年々人気が加速しているテンヤタチウオ。
それに伴い、各メーカーから趣向を凝らしたテンヤが続々と登場しゲーム性が高まったことで、テンヤタチウオのテクニカルな一面がフィーチャーされることが多くなった。
そんな情勢真っ只中な2025年、シマノから発売されるのは“ザ 普通”のテンヤだった。
サーベルマスター バレットテンヤ

出典:シマノ
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コンセプトは“パイロット”
テンヤの選択肢が増えたゆえ、海況を知るためのパイロット的に使えるテンヤ選びが難しくなった。そこで出番となるのが「バレットテンヤ」だ。
トータルバランスに優れている設計だからこそ、どのような状況でも、エサを綺麗なまま確実にタナに沈めて動かすことができる。つまり、このテンヤを軸にして、海から帰ってきた反応(エサのサイズ、誘い方、静止時の姿勢など)を基に、ほかの形状や特徴を持ったテンヤにローテーションしていくことができる。
またまたテクニカルな説明をしてしまったが、簡単な話「誰もが、まずはこのテンヤを使っていれば間違いない!」である。
4つのアイの意味とアドバンテージ
そんな「バレットテンヤ」にも、1点特筆すべき点がある。それが4つのアイだ。
上記画像を見てもらえれば分かるように、各アイにはもちろん意味がある。
先端上部2つのアイはテンヤの静止時の姿勢をコントロールするライン接続用アイ。先端にセットすればやや尻下がりの姿勢となる速掛け対応、2つ目のアイは水平姿勢となるセンターバランスが取れる…と。
続いて、ヘッド上部後方の小さなアイはイワシのズレを防止するイワシキーパー接続用アイ。とくに東京湾などで大きなイワシを使う時に重宝する。
そしてヘッド下部のアイはエサ巻き用のワイヤーを止めるためのアイ。アイの軸部分をわざと外に出すことで、イワシを装餌するときにワイヤーを巻き止めやすい仕様となっている。
インプレッション
一見すると普通のテンヤですが、使ってみると随所に色々な工夫があることに気づく、そんなテンヤですね。
テンヤタチウオではエサ付けが非常に重要、主に東京湾ではイワシを止めるためのイワシキーパーを使いますが、バレットテンヤにはイワシキーパー用のアイがあります。アイが1つだとテンヤ交換、エサ交換で手間取りますから、専用アイは実に役立ちます。
メインのアイは2つ、手にとってスナップを接続していただくと分かると思うのですが、大きく作られており、着脱が楽でとにかく使いやすくしました。そしてエサをワイヤーで巻き止めるための下に付いたアイも、よく考えられていると気づくはずです。単にアイを付けたのではなく、イワシなどを装餌した状態でアイの根元が埋没しないよう、元部を長くしてあります。これはテンヤタチウオをやったことがある方ならすぐに気づくと思います。
使用するハリの選別・角度も徹底的に吟味し、バラしにくい工夫を凝らしました。見た目は普通なのに、使うととても使いやすい。これはテンヤタチウオの本質を理解しているからこそのテンヤだと思います。
動きに関して、弾丸型ヘッドは真っ直ぐ沈み、適度に抵抗を感じますから、上下、左右に程よく動きますので、だれが使っても使いやすいはず。タチウオで誘い方が分からない、状況が分からないとき、特定の性能が突出したテンヤでは釣りが難しくなってしまうことがあります。ましてテンヤタチウオに慣れていない人、初めての人は、そもそも状況が分からないわけですから、バレットテンヤの「普通である」ことは非常に大切で、タチウオがどんな誘いに反応してくるのか、潮が速いのか、遅いのか、バレットテンヤを使うことで、ひとつの基準を自分の中につくることができ、次のステップへつながる釣りができると思います。
サイズも30~50号はもちろん、60、80号までありますので、深場、速潮でも、全国各地に対応でき、カラーも最大7色がラインナップされています。ほとんどのフィールドで、私はバレットテンヤからスタートすると思います。
出典:シマノ
