タイラバはフック交換で釣果が変わる! マダイ漁師がヒント

寄稿:佐々木 洋三

佐々木洋三(ささきひろみ) プロフィール

タイラバ、ジギング、バチコンなど様々なオフショアゲームに精通している名手。釣り雑誌や釣り番組などにも多数出演している。シマノアドバイザー、金龍鉤スペシャルスタッフ、Fishing Laboさゝ木代表

昨年より8日早く梅雨入りした、近畿地方。今年は気圧配置の関係で、暖かい空気に覆われやすく、梅雨前線の活動が活発化する時期がある、との予報だ。

梅雨空の間隙を縫って、ホームグラウンドの兵庫・明石へ。熊本の友人の大西毅氏が来阪し、「激戦区・明石のタイラバにチャレンジしたい」と言う。

今回の主役、「持っている奴」の友人・大西氏。

梅雨入りが宣言された6月9日早朝、明石のタイラバ船に乗船。船長の操船で、海峡大橋の西側漁場へと船を走らせた。

大雨の予報に反し、朝は無風、薄陽が射す好天に恵まれた。「持っている奴」とは、こういう男に違いない。彼の快進撃の始まりだった。

〝イナズマ〟炸裂

5時55分、最初の流しは大トモで竿を出していた、女将こと島北友紀さんが、いきなり竿を曲げた。タモに納まったのは、40cmを超える美味しそうなマダイだ。「紅いイナズマで、きましたよ。最近、このカラーによくアタるんです」とヒットカラーを教えてくれる。

すかさず、大西氏のネクタイを紅いイナズマに交換。筆者は金ゼブラが輝くブラックサンダーをセットしており、もう少しそれを試すことにした。

6時54分、チェンジした紅いイナズマが奏功し、大西氏にマダイのアタック。しばらくネクタイを突く小さなアタリが続いた後に、穂先が水面に引き込まれた。小型だが女将のタモに納まったマダイに、満面の笑みが眩しい。

68cmの大ダイ出現‼

7時5分、私の右隣の常連、藤田大祐氏のロッドが締め込まれた。「シングルコブラカーリーレッド金ドットですよ!」。そして、7時23分、要領を掴んだ大西氏が、同じ紅いイナズマで連続ヒット。

7時39分、藤田氏が今度はレッドゼブラ金ドットで、良型のマダイをキャッチ。

ようやく自分の釣りに集中し始めた8時9分、ブラックサンダー改め、マツケンサンバに50cm超え。この時点で最大のマダイがヒット。ズッシリとした重量感が堪らなかった。

8時11分、大西氏が追い上げるように、装着したばかりのレッドゼブラ金ドットで40cmのマダイをキャッチ。

針先が歯に触れていたので素早く彼のフックを交換。ここから、怒涛のラッシュが始まった。

船長がマダイの大きな群れを見付けたのだ。探見丸にも良型がビッシリ映し出されている。

8時19分、大西氏が45cmのマダイを追加。筆者はキングコブラのエビオレンジ(プロト)に交換し、8時24分、40cm超のマダイを追加した。

そして8時36分、藤田氏はあと少しで70cmという68cm、この日最長のマダイをキャッチした。シングルコブラのレッドゼブラ金ドットであった。

8時39分、同じシングルコブラのレッドゼブラ金ドットで大西氏が40cmのマダイを追加。10時35分に藤田氏が、やはりレッド金ドットとレッドゼブラ金ドットの2枚掛けで、もう1尾追加した。

それにしても、藤田氏はなかなかの「コブラ使い」っぷりだ。これを持って、怒涛のゴールデンタイムは終了。雨も降り始め、12時にストップフィッシングに。

フック交換がポイント

この日、大西氏は初めての明石で、リリースも含めて、何と8尾をキャッチ。ひとえに船長の場所読み、きめ細かい操船のおかげである。

バラシは皆無で、根掛かりでロスしたことを除けば、上出来の釣果。まさしく「持っている奴」であった。

根掛かりでリーダーから結び直したこともあって、彼のフックは1尾釣り上げるごとに、常に新品だった。

ちなみにフックはバーブレス8号、10号といった小針の1本針仕様か、2本針仕様。小さなフックを確実に吸い込ませ、マダイの口唇に絡めていく戦略だった。

一方、筆者はこの日、フックを交換せずに、通算3バラシ。大きな差がついた。

ヒントはカワハギ釣り

以前から気になっていたのだが、カワハギ釣りでは頻繁にフックを交換するのが常識だ。根掛かりすればもちろんのこと、1尾釣り上げる毎にフックを交換する名人も多い。

針が磯に引っ掛かったり、マダイの硬い歯に触れれば、針先は確実に鈍る。それなのに、カワハギ釣りのように頻繁にフックを交換する人は少ない。

針専用のヤスリで研いでも、近年の釣り針は化学研磨で処理されており、針先を研いでも、元の鋭い状態には戻らない。研ぐことで、メッキが剥がれ、錆が浮き、針先が丸くなることさえあるのだ。

それなのに、多くの釣り人は使用したフックを洗浄し、再利用しているのが現状だ。ほら、そこのあなた! その針先、錆が浮いていますよ!

番組の取材で、鳴門の1本釣り漁の船に乗せていただいたことがあった。本職はマダイを1尾釣る度に、針先をチェックし、すぐにフックを結びかえる。

その手返しの速さに度肝を抜かれた。そして、3時間で56尾を釣り上げた。タイラバも、1尾釣るごとにフックを結びかえることは、激戦区の明石を征する重要な戦術と言える。

さばき処 とと

さて、釣り上げたマダイは、美味しく頂戴したいもの。明石に誕生した「さばき処 とと」は、魚の大きさにもよるが、50cmまでの中型魚ならば500円で下処理(ウロコ、内臓、エラ抜き)を、600円で3枚おろしにしてくれる。

大西氏はご自慢の1尾を舟盛りにして、ご実家へ。

釣魚料理を美味しく食すのも、釣りの楽しみである。「まえもん」明石の多彩な旬魚が、皆さまの食卓を賑わすことを祈って、乾杯!

筆者のタックル

明石沖の推奨タイラバタックル1

ロッド:エンゲツ リミテッドFS-B66ML
リール:オシアコンクエストCT200PG

明石沖の推奨タイラバタックル2

ロッド:エンゲツ リミテッドN-B610ML-S
リール:オシアコンクエストCT200MG

ライン:ハードブル 8+0.6号 フレッシュグリーン
リーダー:フロロカーボンリーダー2.5、3号(4.5m)
フック:鯛ラバPEアシストフック「佐々木流IPPON勝負」バーブレスM、L、喰わせ鈎/バーブレス 8号、10号、12号、14号
タイラバヘッド:炎月バクバク TG45、60、70、90g
タイラバネクタイ:キングコブラ(プロト)、シングルコブラカーリーコブラスリムカーリートラッドピンテール

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