解禁が待ち遠しいアユ。釣行前に見て欲しい…いや、知っておいて欲しいのがこちらの動画。
シマノインストラクター島 啓悟氏が、2025年にフルモデルチェンジを果たした「リミテッド プロ RS」を使用した鮮やかなオトリさばきを。そして、今作にはついに禁断の替穂“RTチューブラー”が搭載されるという事実を。
リミテッド プロ RS

出典:シマノ
今作で5代目となる「リミテッド プロ RS」。前作は大アユも意識したパワーを保持していたが、今作は大アユも視野に入れつつ、より繊細、ナチュラルに竿のしなりが出る仕様となってるそうだ。
そして、従来のRSソリッド穂先に加え、RTチューブラーが登場。「RT=ラディカルテーパーチューブラー」はチューブラー設計の限界を超えた究極的な超先調子、極限の操作を可能にする…と。
RTチューブラーは先だけが極端に曲がる超急テーパーで仕上げた超先調子。積極的に感じて操るチューブラー特有の感度・レスポンス・軽快性を備えつつ、ソリッドに迫る緻密な操作性+オバセ管理が可能な穂先となっているようだ。
一方のRSソリッドはイージーゼロ管理。ソリッドの線先端だけがしなやかに曲がり、低負荷時においても高精度の操作を得意とし、オトリに優しいだけでなく、攻撃的に尻尾を振らせる泳ぎも生み出す穂先に仕上がっていると。
島 啓悟氏による2機種の解説
「リミテッド プロ RS」は85、90の2機種でラインナップされている。島 啓悟氏による各モデルのインプレッションや考えは以下の通り。
高いコントロール性と対応幅を確保するために
今は90に迫る勢いで85は鮎竿のスタンダードな長さになりつつある。だからリミテッドプロRSに85が設定されることは何の不思議もないが、50cmの差に島はどのような意味を込めているのだろうか。
「狙いを定めて狭い場所へ的確に“撃てる”長さを考えると80でもいいんでしょうけど、いろんな対応幅を考えるとパワーもほしい。それを考えると85になります」
竿は長さがあるほどタメがきく。曲がりの効果を生かすなら、85と80の差は超先調子のRSでは見過ごせない要素になる。
「さらにそこでH2.6か、H2.75かを考えると、テクニカルに使うなら硬いほうがいいんですけど、RTチューブラーが付属する分、いい意味での『あやふやさ』もほしい。竿全体のしなやかさはある程度残したほうが多くの方にとって使いやすいですし、僕も数釣りを考えると微妙な硬さの違いで結果が変わってきます。狙い方と掛けやすさ、穂先や調子をトータルで考えた結果が85でH2.6という結論になりました」
ポイントを絞り込めるならフィールドを選ばない
85が得意とするのはポイントが変化に富んだ中小河川。マイナス50cmで高まったコントロール性能がいかんなく発揮される。
しかし本当のところ、この竿のスキルは川幅や川相だけに縛られるものではない。自分でポイントを攻め込むことができるのなら、そしてより精密な釣りを目指すならフィールドは無限だ。
「確かに85はポイントに変化のある河川に向いていますが、表面的には変化がなくても川底の小さな変化を自分で見つけられるなら強みを発揮できると思います」
つまり川幅が広く、石の大きさが均一な河川であったとしても、85が活躍できる可能性は十分にある。
30cmズームが冴えるテンション自在の85-88Z
そしてこの85をベースに誕生したのが、パーソナルスペック85-88Z。アクションズーム30cmによる長さの変化にも、やはり島ならではの意味が込められている。アクションズームは、ズームでありながら軽さや曲がりも重視した設計。そして釣りの一連の動作の中で積極的にズームを使い分けられる長さとして30cmを選択している。
「僕は仕掛けの長さをズームを伸ばした88に合わせています。ハナカンが竿尻にくるくらい。オトリを送り出して、糸を張って的確に操作がしたければそのまま。少しフワっとさせたければ、ポイントに入ってから縮めると30cmの手尻が出ることになるので操作しやすくなります」
酷暑の7月下旬、白川はまさにアクションズームが威力を発揮する状況だった。数日差で釣果が急降下する土用隠れ。島は群れ鮎の反応を的確に感知して、オトリがそこに入るとわずかにテンションを抜いた。きわめてタフな状況下、こうして着実に野鮎を掛けていったのだ。
出典:シマノ
最も重視したのは感じ取るフィーリング
王道のレングスである90は、島が求める操作感を徹底的に追求したアイテムだ。そして今回、RSソリッドやRSチューブラーといった急テーパー穂先の能力を十二分に発揮させるには、普通の竿とは考え方を異にする必要もあったという。
「90は前作と比べて持ち軽く、振り軽く、それでいて先がより使える調子に仕上げました。たとえばFWと比較すれば、RSは持った感じ重いという評価になると思うんですよ。そのかわりRSは竿先の重さを的確に感じられるので、操作感というかゼロのフィーリングは圧倒的に取りやすいと思います」
島が理想とする“至高のゼロ”を感じ取るには、持ち軽さ優先のテーパーで竿を作ることはできない。そんな制限のある中で、いかに快適に使えるRSにするかが難題だった。
硬さと重さはスパイス そのうえでより軽く快適に
「僕にとって軽いチューブラーの竿は感覚がつかみづらいんですよ。ちょっとモーメントのあるほうが、オトリが動いたときに乗ってくる感覚がつかみやすい。ある程度先がしっかりしていて重い竿は手元に『クッ』と乗る感じがわかる。ただ、本当に重くするわけにはいかないですし、持つ場所によっても変わりますので、そのあたりに気をつかってバランスを考えた上で90は作っています」
バランスといえば一言で終わってしまうが、今回は2つの穂先とのマッチングが求められた。竿先が有効に使えるように#2や#3は今まで以上に悩み、イメージしてテストを繰り返し、作り直している。
「タイムラグのないオトリ操作ができるだけの硬さがあればいいんです。硬ければレスポンスは速いですが、硬すぎればRTチューブラーにマッチする“あやふやさ”が出ない。それを調整しましたね」
90はH2.75。手にしたフィーリングは硬い印象があるかもしれない。しかし使えばその硬さは主張せず、ゼロが作りやすい。前作より操作しやすいはずだと島は言う。
「9mの長さ、H2.75の硬さ、そしてRSソリッドとRTチューブラーで、より幅広く使ってもらえるイメージで作った竿ですね」
出典:シマノ
品番 | 全長(m) | H表示 | 継数(本) | 仕舞寸法(cm) | 自重(g) | 先径(mm) | 元径(mm) | 適合オモリ(号) | 適合水中糸(ナイロン・号) | 適合水中糸(メタル・号) | カーボン含有率(%) | 本体価格(税別) |
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85 | 8.5 (8.47) | H2.6 | 7 | 142.5 | 200 | 0.55 (1.4) | 23.8 | 0-1 (0-2) | 0.1-0.6 | 0.02-0.2 | 99.8 | 370,000円 |
90 | 9.0 (8.97) | H2.75 | 8 | 136.5 | 217 | 0.55 (1.4) | 24.6 | 0-1 (0-2) | 0.1-0.6 | 0.02-0.2 | 99.8 | 385,000円 |
シマノ公式「リミテッド プロ RS」詳細ページはこちら
最後に
もう1度。
記事の初めに紹介した動画では、島 啓悟氏のピンを狙い撃つ芸術的なオトリ操作や、華麗なキャッチなど見どころ満載。
一見の価値アリな動画。来る解禁日に思いを馳せながら、ぜひ視聴してみて欲しい。