オニカサゴは秋から翌春にかけての釣り物として人気で、1kgを超える良型は1kgあたり5000円を超える高級魚である。
故に、釣った魚を上身にしてひと晩寝かせ、翌日に薄造りにすると、切り口が虹色に輝き、ほどよい歯応えが楽しめる。
さらに瞑想しつつ、じっくり噛み締めてみると、白身魚特有の上品な甘みが口中に広がり、しばし至福の時を味わうことができるはずだ。
タチウオ三銃士の吉田氏と国崎の国盛丸へと釣行
何を釣らせてもお上手だが、「オニカサゴ釣りはやったことがない」と言うシマノのタチウオ三銃士の1人、吉田昇平氏のリクエストに応えて、今回やって来たのが三重県鳥羽市国崎町。
遠州灘に面した志摩沖は、砂泥に覆われた海底を好むオニカサゴの絶好のフィールドなのだ。
水深175mでスタート
3月19日の早朝、岡本国弘船長が操船する国盛丸は進路を南に取り、志摩沖を目指していた。嬉しいことに、前夜に吹き荒れた風も落ち、沖は「春の海 のたりのたりかな」の様相だったので、1時間ちょっとでポイントへ到着した。
「水深175m。きっちり底を取って始めてください」というアナウンスを合図に釣りが始まった。
エサは船宿で用意してくれたカツオの腹ぼ(高知ではハランボと呼ぶ腹の身のこと)とサバの短冊を用意してきた。
オニカサゴは、エサを求めて積極的に動き回る魚ではなく、軟らかい砂泥底に体を埋めて、エサになりそうなモノが近づくのを待っている横着(?)な魚だから、船は大流しをかけて拾い釣りをするしかない。
なので、魚の群れに行き当たらない時は、流しかえるのが1番だ。
ひと流し目は振られたが、2流し目に入った途端、バンディット中深場の穂先が小刻みに震えた。早速、鬼さんのお出ましだと竿をあおり、しっかりフッキングさせておいてから、巻きに掛かった。姿を現したのは紛れもないオニカサゴ。それも40cm近い型だった。
それから10分後、左舷ミヨシの吉田氏のミッドゲームCI4+TYPE73H220が見事な弧を描いて引き込まれた。
シマノのミッドゲームシリーズは、従来のライトゲームシリーズよりワンランク上のヘビーな仕かけの使用を想定して作られており、細身でもバット部はパワーがある。
それが満月のように曲がっているので、よほどの大物かと期待したが、40cm近いオニカサゴと一緒に40cmを超えるムツが上がってきた。
この1尾がきっかけになり、吉田氏の快進撃が始まった。200号のオモリが付いた仕かけを持ち上げるだけでも大変なのに、ずっと手持ち竿で誘い続け、小アタリを取ってオニカサゴを連発。
大小合わせて20尾のオニカサゴとガシラやムツ、フサアンコウなど珍しいゲストも釣り上げ、大満足で納竿した。
僕の釣果はオニカサゴ11尾だったが、最大40cmで30cmを超える良型が半数以上いた。