近年、海上釣り堀攻略に“ベイトサグリ”の存在が欠かせなくなってきた。
その理由は単純明快。「手返しがよい」からだ。リールに目をやれば狙いたいタナを効率よく攻めることができるうえ、キャストせずとも竿下に仕掛けを垂らすだけで細かくイケスを探ることができる。
ただ1点、便利故に弱点…とまでは言わないが、少し扱いに難しい所がある。それが竿のレングス分の範囲しか探れないという点だ。場所が変わればイケスの大きさが変わる。もっと言えば、釣座によっても変わる。そのため、熟練のアングラーになれば2本、3本と必要な本数が増えてしまう。
その課題を解決してしまう、ベイトサグリロッドの完成形とも言えるロッドが、2025年シマノより。
シーリア エクスチューン ベイトサグリ ZM

出典:シマノ
品番 | 全長(m) | 継ぎ方式 | 穂先タイプ | 継数(本) | 仕舞寸法(cm) | 先径(mm) | 錘負荷(号) | 適合ハリス(号) | ズーム(cm) | リールシート位置(mm) | リールシートタイプ | カーボン含有率(%) | 本体価格(税別) |
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MH 300-350 | 3.50 | 並継 | ウキウキトップ | 5 | 106.5 | 0.8 | 0-4 | 2-8 | 50cmシルキーズーム | 455 | DOWNLOCK | 91.7 | 64,000円 |
MH 350-400 | 4.00 | 並継 | ウキウキトップ | 5 | 121.5 | 0.8 | 0-4 | 2-8 | 50cmシルキーズーム | 465 | DOWNLOCK | 99.1 | 66,000円 |
MH 400-450 | 4.50 | 並継 | ウキウキトップ | 5 | 122.8 | 0.8 | 0-4 | 2-8 | 50cmシルキーズーム | 475 | DOWNLOCK | 99.1 | 68,000円 |
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1本で2度美味しい、50cmのズーム機構を搭載
スペック表をご覧いただいた方の中には、お気づきの人もいるだろう。
「シーリア エクスチューン ベイトサグリ ZM」はロッドの長さを50cm伸ばせるズーム機構を取り入れている。そうすることで、攻略可能な範囲が広がり、水中の縦の攻略だけではなく、横の攻略もその一投で可能に。今までは長さの異なる2本のロッドを用いる必要があったが、それを1本のロッドに集約できるようになったそうだ。
何度伸縮しても劣化せず、嵌合力(かんごうりょく:節がぴったりと合う性能)が低下しないような作りになっているそう。また、雨の日や高温期にも膨張による嵌合力の変化がなくトラブルがないのも特徴。伸縮時の合わせフィーリングも向上し、シルキーな使い心地を実現している…と。
ティップスイッチシステムで魚にアジャスト
変えられるのは長さだけではない。エサや魚の動きに合わせて2種類の穂先を交換することができる。
Type-1はシラサエビ、オキアミ、キビナゴなどをアクションさせて誘う釣りに有効。適度な張りとエサがハリから落ちない柔軟性を兼ね備えている。Type-2はオートマチックな喰い込み性能を追求し、魚が穂先の存在に気付かないほどの追従性が特徴。置き竿や竿を動かさない状態で有効となっているそうだ。
不意の大物にも余裕で対応できるブランクス
朝一のマダイの数釣り、不意の大物とのファイトなど。ブランクスに求められるパワーは、船釣りのそれと遜色ない。
「シーリア エクスチューン ベイトサグリ ZM」には、海上釣り堀ロッドとしては初採用となるスパイラルXコアを搭載。また、並継だからこそ効果を発揮するハイパワーXでネジレ、つぶれを徹底的に追放し、高負荷ファイト時などのサポート力を向上。そしてバットパワーは、MHパワー相当で高活性時のマダイの数釣りから、不意の青物にも余裕の対応力を発揮すると。
“エクスチューン”の名を冠するロッドとしてのコダワリ
ズームができる、強いブランクスを保持している…だけではない。
シマノの高級ロッドの称号でもある“エクスチューン”の名を冠するだけあって、細部にも実釣性能へのコダワリを感じられる1本となっている。
インプレッション
従来のシーリアベイトサグリ、シーマーク ベイトサグリと比較するとバット径が極端に太く、パワーアップした印象を受けますね。でも持ったときの感覚はとても軽い。そしてイメージ通り強い。魚を掛けたとき圧倒的パワーは表現しようがないほどです。バット部分はとてもしっかりしていてトップ部分が柔らかくしなやか。つまり今回はハイパワーのバットにソフトな穂先を備えた調子となっています。感度も良く、バット部分で魚の引きを受け止めて、40cmクラスの真鯛なら抜き上げることができるほどの強さを備えています。
