明石エリアの春タイラバ攻略! キモは海苔? オキアミ?

寄稿:佐々木 洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

2025年、明石の春タイラバについて

今冬の明石のタイラバは、例年にも増して、難しかった。船宿常連の名だたる名手たちが、アタリ1つない苦戦を強いられたが、ようやく春の兆しが訪れた。

つい先日までは、淡路島・東浦の海苔ヒビ周りでマダイの釣果があったと思うと、今度は西海岸の室津沖の海苔ヒビの周りで、良型マダイの食いが立った。典型的な「海苔パターン」である。

マダイという魚、実は海苔を消化することができず、表面に付着した微細な卵類やプランクトンから栄養分を摂取する。

だから、大量の海苔を捕食しなくてはならない。それで、釣り上げたマダイは大量の未消化の海苔を排出するのだ。

この時期は、バチコーラやブラックサンダー、海苔グリーンが鉄板カラー。突破口は、ネクタイの選択にある。

ところが淡路島の山桜が満開を迎える頃になると、あれだけ口を使った室津のマダイも、スッと姿を消してしまう。今度はどこに行ったのか? 今回は、刻々と変化する明石の春マダイのパターンを読み解いてみよう。

アフター海苔パターン

4月7日、お馴染みの明石・魚英に乗船した。初夏に発売予定の新色ネクタイのテストもあり、チームササラボの名手・山本近史氏にも同行をお願いした。

5時過ぎに港に集合、準備が整い次第、出船である。魚谷吉伸船長は、明石港前の漁場を探ってから、この日の本命の漁場へと船を走らせた。

船長の「やって〜!」の合図に、素早くタイラバを落とす。山本氏は右舷大ドモ、私は右舷トモから2番目のポジション。水深は50m前後、潮は0.8ノット前後だ。

筆者のチョイスは、タイラバヘッドが「バクバクTG」45g、フックは喰わせ鈎10号バーブレスの1本針。ネクタイの先発は「シングルコブラカーリー」のブラックサンダーだ。

6時55分、着底から5、6回巻き目で、モゾモゾとした微妙なアタリ! 7~8mほど追い掛けて、ロッドを絞り込んだ。心の中で、「よし!」と思った次の瞬間に、マダイは口を離した。

とてもナーバスなアタリで、しかも食いは浅い。そこで、フックを8号にサイズダウンし、ネクタイの動きを邪魔しないようにして、次のアタリに備える。

それから5分後の7時ジャスト、今度は山本氏のロッドが絞り込まれた。首尾よく魚谷直毅船長のタモに納まったのは、40cmを超える美味しそうなマダイだ。

ネクタイは、筆者と同じブラックサンダーと、新色の紅いイナズマの2本掛けだった。朝のローライトの中で、金箔ゼブラがチカチカと反射し、アピールしたのが奏功したようだ。

筆者はブラックサンダーのまま巻き続けると、今度はボトムで、ガツンと引っ手繰るような強いアタリ。食いが浅いので、ドラグはかなり緩め。

7時9分、心地よいドラグサウンドを楽しみながら、直毅船長のタモに40cm前後のマダイが入った。

ムシかアミエビか!?

続く7時25分、今度は中層でモゾモゾとした不明確なアタリが始まり、10mほど追い上げて、ロッドを絞り込んだ。

慎重に巻き上げてくると、これも45cm前後のマダイだった。どうも、ボトムスローで、ガツンとアタってくるタイプ、宙層を少し速めの誘いで、追わせて食わせる2種類のマダイが混在しているようで、魚探にはボトムと宙層の2種類の反応が映し出されている。

釣り上げると、口の中からアミエビがこぼれた。そうか、宙層にアミエビが流れ始めたので、マダイは栄養価の少ない海苔から、アミエビにスイッチしたのだ。ボトムの甲殻類や虫エサを追うタイプと、2種のマダイが存在しているのだ。

4月と言っても、まだまだ海水温も不安定で、マダイの活性は低い。ボトムをデッドスローでねちっこく3~5mほど巻き上げ、そこから変速して、ややハイピッチで宙層まで巻き上げる。

10回に1回は水面近くまで巻き上げて、タイラバをピックアップ。ネクタイが絡んでいないかチェックして、再度落とし込む。この戦術を、ひたすら貫き通した。

シングルカーリーダブル掛け

最近の明石では、先の山本氏が釣ったように、シングルカーリーを2枚掛けにして強波動を発した方が、食い渋ったマダイにアピールすることが多い。

シングルカーリーのダブル掛けは、果たしてシングルか? という突っ込みもありそうだが、カラーやサイズを自在に組み合わせることができるのが、シングルカーリーの強みである。

8時過ぎ、下り潮に転流した後は、海水温が下がったためか、極端に活性が低くなった。そこで、シングルコブラカーリーのブラックサンダーに、「シングルコブラJr.」の新色・紅いイナズマのプロトをセット。異なるサイズと、色違いのコンビネーションだ。

8時29分、宙層で不明確なアタリが始まり、しばらくモゾモゾと追いかけた後で、ドスンとロッドが絞り込まれた。なかなかのファイトで、ようやく上がってきたのはこの日1番のサイズ、50cm近いマダイであった。

シングルコブラカーリーの2枚掛けには、さまざまなパターンがある。玄界灘で88cmを釣り上げたチームササラボの小林元太氏も、レッド/オレンジゼブラ金ドットのコンビネーションだった。

定番レッドゼブラ金ドット

その後、長い沈黙が続き、10時20分に山本氏が40cm超の2尾目のマダイを追加。ネクタイはレッドゼブラ金ドットだ。

明石大橋の西側は、どちらかと言えば、オレンジ系のネクタイが強い海域である。この日、赤や黒系のネクタイにアタリが集中したのは、やはりアミエビの影響が大きかったのかも知れない。

刻々と変化する春マダイの行動パターンを、少ないヒントから読み解き、正解を導き出す推理ゲームが、明石のタイラバ釣りの醍醐味だ。この日は4尾釣り上げて、竿頭の面目躍如を果たすことができた。

落として巻くだけのタイラバだが、季節ごとに変化していく明石のマダイは奥が深くて、とにかく面白いぞ!

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