「巨魚を獲るにはグラス無垢」という時代が終わったか

…と言いきってしまうと、少々語弊がありますが。

事実、シマノ「チェルマーレ 泳がせ」はカーボンチューブラーでありながら、バットから豪快にブチ曲げ、100kg級の巨魚も獲れてしまうのです。

チェルマーレ 泳がせ

出典:シマノ

チェルマーレ 泳がせ」は、大物でしか味わえない命の駆け引きともいえる壮絶な一瞬を手持ち操作で味わって釣ることにこだわったロッド。

従来は大物竿=強度の高いグラス無垢(フルグラスソリッド)が定石でしたが、強度とトレードオフの関係である「重さ」が、手持ち操作の邪魔になってしまう。

「チェルマーレ 泳がせ」は強度・軽さ・軽快性を追求。

その結果、古くから大物を狙っているアングラーからは異端とも見える「カーボンチューブラー構造」でブランクスを構成するに至ったようです。

「軽快にして、剛力」を実現する“マッスルコア”

カーボンチューブラーの最大の課題である「巨魚に耐える強度」を実現したのが“マッスルコア”。

ブランクス全体を、シマノの独自製法である“スパイラルXコア”、“ハイパワーX”によりネジレや潰れを徹底的に排除したのち、バット部にのみ高強度カーボンソリッドを詰め込んだことで強度面の不安を払拭しています。

これにより、手持ちでの軽快な操作を可能にしながら、全力で根に潜ろうとする巨魚のファーストランを受け止めるパワーを両立した…と。

また、「チェルマーレ 泳がせ」は手持ちスタイルでの使用を想定していますが、マッスルコアによって置き竿釣法にも対応。

持ってよし、置いてよしの大物竿に仕上がっています。

痛くない・滑らない・外れない
理想のファイティングボトム

巨魚とのファイト中、釣り人との接点で1番重要といっても過言ではないパーツが、ファイティングボトム。

巨魚とのスタンディングファイトを一度でも体験した人ならば、体と竿との接点となるファイティングボトムに大きな力が加わることと重要性が分かるはず。

新生「チェルマーレ 泳がせ」は、これまでのファイティングボトムの形状を見直し、腹側のアタリ面をフラットにし底面積を大型化。

同時に滑り対策として底面にゴムを設置、さらに脱落対策として篏合部のゴムを改良することで、痛くない、滑らない、外れないことを追求した、実用性の高いパワーファイティングボトムに仕上がっています。

緩みにくさを追求したリールシート

長時間に及ぶファイトによってリールがガタつくのは、大きな負荷が加わる泳がせ竿の悩み。

そこで「チェルマーレ泳がせ」ではリール固定用ナットの幅と樹脂スペーサー幅を拡大、従来モデルの倍近くまで拡大することで確実に締め込むことを可能にし、長時間のファイトでもリールのガタつきを軽減しています。

2025年【HH170】が新たにラインナップ

従来「チェルマーレ 泳がせ」は【H170】のみのラインナップでしたが、2025年5月に【HH170
】が新たに追加。

H170からバット部のパワー向上と、穂先部に張りを持たせるようチューニングされ、より難しい海域への対応力が向上したそうです。

開発に携わったシマノインストラクター高橋 哲也氏のインプレッションは以下の通り。

高橋 哲也氏のインプレッション

水深が深くて潮の速いところ。たとえば徳島沖や高知沖ですよね。やっぱりそういう場所にいるのはカンナギのデカい魚。80kgから上、100kgとかだよね。カンパチもデカいと思う。こんなところでHだと荷が重いんだよ。ある意味、魚の大きさは関係ない。何kgが掛かろうとチェルなら獲れるとは思うんだけど、スタートラインに立てないんだよね。

スタートラインってのは、同じ水深でも潮が速くて、そこで使うオモリが300号以上なら、仕掛けをぶら下げている時点で普通の竿だと結構曲がっちゃうんだよ(笑)。そんな釣りのために作ったのがこのHH。チェルのHで200号を付けて釣ってるような感じでアタリを待てるし、操作もできる。

チェルの場合はカーボンとグラスのコンポジットで細身軽量になってるからスタンディングもできる。その弱点を補っているのがマッスルコア。あと置き竿でデカいのが掛かってくると厄介だよね。電動リールも強くなってきたのでガンガン巻けるんだけど、今度は竿が耐えきれなくなる。

なぜなら置き竿にしたときはもっとも負担が掛かってしまう。スタンディングだと人間がへこたれた時点で竿が下がっちゃうじゃん?ロッドキーパーにかけた状態だと竿が下がらないから、ずっとバット部分に負担が掛かってくる。でもそこはやはり、マッスルコアがあるので安心できるんだよね。

強いんだけどチェルならではの調子であまりガチガチじゃない。曲がるところはグッと曲がるけど、バット部分の強さは残っているので、400号、500号のオモリを付けても泳がせができる。つまりスタートラインでの竿の負担が大き過ぎず、400号を付けてもHに200号を付けたときと同じように操作できて、竿を持ってもキーパーにかけても戦える。チェルの特性をキープしながら、新しい釣りができるアイテムが加わったということなんだよね。

出典:シマノ

スペック

品番 全長(m) 継数(本) 仕舞寸法(cm) 自重(g) 先径(mm) 錘負荷(号) リールシート位置(mm) リールシートタイプ カーボン含有率(%) 本体価格(税別)
H170 1.70 1 170.1 600 2.6 60-300 307 DOWNLOCK 63.2 155,000円
HH170 1.70 1 170 635 3.1 100-500 307 DOWNLOCK 51 160,000円

大物ロッドの進化もここまで来たか…と思わせられる一振り。

気になった方はぜひチェックを。

シマノ公式「チェルマーレ 泳がせ」詳細ページはこちら

シマノ(Shimano)

1921年創業。1970年に「レジャーを通して人々の健康に寄与する 」という企業哲学のもと、釣具事業部が発足。リール、ロッド、ルアー、用品などクオリティの高いアイテムの開発、製造、販売までを行い、釣具の総合ブランドとして、国内外問わず多くのファンを抱えている。独自の技術も数多く、世界に誇るジャパンクオリティを提供し続けている。

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