また、今まで海上釣堀の竿は、一部の釣堀のレギュレーションを踏まえ、4m未満に設定されていたのですが、シーリアエクスチューン ベイトサグリZMには50cmシルキーズーム搭載によって実現したMH400-450もラインナップされています。中イケスくらいであれば、今まで狙うことのできなかった中心部までダイレクトにサグリ釣りで狙うことができるようになりました。あとズームアウトした状態でも持ち重りせず、とても使いやすかったですね。
MH400-450が使える状況であればウキ釣り仕掛けはいらないですし、複数のタックルを用意する必要があったのがひとつで済ませてしまえるほど。今までのロッドのイメージを覆すパワーとしなやかさを持っていますね。あとガイドの脚が高く径が大きくなっているため、ブランクスにラインが触れる割合が少なく仕掛けもスムーズに出ていきます。
出典:シマノ
正直驚きましたね、パッと見たときはかなり太くなったなと。でもこれはマイナスイメージだったんですよ。パワーはアップしてるかもしれないけど、先まで硬くなっているんじゃないかと。
しかし、使ってみるとシーリアベイトサグリよりも穂先が柔らかくて50cmシルキーズームの機能も素晴らしい。今までのイメージだと伸ばしたときに持ち重りするんですけど、全モデル使用しましたが、重点的に使ったMH350-400ではまったく持ち重りしなくて350の感覚で400が使える。バット部分に手を添えないと扱えないのかなと思っていましたが、まったくそんなことはなくて片手で使えますね。
そして恐ろしくバットが強いですね。正直なところ、これ1本でもう死角がなくなったんじゃないかという印象を受けます。ウキ釣りは竿以上の長さを狙えるんですけど、サグリ釣りは竿の長さに制限される。でも中イケスの中心付近をカバーできるMH400-450はすごいと思いましたね。ほかにはない規格外のモデルです。喰わせる能力もパワーもあって、メジロクラスの青物が掛かってもシマアジが掛かったときのような感覚だったんですよ。85cmくらいのヒラマサも掛けたんですけど、溜めているだけで浮いてくる。
また、冬場は魚の活性が低くなって居食いが多くなります。掛けたとしても掛かりが浅いんですよ。年明けの極寒期などは聞きアワセもおこないますが、そういうときにも違和感なく掛けられると思っています。口の柔らかい魚に対してもバレが少ない。きれいに曲がって獲れる竿、よく作れたなと絶賛できます。今まではシーリアベイトサグリが最高の竿だと思っていたんですけど、2段階くらい上に到達した印象です。一度シーリアエクスチューン ベイトサグリZMを手にしたら、きっと皆さんもそう言われると思いますよ。
出典:シマノ
竿を手にしての第一印象は思っていたよりもかなりトルクがあること。あと粘り。とにかく強いですよね。従来のベイトサグリシリーズとは完全に別物です。エクスチューンならでは、フラグシップならではの張りがあるというか、かなり個性的な仕上がりになっていると思います。あとやっぱり注目は50cmシルキーズーム。従来の海上釣堀の竿にはなかったものですからね。
ベイトサグリにおけるズームの役割は、探る範囲が広範囲になります。今までの竿のデメリットは長さが制限されるため探る範囲が狭いことで、かなり制約があったんですけど、それが50cm伸びると全然違う領域になるんですね。放流が終わって、中盤から終盤にかけて青物とかシマアジがイケスの中央付近に浮くことがあるんですよ。今までなら、あわててサグリ釣りの仕掛けを回収して、ウキ釣り仕掛けのタナを浅くして、エサを付け替えて投げたとしても間に合わないんですよ。
それに対して即座に対応できるのがこの竿の最大のメリットです。ズームを伸ばして巻き上げるだけで調整できますから。それで拾える1匹、2匹が最終的な釣果の差になってきますね。魚を掛けてからは強すぎるくらい強い(笑)。ハマチクラスが抜き上げられるほどで、逆に心配になるくらいですね。一方、穂先はユーザーさんのリクエストに応える形でソリッドの柔らかさを活かしています。また穂先はシーリアベイトサグリとも互換性があるので便利ですね。
出典:シマノ
各番手の特長
ネット際~中距離までを射程に。イケス四方に魚が溜まる傾向の強いエリアには3mで攻めの誘いを用いたネット際攻略、時間帯によって魚が動く傾向のあるイケスにはズームアップした3.5mでオールラウンドに対応可能。
ネット際~中央付近まであらゆる状況に対応可能な3.5m-4m設定。時間帯で魚が動く、タナが変化するイケスでは3.5mの取り回しが活躍。ズームアップした4mレングスではイケス中央部の魚が溜まる一級ポイントを直撃。
シリーズで最も長いレングス設定。4mは多くの海上釣堀で置き竿釣法やイケス中央部の攻略に活躍。ズームアップした4.5mは釣堀のレギュレーションに注意が必要ではあるが、最長レングスで今までは攻略不可能であったエリアまでツケエサをアプローチ可能に。未開のポイント開拓が釣果に差を付ける。
ベイトサグリもここまで進化したか…と思わされた「シーリア エクスチューン ベイトサグリ ZM」。
海上釣り堀の攻略がもっと楽しくなりそうな大注目ロッドだ。