バレットテンヤを手にしたときの第一印象は「普通」。最近、タチウオテンヤは特定の機能が突出したテンヤが増えて細分化しています。進化ともいえますが、入門する立場でみると、どれを使っていいか分かりません。そんなときにおすすめできる「ザ・普通」のテンヤが、このバレットテンヤです。
沈むスピードも普通なら、水中での姿勢も普通といえる水平。水面下でエサを付けて確認したときのアクションも横、縦ともにそくなく反応しますからこれも普通。
性能を表す五角形のレーダーチャートを作ると、尖った性能もへこんだ性能もない、平均的にバランスが整った形になる、そんなテンヤです。ですから、だれが使っても「普通に釣れる」と思います。バレットテンヤを使い込んで、好みや状況ごとの攻め方が見えてきたら、個性的なテンヤを使えばいいと思います。
ザ・普通のバレットテンヤですが、エサの付けやすさは素晴らしいです。ヘッド下のアイのおかげでエサを巻くワイヤーを巻き止めやすく、外すときも迷わない。これは意外なほど釣りにいい意味で影響します。また、普通の水平姿勢を取ることができるのも、数種類のエサを使うテンヤタチウオでは簡単なことではありません。
私がタチウオテンヤで最も重要視するのがタチウオの目線で見た時の姿勢で、ストライクゾーンであるヘッドとハリの間が最も広く見える水平姿勢が理想と考えています。テンヤの姿勢はエサの種類、サイズ、浮力によって微妙に変化しますから、2つのアイで姿勢を調整できるバレットテンヤは対応幅が広く、アタリが多いときには尻下がりの姿勢へ変えることも可能です。
「普通」であることの大切さ、基本性能をしっかり突き詰めているバレットテンヤは、ここから先に進むためのベーシックモデルといえるでしょう。
出典:シマノ
僕がタチウオテンヤで大事にしているのはシルエットです。小さく見せて違和感を抱かせない、大きく見せてアピールする、いずれにせよ、自然なシルエットであることが前提になります。
バレットテンヤを手にしたときに、まず「シルエットをハッキリと出せて、存在感でアピールできそう」と感じました。実際にイワシエサを付けてみると、自然な感じで一体感があって1尾の魚に見えます。イワシエサとの相性が非常に良く、サンマエサでも付けやすいので、海中でタチウオに違和感を与えないシルエットに仕上がります。
テンヤとしては中~大きめのシルエットになるので、海中でまずタチウオに見つけてもらうための、アピール力のあるシルエットになると思います。誘ったときの感触では潮がみがいい、つまり、潮をよく感じることができるのが特徴だと思います。適度な手応えがあり動かした後にすぐ安定するため、タチウオがバイトしやすい姿勢(ストライクゾーン)を簡単に維持できます。
ミドルサイズのフックはアタリに対してのフックキングもバランスよく違和感がないので、大阪湾、東京湾、そのほか全国のフィールドで対応できると思います。しかも接続するアイを変えることにより、通常や喰い渋りは水平姿勢、喰い気のある魚には尻下がりでオートマチックで掛ける、といった調整ができます。また、ヘッド下のエサ巻き用ワイヤーを止めるためのアイが大きくなっているのはとても便利だと思います。
使い方としては、釣り始めはバレットテンヤで潮の具合とタチウオの反応を見て、潮が複雑なら潮切れと動きの良いサーベルマスター船テンヤ、魚の活性が高く早く喰ってくるようならサーベルマスター船テンヤβへと展開していくのが一例かと思います。また、イワシエサの収まりがよくシルエットを大きくできるバレットテンヤは、フォールでじっくりと見せる大型狙いに適しています。ここぞという時の、ドラゴン狙いの切り札になるかもしれません。
出典:シマノ
スペック
サイズ | 本体価格(円) |
---|---|
30号 | 1,250円 |
40号 | 1,350円 |
50号 | 1,400円 |
60号 | 1,590円 |
80号 | 1,700円 |
「普通」でしかできないことがある。
バレットテンヤの登場で、テンヤ選びに悩むアングラーが減るのではないか、と期待が高まるばかりである。