
大東哲也(おおひがしてつや) プロフィール
今年もいよいよ、残すところ僅かとなりました。この連載にお付き合いをいただいた皆さま、今年もありがとうございました。
2024年を締め括るネタを何にしようかと思案しましたが、「胴突き仕掛けを制する者は船釣りを制す」ということで、胴突き仕かけの話で締めたいと思います。
一般的に関東は「吹き流し文化」、関西は「胴突き文化」と言われます。
潮流や、マキエ使用の有無、ターゲット、などで培われてきた文化、釣りスタイルですが、「関西で船釣りを極めるなら、胴突き仕掛けを極めることが必須」と言っても過言ではありません。
ということで、旬の釣りである淡路島南部のサンバソウ(イシダイの幼魚)釣りをベースに、2024年を締め括る「キモ」な話を始めましょう!
ハリスのエサ長の使い分け
淡路島南部のサンバソウ(ハス)釣りが楽しめるのは11月頃~翌年2月頃。越冬してきたサンバソウが集結する、冬季限定の釣りで、沼島、淡路島・由良の遊漁船が有名です。
それぞれ、釣期や釣り方が異なるので、注意が必要です。
沼島エリアは、穴や窪みから出てきている浮いた魚を狙い、由良は穴や窪みにいる個体を流しながら狙います。
どちらも生きたエビをエサに、胴突き仕掛けで狙います。
魚の活性が高ければ、竿を強烈に引き込むアタリがでますが、渋ければ、竿先に小さなアタリがでるだけ。
繊細な釣りになることもあります。
また、釣れる魚種も豊富で、思わず本命で狙いたくなるような、大型のカワハギが釣れるのも魅力です。
となると、アタリもなくエサが取られることも多く、エサ取りをかわしながら、本命を釣っていくことになります。
また、磯場をメインに狙うので、根掛かり対策や、根掛かり外しの技術も必要となります。
サンバソウ狙いでの仕かけのエダ長は、主に30~50cmです。そのエダ長で、竿先にアタリがでるということは、それ以上に魚が引っ張っているということになります。
活性が高ければ、その程度の距離は関係なく引っ張る(食い込む)のでしょうが、活性が低くほとんど居食いのような状況であれば、アタリがでない。そして、魚が小さければ、アタリがでない。となる訳です。
では、エダ長が短ければ、何でもよいのかと言えば、そうではありません。エダが短ければ、船上の僅かな動きが、伝わりやすく、それが違和感になる。
渋ければ、エサすら取られない、大きい魚だと、力を逃しきれずに切られる、ということになるので、タックルや、身体を使って揺れを押さえたり、引きをいなすなどの策やテクニックが必要になります。
エダ長でのメリット、デメリットをまとめると、以下の通りです。
●エダ長が短いメリット…アタリがでやすい、誘いが効きやすい。
●デメリット…強い引きに弱い、魚に対して違和感が出やすい。
●エダ長が長いメリット…魚に違和感を与えにくい、強い引きにも対応できる。
●デメリット…アタリがでにくい、トラブルが増える。
先日、由良でのサンバソウ釣りでは、魚の活性が低く、エサは取られるがアタリがない、という状況だったので、短ハリスの仕かけを使用して、僅かなアタリを捉え、本命をゲットすることができました。
時合と思われた所で、ハリスの長い仕かけに変更するも、エサだけ取られる状況となり、エダ長の重要性を再認識する場面がありました。
エサ取りのアタリであれ、魚のコンタクトを感じることで、エサのない状態を減らし、時合でキチンとエサを付けて本命を狙うことができるので、結果的にチャンスが広がることになります。
魚の活性や、大きさ、種類や特徴を把握しながらエダ長を調整することで、釣果を伸ばすことが可能となる訳です。
今回は、サンバソウ釣りでのエダ長の話でしたが、ハリスの素材や、ハリの重さなどでも釣果はかわってきますので、ベストな組み合わせを、それぞれのジャンルで試してみてください。
単純に見える胴突き仕かけを使った釣りの面白さが、再発見できると思います。
エサ取りも、本命も釣れる“キングof欲張り仕かけ”
今回紹介するのは、「ハゲ鯛五目胴突」。この仕かけは、エサ取り(カワハギ)も、本命魚(マダイ、サンバソウ)も両方狙える、画期的な仕かけ。沼島の盛漁丸の船長仕かけを参考に、開発しました。
下針2本が小針、ショートハリス、上2本が大針のロングハリスになっており、底付近にいるカワハギの僅かなアタリも、ショートハリスにすることで感じることができ、上の針はロングハリスで、本命魚に違和感なく食わせる、というキングオブ欲張り仕かけ!
淡路島のサンバソウはもちろんですが、串本のカセや、筏での五目釣りなど、船釣り以外でも活躍すること間違いなし! 欲張りアングラーに贈る、最強五目仕かけです。