「エサ釣りって面倒…」そう思っていた私が変わった瞬間
正直に告白します。私は元々、生粋の「ルアーフィッシング一筋」な人間でした。 バス、シーバス、エギング、ジギング…。疑似餌で魚を騙して釣るゲーム性こそが釣りの醍醐味であり、「エサ釣り」に対しては、なんとなくですがネガティブなイメージを持っていました。
「エサの匂いが手に付くのが嫌だな…」 「仕掛けが絡んで汚れそう…」
そんな私が今、なぜこれほどまでに船のエサ釣りに熱狂しているのか。 そのきっかけは、関西の船釣りシーンを席巻する「テンヤタチウオ」でした。

記念すべき初テンヤタチウオ釣行時。2020年12月
最初はルアー感覚で始めたのですが、やってみて驚愕。アタリの多さ、即合わせか送り込みかという駆け引き、そして「大阪湾タチウオKINGバトル」に見られるような競技性の高さ。 「エサ釣りって、こんなに奥深くて面白いのか!」 その事実に気づいた時、私の釣り人生の第2章が幕を開けました。
そして、テンヤタチウオの次に私が出会い、完全に心を奪われた釣り。それが今回ご紹介する「ノマセ釣り(泳がせ釣り)」です。
ドキドキが止まらない!「生き餌」が伝える海中のドラマ

ノマセ釣りとは、生きたアジやイワシをハリに掛け、そのまま海に泳がせてフィッシュイーター(肉食魚)を狙う釣法です。
この釣りの最大の魅力。それは「前アタリ」の興奮に尽きます。
海中で泳いでいるアジが、大型のフィッシュイーターに追われると、逃げ惑って暴れ出します。その振動が、竿先を通じて手元に「ブルブルブルッ!」と明確に伝わってくるのです。
「あ、逃げてる! 何か来てるぞ…来るぞ、来るぞ…!」
この時の心拍数の上がり方は、ルアーフィッシングではなかなか味わえない独特のもの。 そして、竿先が大きく舞い込み、ズドン!と重みが乗る瞬間。ここで焦ってはいけません。「早合わせは厳禁」。じっくりと魚がエサを飲み込むまでの「間」を読み、渾身の力でフッキングをかます!
決まった瞬間の重量感と、そこから始まる大型魚とのファイト。これぞ、ノマセ釣りの真骨頂です。
憧れの「座布団ヒラメ」への挑戦
ノマセ釣りで狙える魚は多岐にわたりますが、やはり多くのアングラーにとっての憧れは「ヒラメ」ではないでしょうか。
私が初めてノマセ釣りに挑戦したのは2011年の12月。場所は三重県の国崎(くざき)でした。「ヒラメが高確率で釣れる」と聞き、勇んで挑戦したものの、初挑戦の結果はハマチとマゴチ。本命のヒラメには出会えませんでした。

2021年、初ノマセ釣りの釣果
しかし、悔しさよりも「こんなに面白い釣りがあるのか」という感動が勝りました。 そこから、日本海のアコウ(キジハタ)、尾鷲のマハタやオオモンハタなど、ノマセ釣りで様々な魚種を追いかけ回す日々が始まりました。
そして転機が訪れたのは、2022年の12月。 毎年恒例となっていた国崎でのヒラメ開幕戦。「今日こそは」と挑んだ私の竿に、強烈なシグナルが。 慎重にやり取りして海面に姿を現したのは、67.5cmの大型ヒラメ!

このヒラメを釣った時、本当に震えました…
憧れの魚を手にした瞬間、手が震えました。さらに翌年には4尾を釣り上げ「竿頭」になることも。 「続けていて本当によかった」。そう思える感動が、この釣りには待っています。
超高級魚がズラリ!「美味しいゲスト」も魅力のひとつ

2022年春に京都・経ケ岬沖でゲットしたアコウ
ノマセ釣りのもう一つの魅力は、「釣れる魚がどれも高級魚で美味しい」こと。
本命のヒラメやハタ類はもちろんですが、個人的に大好きなのが「マトウダイ」。 他にも、強烈な引きで楽しませてくれるブリ・ハマチなどの青物、高級魚のマゴチ。時には、ワニのような顔をしたワニゴチや、真っ赤で長いアカヤガラといった、市場ではあまり見かけないレアな魚に出会えることもあります。
何が食ってくるか分からない。そのワクワク感もたまりません。

美味しくて大好きなマトウダイ

レアキャラのワニゴチ
実はこれも楽しい?「エサの確保」というミッション
ノマセ釣りでは、船宿さんが生き餌を用意してくれる場合と、出船前に自分たちでサビキ釣りをしてエサ(アジやイワシ)を確保する場合があります。
「え、エサ釣りからスタート?」と思われるかもしれませんが、実はこの「サビキ釣り」が意外と面白いんです。

マイイケスにアジがいっぱいいると幸せを感じます
「今日のエサがかかっている」というプレッシャーの中、いかに手返しよく、元気なアジを確保するか。これがその日の釣果を左右すると言っても過言ではありません。 本番前のウォーミングアップにしては少しスリリングなこの時間も、ノマセ釣りの楽しさの一部だと私は思っています。

過去イチ美味しかった魚・冬のマハタ。鍋でいただいて絶品でした
寒さが厳しくなるこれからの季節ですが、ノマセ釣りはまさに冬こそがベストシーズン。 脂の乗った寒ビラメや、大型の根魚を狙うには絶好の機会です。
「エサ釣りはちょっと…」と食わず嫌いをしているルアーマンの方こそ、ぜひ一度体験してみてください。 あの竿先が震える「前アタリ」のドキドキを味わえば、きっとあなたも私のように、ノマセ釣りの沼にハマってしまうはずですよ!

























