷筋をトレースする操船力、長年に渡って美保関沖の大ダイ漁場を探ってきた、仲野船長の経験の賜物である。
船が美保関灯台を回り込んだ途端に北西風が強まり、海面は兎が飛ぶ有様となった。船速を落とし、さらに40分ほど走った、水深60mの漁場からスタートフィッシング。
ポイントは砂地で、根掛かりの心配は少ない。全員が右舷に立ち、エンジンを切ってのドテラ流し。排気ガスも、エンジン音もしないのが心地よい。
この日のヒロインは、3年前に明石で開催した「鯛ラバ体験会」に1度だけ参加した、伊藤ひとみさん。
タイラバを選んでいただくと、「ビッグボスを試したい」と言う。マダイが好む金ラメをふんだんに練り込んだ、ゴールドラッシュをセットし、リール操作を復習。
タイラバの着底を見極め、巻き始めた途端だった。0.8号のPEラインを巻いた「エンゲツCT HG」の、ひと際甲高いドラグサウンドが、船上に鳴り響いた。
何と、この日の第1投目である。時刻は13時半だ。みるみるラインが引き出され、水深60mのところを、カウンターの数字は100mを超えた。
どんなにラインを引き出されようが、ひたすらリールを巻き続け、プレッシャーを掛ける。
それにしてもロッドのしなり方が半端ない。リールを巻き続けること20分、少し沖合に浮かび上がったのは、とてつもないサイズのマダイだった。
タモより大きなマダイを、仲みゆきさんが掬い上げ、船上は大歓声。ジャスト87cm、フィールズの今年の記録2番目のサイズだった。ひとみさんの満面の笑顔が眩しかった。
その後、風波で荒れる海の中を1時間半の沈黙。そして、再びヒットしたのが、ひとみさんだった。
ビッグボスのゴールドラッシュに、今度は65cmの美味しそうなマダイ。使用したヘッドは、ドテラバクバクの120g。針が下唇を外から縫い刺していた。
それから1時間半、ようやく風も落ち始めた16時半に、今度は仲みゆきさんのドラグが唸りを上げた。「久々の重量感のあるファイト」と言う。
船長のタモに収まったのは、60cm前後の立派なマダイ。この日はどういう訳か、男性陣は総倒れ。美保神社の恵比寿様は女性に優しかった。
西陽が傾く頃に、シロイカの漁場に船を走らせた。水深は30mの浅場である。
アンカーを下ろし、我々がタックルをセットしていると、様子見に仕掛けを下ろした船長に大剣がヒット。まだ明るい時間だ。
そして、胴長40cmオーバーの旬のシロイカを次々と釣り上げ、全員が大漁満足。筆者はイカソーメンでグビリとやるのを楽しみに、帰路に就いた。
秋は、「裏旬」と呼ばれる、脂が乗ってモチっとした歯触りが最高の、「紅葉鯛」のシーズンだ。
今年こそ、80cmオーバーを釣り上げたいと思う、そこのあなた、今がチャンスですぞ‼
タックルについて
大ダイ狙いだからと言って、必要以上に強いタックルを用意する必要はない。ロッドは、瀬戸内海で使用するML、またはMクラスのロッドがあれば十分だ。リールは、PGでもHGでも構わないが、タイラバの回収を考えるとHGが楽。PEは、0.8号、または1号、リーダーは、フロロ4号を2~3ヒロ
ロッド:炎月リミテッド FS66ML
リール:オシアコンクエストCT300HG
ライン:PE タナトル8・0.8号
リーダー:フロロカーボンリーダー3~4号(3~4.5m)
フック:喰わせ鈎/バーブレス 8、10、12、14号
アシストフック:喰わせ鈎/1本鈎仕様、鯛ラバPEアシストフック「佐々木流IPPON勝負」バーブレスM、L
タイラバヘッド:炎月 バクバク TG60、70、90g、炎月 ドテラバクバク80、100、120、150g、炎月 タイガーバクバク80、100、120、150g
タイラバネクタイ:ビッグボス、ビッグボスJr.、シングルコブラカーリー、コブラカーリー、コブラ・スリムカーリー、トラッドピンテール